三毛猫、名前がつく
※2018.8.5:本文を校正&追加
俺は今。四角のテーブルの中央に座らされている。
逃げようにも、東西南北が四人の人で塞がれている為、出来ない。
俺の退路を塞いでいる者の一人。エルが口を開く。
「……それではっ! 今から猫さんの名前をきめようの会をしたいと思いまーす!」
「「「わー!」」」
「(『わー』じゃあねーよ!)」
ツッコミを入れるが声が届かない。不便だ……。
「それじゃあ、お母さん。なんか良い名前ない?」
エルが、俺を抱きながら聞く。……ちょっ、強い! 締め付けが強い!
「そうねぇ……ピーコ、なんてどうかしら」
それは鳥につけるような名前じゃないか?
「じゃあ、おすぎって名前の猫つれてこなきゃね!」
そっちの話!?
「お姉ちゃんは?」
「うーん……クリ○ン?」
俺に人間最強の名前を付けちゃいます?
「じゃあ私は「却下」」
お母さんが落ち込む。何故、いう前に却下されたのか……。
「じゃあ、エルはどうなの?」
お姉ちゃんが、エルに振る。
「うーん……」
真剣に悩み始めるエル。
数秒後、「これは名案!」と言わんばかりの顔をして、言った。
「……もう、名前考えるの面倒くさいから『ネコ』でよくない?」
「ニャアアアアッ!!(こらぁぁぁぁッ!!)」
「わっ!?」
突然鳴いた俺に驚き、抱き締めてた俺を離す、エル。
「にゃにゃあ!(何でだよっ!)」
「え、抱きしめてほしい? しょーがないなー……えいっ」
「ギニャッ!?(ぐわっ!?)」
再びエルに抱きしめられる。だから強いんだって!!
……と、いきなりエルの腕から引っこ抜かれた。
「あーっ! お父さん何するのーっ!」
お父さん? この、めっさ体格良いこのおっさんか。……やけに無表情だな。しかも顔こえー。
「……」
すると、お父さんはいきなり俺を撫で始めた。……なんか。すごく、大きいです(手が)。
俺が、テクニックにフニャフニャになっていると、お父さんが口を開いた。
「……サクラ」
サクラ? サクラ……桜の事?
「サクラって……東方のあのピンクの花の事?」
お母さんが聞く。
お父さんは、俺を撫でながら無言で頷いた。
「サクラ……サクラねぇ……良いんじゃない?」
お姉ちゃんが言う。
エルは、お父さんから俺を取り、抱き上げる。
「よーし! 今日からサクラってなまえだよ! よろしくねっ!」
ぎゅうっと、エルは俺を抱きしめた。……どーやら、暫くは逃げ出せないな。
ま、これからは「サクラ」として頑張りますか。
あれ? 俺、元の名前何だっけ……?