表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界三毛猫珍道中  作者: 冴月(元:九尾の白狐)
辺境の村「ラークウッド」編
4/6

三毛猫、人気者になる

 とりあえず、俺の名前が「サクラ」に決まった。何か勝手に決められたが、致仕方なし。名乗る機会があれば(あるのか?)名乗っていこうか。


 んで、三毛猫たる俺の名前を決めた後は、みんな夕ご飯を食べて(俺にはシチューが出てきた。めっちゃ美味い!)風呂入って寝た。


 そして、エル宅で一夜を明け、今に至るわけだが……。



「サクラ~……」


 めっちゃ抱きつかれてます。


「ん~っ……」


 こら、スリスリすんな。毛並みが崩れんだろうが。


「エルー? ちょっと手伝ってくれないー?」


「はーい」


 お母さんに呼ばれ、タタタッとかけていくエル。



「……」


 そして、一人になる俺。元気なやつだなー。




「……にゃ(……はぁ)」


 猫になったせいか、すぐに眠気が襲ってくる。



 俺はその場で丸まり、寝に入った。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





「もふもふー」「ふかふかー」「柔らかーい!」「かぁいい……」「お持ち帰りぃ!」


「にゃあ……(なんか騒がしいな……)」


心地よい微睡みの中にいた俺だったが、ゴソゴソと話す声に意識の覚醒を余儀なくされる。


クワッ……と欠伸をして、顔を搔く。なんか流れでやっちゃったけど、なんの意味あるんだろこれ。



「立ったー」「起きちゃったー」「かわいー」「耳たってるー」「持って帰って良いかな……」



 それにしても騒がしいな……んにゃ!?


「こっちむいたー」「かわいー」「尻尾ピンってなってるー」「かぁいい……」「お持ち帰りぃ……」


 見ると、幼い子供達、およそ10人が俺のことを見つめていた。


「……うにゃ?(何で俺、子供に囲まれてんだ?)」


 周りを見ようとするが、四方八方を子供で塞がれていた。

 子供達の足の間を通り、包囲網から抜け出す。


「……にゃ?(……外?)」


 周りを見ると、昨日ちょろっとだけ見た景色そのままだった。……おっかしいな。部屋の中で寝ていたはずなんだけど……あ!


 俺を包囲した子供達の中に一人だけ見覚えがあった。


「あんまり痛くしないようにね。優しく優しく、だよ?」


「「はーい」」


 お姉ちゃん貴様かーっ!


 俺の心地良い睡眠を邪魔しやがって……許さにゃ!?


 いきなり、お姉ちゃんに持ち上げられる。

「猫さんはねー、耳の後ろとか掻いてあげたら喜ぶんだよ」

 そう言って、俺の耳裏を掻いてくる。……うわ、たまらんわこれ……。


 俺が気持ちよさ(変な意味ではない)に浸っていると、


「あの……触って良い?」


 一人の女の子が言ってきた。……さぁ、どうするお姉ちゃん。


「優しくしてね?」

 ヒョイッと俺を渡した。


「ありがとー……フカフカ」


 顔をこすりつけ幸せそうな顔をする。息を吸ってきたのはちょっと嫌だったけど、まぁ良いか。俺は猫だ。


「えっと……こうかな?」


 女の子が耳裏を掻いてくれる。はふぅ……。


「あー! りーちゃんずるいー!」


 俺の所に、他の子供達が寄ってくる。私も私もと子供は俺に触れてくる。悪い気はしないな、うん。


「あらあら、猫? 珍しいわねぇ」


 騒ぎを見て、近くで井戸端会議をしていたおばさん達も近づいてくる。


「……」


 無言で剣を振っていた、全身鎧の騎士も来た。


 そして、あっちにこっちに渡され、撫でられ。


 気がつけば、俺の周りには三十人以上の人で溢れていた。









 俺って人気者?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ