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2. 恋愛オンチの小町さん。

ジッと見つめるその顔はむしろ整いすぎて怖いくらいだ。

絶対学校でモテる奴だ。確実にそうだ。


なのに……


「わ、私ですか?」

「は、お前が告ってきたんだろ。えっと……小町」


……告白の相手はお前じゃないよ田口(弟)

……そしてさりげなく呼び捨てかよ……


そういえば


「田口くんって名前なんていうの?」


は?って顔をする田口(弟)


「ちょっと待てよ、お前そんなことも知らないで俺に告ったわけ?」

「いやいやずっと勘違いさせているようだけど、私は田口くんのこと別に好きでも告白したわけでもないよ!私が好きなのは田口くんのお兄さんの方なんだから」


田口(弟)は綺麗な目をすっごいかっぴらいた。

軽くホラーだぞ。


「は、なんだよそれ、せっかく13人目にしてやろうと思ったのにさ。」

「…13人って、なんの数?」

「俺の彼女だよ。他になにがあるんだよ」


オーマイゴット。

ここは日本ですよね?


さらっと当たり前のように言っているが、こんなこと許されるんでしょうか…


「まーいいや、俺の名前は枻里(かいり)。で、小町の彼氏な。」

「だから、私はお兄さんの田口さんが好きなの!」

「お前馬鹿だな。俺の彼女になれば兄貴のこと色々知れるって考えなかった?」


……ツッコミどころは満載だが、確かに一理ある。


でも13人目って、しかも好きでもないのに。


「ごめん、枻里くん。私あんたとは付き合えない。」びっくり顔をした枻里くんを置いて、私は店を出た。





「はぁぁぁぁ」

「なによ、朝っぱらから盛大な溜息つかないでくれる?小町」

「だ、だって〜…」


マリちゃんには昨日のことを包み隠さず話してある。


「大体ね、小町は勿体無いよ。あんなイケメン振るなんてさ」


振ったっていうか...あれは振ったのうちにはいるのか?


「だってさ、まだお付き合いの経験もない恋愛ど初心者だよ!?それに好きでもないのに付き合うなんて言語道断でしょ」

「あんたさ、あれでしょ。もし好きでもないのに付き合ってそのまま時間が経って別れづらくなったらどうしようとかしょーーもないこと考えてるんでしょ?」


「彼氏欲しいならそんなこと考えずにとりあえずサクッと付き合って合わなかったら別れればいいんだから」

「いや、しょうもなくないからね?普通の思考だよ?」

「そんなんだから恋愛ど初心者なのよ、それなら期限付きでお試しでもいいじゃん」


期限付きのお付き合いだと…?

そんなことは考えたことなかった、さすがマリちゃん。


マリちゃとは小学校からの付き合いだが、彼氏が切れたところをないところを見たことがない。

ふんわりとした雰囲気を持つのに毒舌というギャップにやられる男が後を絶たないのだ。


「期限か…まぁでも、もう枻里くんのこと振っちゃったし、それを実行するのは次の機会ってことで。」


そう、じゃあ次は頑張ってね〜という言葉を残してマリちゃんは自分のクラスに戻っていった。


チャイムが鳴り、授業が始まってからはその話を思い出すことはなかった。





そう、思い出すことはなかったのだ。


時は放課後。

部活に入ってない小町とマリはいつも一緒に帰る。


特に今日は週に1回のドーナツデイだ。

この日は一緒に地元で評判のドーナツ屋さんに寄っておしゃべりする。


「小町、帰ろ」

「うん!てかさ、さっきから校門の方うるさくない?ずっと黄色い悲鳴が聞こえてくるというか…」


謎に包まれた校門に向かうとあいつがいた。

ここにいるはずのない一高の紺の制服...


「枻里だ...」


私達に気がついた枻里はつかつかとこっちに歩いてくる。

ナンパを試みようとしていた綺麗系の先輩方からの視線がとても痛い。


「おせーよ小町」


いやいや、遅いも何も会う約束とかしてないから!


「な、なんのご用でしょうか?」


極力目を合わせないようにして言う。


「あ!話かなんかですか、だったら今日は無理ですマリちゃんとドーナツ会があるので!」


ね、マリちゃん!

とマリちゃんの方を向くと「いや、私は用事を思い出したから」などとぬかしてやがる。


「枻里くん、だっけ?今日この子フリーだからよろしくね、じゃあ」

と言って帰ってしまった。


「あのさー、小町」

「な!なんでしょうか!」

「俺さ、あれからずっと考えてたんだ。なんで小町が俺のこと振ったのか」


なんでって好きじゃないからだよ!


「でさぁ 俺、さっき他の12人の彼女と別れてきたから」

え...?

「だから、もう、俺小町だけを見るから、付き合って?」


キャーーーという悲鳴も小町には聞こえなかった。

小町の頭の中は枻里が言った付き合って?と言う言葉がリフレインしていた。

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