三毛猫、(改めて)魔法を見る
魔法、使ってみたいなぁ……。
こう、ギ○デインとかア○テマとか使ってみたいよね。
どうも皆さん、サクラです。本日は、山に来ています。
ん? 何でいるか?
……猫ってさ、狭い所居ると落ち着くんだよ。だから、家にある適当な木箱の中で寝てたんだが……起きて出たら山に居たのさ。一緒に運ばれてしまったらしい。不幸だ。
まぁ、このままここに居ても暇だし、探検ってことで色々歩いてるんだけど、危険はないのかな。この世界って、魔法とか剣があるぐらいだから魔物とか、妖怪とか出て来るんじゃないか?
とか考えながら歩く。
「……」
…………。
「………………」
……なんか視線を感じる。
……いいな、俺。ゆっくりだぞ。ゆっくり後ろを向くんだ。何があっても逃げれるように、たとえ何かが後ろにいても、刺激をしないようゆっくりと……。
俺「……」
メートル級クモ「……?」
俺は、ゆっくりと顔を戻した。
……息をゆっくり吸って……。
「ギニャァァァァァッ!?」
「キシャァァァァァッ!!」
全力で逃げ出した。
マジかまじかまじか! まさかとは思ったけど、こうもいるもんなのかよ!!
「ギャッ!!」
「ニャッ!?」
何か、白いモノが俺に降りかかる。
ペロッ……これはクモの糸!
「フニャア!?」
馬鹿なことやってないで早く逃げなければ……そう思ったが、新しく吐かれた蜘蛛の糸に、今度は足を絡まれる。
ドシドシと音を立てながら、ゆっくりと近付いてくるクモ。無数の目でこちらをギョロリと一瞥。そして牙を大きく開けた。
――く、喰われるッ!?
そう思った。
だけど次の瞬間。
「ギャギャア!?」
クモの腹部に、半透明の何かが突き刺さる。
クモは、ギャアギャア叫びながらその場から逃げ出した。
な、何が起きたんだ……なんかつらら見たいのがクモの体に突き刺さって……わッ!?
ヒョイと持ち上げられる。
何かに掴まれた……そう思ったけど……。
「……サクラ、大丈夫か?」
目に入ってきたのはお父さんの顔だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お父さんは、俺が「サクラ」だと気づいて助けてくれたようだ。ようだっていうか、実際に「サクラ」って呼ばれたしな。
「何でこんな所居るんだ……」
木箱の中で寝てたらこうなりました。
「……兎に角、連れてかないとな」
その瞬間。
パァッと辺りが光に包まれた。
そして、気が付いたら自宅に。
「ニャニャッ!?」
つい叫ぶ。
そんな俺をよそに、お父さんは俺をテーブルの上に置いて、
「さて……戻るか」
またまた光に包まれる。
そして、気が付いたら姿は無かった。
「……」
な、何があったんだ? 光に包まれて、自宅にいて……あ。
「ニャア(魔法か)……」
勝手な推測だけど。……そう言えば、あの変態騎士様も色々出してたや……あれも魔法か。
「ニャー(人間だったらなぁー)」
調べる事も出来ただろうけど。今現在俺は猫だから難しいか。
……まぁ、とりあえず。魔法っぽい物があるってだけでも知ることが出来て良かった。これから面白くなりそうだ。
そう思いながら、俺は、その場に丸くなった。