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あけましておめでとうございます。今年も拙い文ではありますがお付き合いください。
そんなわけで地上に降りて来た俺らだったが、いわゆるはじまりの街とも言っていいだろう。名を『アルバ』という。
降りたのは『アルバ』の外の草原。
比較的弱い魔物しか現れないので初心者の冒険者などはここから冒険を始める事が多い。
「どうする? ギルドに登録しておくか?」
「ギルドねぇ。冒険者の集まるところだろう? またむさ苦しいのか?」
「そりゃあ、冒険者つったら男の方が多いからな。だが、この街は初心者が多いんで女性の冒険者もいねぇ訳じゃねぇ」
正直言ってこの街のレベルは低い。魔王を殺すのにレベルの低い冒険者を仲間にするのは少しばかりきついところがある。とはいっても、ギルドの情報網などは頼りになることが多いし、いろんな町に存在しているので色々と便宜を図ってくれることもある。
「ギルドは別に登録しなくてもいいんだろ? んじゃ無しだ。興味ないしな」
ギルドに登録しなければならないということはないので別にいいのだが、中々に珍しいタイプだと思う。
「んで、何がいるんだ? スライムとかか?」
「まぁな。武器はどうする?」
「スライムなら魔法とかの方がいいんじゃないのか? 剣で切れるもんなのか?」
当然の疑問ではあった。
「うん? 魔法使ってみるか。魔法適正は確かあるはずだ。どんな魔法を使いたいか頭に思い浮かべれば、名前と効果はわかるはずだ。使えるかどうかは知らないが」
「なるほどねぇ…。《火球》っと」
コウが急に魔法を放つ。
「ば、馬鹿。俺に向かって撃つんじゃない」
当たっても死ぬ訳じゃないが一応な。勇者として召喚されたコウは魔力の調整がまだ拙いが魔力量は多いんで、大量の魔力を込めれば初級魔法も馬鹿にならない。
「ふぅん。なんとなくはわかった。んで、武器はどうすりゃあいい?」
「そりゃあ、お前が使いやすいと思うのがいいんだろうが、多分あらかたの武器は使えちまうぞ? スライムでも、剣で斬れないことはねぇしな」
まぁ、相当の技量は必要になるだろうがな、と心の中で呟いていると
「んじゃ、刀だな。剣よりカッコいいし、イカしてるだろ?」
ここで、刀を引っ張り出してくるとは、何だかんだ言っても、そういうのには憧れるらしい。
パンッ。と手を叩き、そのまま両手を広げていくと広げる先から刀の剣先が徐々に現れる。
「スライムっつうことで火の属性は付与してある。魔力を込めて使えば刀身から炎を出すことも出来るし、斬った先から燃やすことも出来る。この感じだと十回だな」
「ほんとにすぐ出来るんだな。それにすぐ壊れる。十回当てれば終わりか。もう二本ほど作ってくれ」
はいよ、とばかりに追加で二本作り鞘も用意しておく。数回抜いたら壊れるだろうな。
草原にいるとたまにスライムに遭遇する。
「スライムだな。やってみるか?」
既にコウは刀を引き抜き、スライムを一刀両断し、斬った面を焼く事でスライムの再生をさせないようにするとあっという間にスライムは絶命した。
「人型じゃない上に固形物じゃないからか、思ったより実感がわかないな。罪悪感や手ごたえもない」
「スライムだからな。斬れるなんて思ってなかったが、正直な話、お前の実力だとそれこそ人型の魔物と戦う時は一悶着ありそうだな」
この世界にはステータスもないから、レベルも存在しない。数値で分かるものは存在していない。熟練度なんかも存在はしない。
「取り敢えず、さっさと街の中に入ろう」
コウも色々と疲れたらしい。
街の門には一応、番をしている奴がいて、身分証の確認をしている。あくまで気休めにしかならないがな。
「2人分の入場金だ」
生憎、金なら腐るほど用意出来る。
神の特権みたいなもんだな。
ついでにオススメの宿も聞いて、今日はそこに泊まることにした。
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