戯言
美しく
気高く
高貴に
ただそれだけを祈り、願って生きている。
細くすらりと伸びる脚
その曲線を包み込むような靴
つ、と音がしそうなほど繊細な指
そこに在るべき輝く指輪
白く透き通る肌
瞬きする度に音がしそうな艶やかな睫毛
つらつらと人を魅了し騙す唇
深淵を覗き、闇をまっすぐに見つめる瞳
死に想いを馳せ、過去に縋り付く醜い自分を嬲り殺すように
絞め殺すように
じわりじわりと醜い自分を、温かさを持った自分を殺していく
そう、あの頃の自分にはもう戻らない
愛を知り、求め、縋る、醜い自分
だって
人間は、息をするように嘘をつくのだからーーー。
「わかるよ、大丈夫、安心して。」
「大好きだよ、愛してるよ。」
「死なないよ。」
嘘つき
そうして彼らは死んでいく、私1人を残して。
愛されたいと願ったことが罪だというかのように
願った途端にいなくなる
愛を求めて彷徨わせる
誰でもいいから、私を、抱きしめてーーー。
虫唾が走る
そんなこと許さない
誰も私に触れるな
この、美しく、気高く、高貴な私に触れるな、近づくな
嘘をつくのは私もあなたも同じでしょう?
息をするように、私は私を騙す
演じて、
君が大好きなの、君がいないと生きていけないの、ね、
そう思わせれば人間は簡単に傾く
愛がある方に縋る
そして、私は軽蔑する、ほらね、と
私はもう戻らない
私はこの唇であなたを騙す
「愛してる。」