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2話 ボディーチェック

本文短い…よねやっぱ

天井にぶら下がったガラス細工が、部屋を淡い光りで照らしていた。…蝋燭の火ではないよな?


って、現実逃避(現実?)してる場合じゃないか…。


笑顔で挨拶してきた妖精に、俺は何のアクションも出せないでいた。


「あれあれ固まってるよ人間さん?言葉わかる??」


妖精さんは濡れたワンピースの端を絞りながら問うて来た。

鈴の音のような声に思わず聞き惚れてしまい、言葉が出なかったので俺は激しく首を縦に降る。


「うんうん。意思疎通は問題ないね」


背中の羽を震わせて水を飛ばしながら自身の細部を確認する妖精さん。


「…よ、妖精?え?本物?」


俺が言葉を発すると跳び跳ねて喜ぶ妖精。何気にデカイあれも飛び跳ねとる…服が濡れてスケスケなので目のやり場に困るのです。


「うん、本物だよ。パフって言うの」


笑顔でニコニコしている。か、可愛いい…


「…お、俺はショウだ」


「ショウね」


何だかんだで言葉を交わし、コミニュケーションを取ろうとしている俺、マジですか…夢だよな?


「ぱ、パフさん…ここは…どこか知ってる?」


「パフでいいよ。ここはね、モーラの骨董店だよ」


と言って、パフは羽をはばたかせ飛び立つと木製のドアノブに降り立ち、そっと腰かける。


「そこは?」


「店舗だよ。多分モーラも居るよ」


するとここはバックヤードか休憩所か?汚いけど…。

うーむ…どうあっても現状確認は必要だし。


「入ってみる、か」


どうぞ、と言う風にドアノブから俺の肩に飛び乗るパフ。

あ、何かの花の香りがする…。

とか考えながら戸を開けてみる。


「こ、こんにちはー…」


「モーラ!おはよー!!」


開けた先は真っ暗だった…なんも見えん。


「ど、どなたかいらっしゃいませんかー…?」


「おっかしいなぁ…2階かな~?」


2階があるのか…しかし、しつこいかも知れんが、マジでコレは現実なのか?

今俺は…夢でも観てるのか?

妖精と話しとる時点で、夢でしかないと思うが…やけにリアルなんだよなぁ…


「誰かおるのか?」


突然声がしたかと思うとパッと部屋が明るくなった。

光りに照らされて最初に見えたのは、ごちゃごちゃしたガラクタの山だった。

次に見えたのは。その山の側に立つ一人の小柄なお婆さんだ。


「だ、誰じゃ?そこで何しとるか!?」


お婆さんは、長い白髪を三つ編にし、民族衣装みたいな物を着ていた。

彼女は俺を見るなり警戒して、誰何をして来たが、俺の肩に座っているパフを見ると皴に埋もれた目をカッと見開いて叫んだ。


「んな!パフィリカじゃないか!?」


お婆さんは手をわなわなと震わせながら、ヨロヨロと近付いてくる。


怖い


何だか目尻に涙をためてらっしゃる…。

パフィリカとはパフのことだろうか?


「おはよモーラ。また皺が増えたね~」


パフが俺の肩からモーラさんの鼻に止まる。うぉ…スゲー!リアル鷲鼻だ…


あ!ジ●リだ!ユ●ー●だ!


「う、うるさいわい!しかしどうやって目覚めたんじゃ?あのガラス球に掛かっておった術は、後100年は解けないはず…まさかまた会えるとは…長生きはするもんじゃの~」


モーラさんとやらは鼻からパフを引き離しガラクタの山に座らせた。

どうやら久々の再会のようで、二人(?)の世界が出来上がってしまった。

話し掛け辛い感じがただよっとる…。


「ショウが出してくれた」


パフの紹介でやっとモーラさんが俺を見てくれた。


「ショウ?こいつのことかぃ?」


モーラさんは眉間に皺を寄せて言った。


「スカル系の魔属か?にしては魔力を感じないが…」


ひでぇ…つか魔属?


「ふふふ。モーラったら!ショウは多分、人間で間違いないよ?」


多分って…これはいかん、何か言わねば!


「に、人間…」


あぁ、もぅ…!

俺の馬鹿馬鹿!何故うまく喋れないかなぁ…。


「なんだ、喋れんのかい」


ジト目で見詰めて来るモーラさん…近いです。


「しかし、どうやってこの館に入った?あ、ちょっくら失礼」


と言ってべたべた触ってくるモーラさん…


「な、何を…?」


モーラさんは俺の体を、あちこち触りながら答える。


「動かんでくれ。なに、年寄りの一人暮らしじゃからな…悪いが身体検査じゃよ」


べたべた


「は、はぁ…?」


べたべた


「して、お前さん何用で…いや、どうやって入ってきた?」


べたべた…さわさわ


「じ、自分でもさっぱりでして…ちょっ!変なとこ触らないで!」


べたべた…カチャッ


「ふむ。喋らんか…ま、悪く思うな」


次の瞬間、バチッという音がして…俺は意識を失ったんだ。



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