主人公くんは、狂人? サイコ? キジルシ? 変態? いいえ、全てです。
某友人による何時ものリクエスト。続くかは知らーん。
役に立たないクズをパーティーから追放する。それは正しい行いだ。無能を何時までもパーティーに置く人間はただの物好きだと僕は思う。
将来性だとか、伸び代があるだとか、そんな事はどうでもいい。パーティーが求めているのは即戦力。即・戦・力、だ。
故にこそ、勇者サマに惚れ込んで半ば強引に勇者パーティーに加入した僕が、心優しい勇者サマ以外の下劣極まる卑しい輩から邪険に扱われる事も、必然だったのだろう。
そんな中でも、勇者サマは僕を気に掛け、蛮行を繰り返すゲス共を説き伏せていった。それでも更正せず、彼等彼女等は勇者サマの目に付かないよう、それはもう丁寧に痛め付けてくれた。
それも仕方の無い事だろう。
何せ、勇者パーティーの中では僕が最弱。冒険について行けず足を引っ張る事数知れず。安定の役立たずっぷりを見れば、僕自身、同じ様に侮蔑の念を抱いていた事だろう。
その点に関して彼等彼女等は悪くない。身の程を弁えなかった僕に非がある。
話は変わるけど、僕はそれなりに裕福な出だ。両親は既に他界していて、財産の殆どは親戚へと回ったけれど、最後に残った大きな土地だけが両親の形見だった。
それを! 彼等彼女等は僕を騙して売り払い! あろう事か勇者サマに黙って豪遊し! 使いきった! なんたる事か、なんたる事か!
何故そこに勇者サマを入れなかった! せめて勇者サマも楽しんだならば両親の形見も喜んだだろうに、とんだゲス共の下らぬ肥やしへと変わってしまった!
嗚呼、嗚呼、嗚呼! 勇者サマ! 勇者サマ勇者サマ勇者サマぁ! お許し下さい! 貴女を楽しませる事の出来なかったこの愚か者をどうかお許し下さい勇者サマぁぁあ!
そうして、財産の全てを失った僕を彼等彼女等はパーティーから追放した。勇者サマには自分から出ていったと説明していたから、好都合。
嗚呼、勇者サマ。僕は貴女のパーティーを離れてから、それはもう頑張りました。
小さな商売から始め、コネクションを作り、同志を集め、組織を立ち上げ、今では貴女を養える程の大企業へと成長しました!
勇者サマ、勇者サマ! 勇者サマぁ!!
貴女の為ならばこの会長という地位も投げ出しましょう! 貴女が望むならば全ての財を迷える子羊の為に寄付いたしましょう!
けれど、その前に、やらねば為らぬ事があります。
貴女と離れてからこの数年間、片時も勇者サマの事を忘れた事はございません。貴女の髪の毛を嗅いで眠りに就き、貴女の爪を煎じて日夜の活力としています。
勇者サマ、嗚呼! 勇者サマ!
貴女は正しく勇者です。魔王を打倒せしめた人類の救済者!
なのに!
悲しい事に貴女の物語はそこで終わってしまう。これ程悲しい事がありますか!? 高が魔王を倒した程度で、貴女の物語が幕を閉じるのですよ!? 良い筈がない!!
貴女はまだまだ活躍出来る筈だ! 貴女は勇者を越え、英雄、そして英霊と成るべき御方だ!!
だから!
貴女の物語は続くべきなんです!
勇者サマを輝かせる為ならば、僕はどんな悪事にも手を染めましょう。
勇者サマの名を轟かせる為ならば、僕はこの手を血に染めしょう。
勇者サマ、勇者サマ! 嗚呼! 勇者サマぁ!!
これは言わば、貴女の後日談! 番外編! アフターストーリー!!
勇者サマ。僕の全ては、貴女の為に在るのですからっ!
友人「はや!?」
作者「取り敢えずラストは考えた。見事にだーれも幸せにならにぃ。ついでに言うと、この後主人公くんによる胸糞があるから注意」
友人「うへぇー。んでもサイコ要素は薄目なんね。今のところ狂信者って感じ?」
作者「まぁ、導入で飛ばしてもね」
友人「前に書いてた設定ドシリアスで救い様ないのに登場人物がみんな明るい、みたいな?」
作者「右目じゅわじゅわ溶けてるのにはしゃぐからなー、あの世界のキャラクター。腕なくなっちゃったようけるー、みたいなノリのアレでしょ?」
友人「やっぱこの作者頭おかしいわ」
作者「ひぃどぉいぃー」
友人「棒読みー」