表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、最強伝説  作者: 一嘉
2/2

俺vs口裂け女





俺は、最強だ。

自分を特別な存在だと思い込んでいる、中二病の類ではなく、俺は本当に最強だ。どんだけ最強なのかと言うのを、これから綴って行こうと思うので、暇があれば俺に付きあって欲しい。


と言う事で、今回俺は口裂け女と戦う事にした。だがそうは言っても、口裂け女は口が裂けているだけで、別段何かに強い訳ではない。マスクで隠した口を見せ、これでも綺麗なのかと問い詰めて来る奴だ。


そもそも、本当の美人は『私って美人?』なんて聞かない。自ら聞かなくても、回りが『美人だね』と言ってくれるからだ。この場合、マッハババアの時とは違って、口で彼女を言い負かす事になりそうだ。


その前に、口裂け女について語るとする。取り敢えず、口が裂けている。どのくらいかと言えば、耳に届きそうな程に口が裂けている。その裂けた口を大きなマスクで隠し、通りすがりの人に自分は綺麗かと問いかける。綺麗だと答えれば、マスクを外して『これでもか!』と問い、驚いて逃げると追いかけて来て、持っていた鎌で逃げた者の口を裂くらしい。一つだけ言わせて貰うとすれば、銃刀法違反と言えるだろう。


さて、その口裂け女と戦うべく、俺は彼女を探した。学校が終わってから町中を歩き回り、やがて夕日が辺りを染める中、電柱の影に立っている真っ赤なコートの女性を発見した。黒髪で、大きなマスクを付けている女性。もしや、口裂け女では……? 期待に胸を膨らませつつ女性に近づくと、女性は俺に気付いて目だけで微笑みかける。そして、彼女も俺との距離を縮め始めた。



「ねえ、私……きれい……?」



BINGO! 彼女こそ、俺の求めた口裂け女に違いない! マッハババアの時には数日探し回ったが、初日で出会えるなんてなんてラッキーなんだ! 感謝するように天を仰ぎ、彼女の質問に返事をするべく、俺は彼女をひたと見据えると──。



「そもそも、君は何の美しさを求めているのだね? 外見か、心か、はたまた魂か? 外見だとしたら、それは君の間違いだ。人間と言うのは外見に囚われ過ぎなのだ。いいか、どんな綺麗な女性でも一皮向けば人体模型と同じだ。その場合どうやって美しいと判断出来る? 骨格か? それも有りありだろう、ただその場合はレントゲンを取らなければわからない。では皮膚か? 皮膚の美しさもありだ、しみ・くすみ・毛穴の開きもなく、まるで生まれたての赤子のような肌なら美しいと言える。ただ皮膚は日々受ける紫外線により、劣化していく。幾ら美しくても、保つ事が出来ないのならば意味はない。ならば声はどうだろうか? 声の美しさと言えば、声を売って生計を立てている物もいるからな。しかし、声の好みと言うのは千差万別。あの声が好きだ、この声が好きだ、この歌手の声はいまいち、なんてのは幾らでもある。だとすれば、声の美しさは100人居れば100通りの物となってしまうだろう」

「え、あ、は、わ、私、きれい……?」



これだけ説明したのに、口裂け女は全く人の話を聞いていないのか、愚かにも同じ問いを繰り返す。質問の仕方に工夫を持たせたらどうだろう、何十年も前から存在する都市伝説の癖に、直球だけで変化球を持っていないのはなんたる事か。


俺は溜息を吐いて肩を竦めると、彼女にビッと指を指し、『人の話はきちんと聞け!』と叱り付ける。彼女は目を真ん丸くして一つ頷く。どうやら聞く気になったようなので俺も頷き、君の質問は漠然とし過ぎているだろう、と再び説教へ。



「さっきも言ったが、君は一体自分の何を美しいかと聞いているのだね? 大体、人の好みは色々だと言った通り、君の事を好みの男性も居れば、好みではない男性も居る。女性であっても、好みと言うのは全く代わるものだろう? そうじゃなければ、某アイドルグループで〝~推し〟と言う言葉が生まれる筈がない。好みがあるからこそ、推しメンが違うのだから。まあ、それは置いておいて、君が綺麗かどうかと言うのを俺の意見から言わせて貰うと、俺としては顔に重点を置いてはいない。だから君の顔が綺麗かどうかと聞かれれば、顔には興味はないから答える事は出来ない。ここまでは良いか? では俺が綺麗かどうかを判断するのは、ただ一箇所。心? 違うな、心と言うのは理不尽にぶつかればぶつかる程、少しずつ汚れていく。生まれたばかりの無垢な心をずっと保っていられる人間は少ない。では魂? そもそも魂とは一体何か、と言う話になると、とても難しい話になる。最終的には宗教絡みの話題まで出そうになるから、正直良しとはしない。じゃあ、俺が一体何に美しさを見出すか……。答えはたった一つ!」



俺は彼女に向かって言い切ってから、一言。『服を脱げ』と。えっ、と言う表情を見せるが、俺には彼女の驚愕などどうでも良い。口裂け女、口が裂けていようがいまいが、それもどうでも良い。自分が美しいかどうか、それを聞いて来るのならば、俺が判断するのは、ただ一つ。



 乳 だ。



俺は形のよい乳を持つ女性を、〝綺麗〟だと思っている。大きすぎず、小さすぎず、垂れておらず、張りがあって、乳輪もバランスの良い大きさを持っている女性を。無論、乳輪の中央部にある乳首の形も重要である。


俺にとっての美しい女性は、顔ではない。体のバランスでもない。乳、それに限る。なので俺は、口裂け女に向かって言ったのだ、服を脱ぎ、乳を見せろ、と。俺の美しさの基準は、顔ではなく乳なのだ、と。俺に自分が美しいかどうかを判断させたいのならば、乳を出すのだ! と。


口裂け女は俺の宣言を聞いて視線を彷徨わせ、どうしようかと混乱しているのが窺える。だが俺は追撃を休めず、美しいかどうかを判断してやろう、乳を出せ、乳を出せ、さあ、コートの下に隠されたお前の乳を出すのだ! と彼女との距離を詰めれば、口裂け女はマスクに隠れていない部分の顔を真っ青にして、俺の前から逃げ出した。



「こら待て! 自分から声を掛けて来て、逃げるとは何事だ!」



先程まで俺が歩いていた方角に逃げ出す口裂け女と、口裂け女を追いかける俺。100mを3秒で走る事が出来ると言う噂もあるが、俺は先日マッハババアに勝った男だ、口裂け女の速さなどマッハババアに比べれば可愛いもの。


俺は口裂け女に向かって『乳を見せろ!』と叫びながら、追いかける、追いかける、追いかける! 時折後ろを振り返っては、涙目になって逃げ惑う口裂け女。『ごめんなさい!』『もう聞かないから!』『お願い、許してぇ!』と言う悲鳴のような声は無視し、口裂け女を行き止まりまで追い詰め──。









「中の下」



顔を手の平で覆い、しくしくと涙を流す口裂け女。俺は女に振り返る事はなく、『これに懲りたら、2度と誰かに聞いて回らないように』と言って家に向かって歩き出す。


途中、俺の叫びと口裂け女の悲鳴を聞き、変質者が女性を追い掛け回していたと言う通報を受けた警察に職務質問されたのは、心外だと言っておこう。俺は人間の女性を追い掛け回していたのではなく、都市伝説を追い掛け回していたのだから、犯罪ではない筈だ、と。





都市伝説〝口裂け女〟

女性のくびれに魅力を感じる、男性の鎖骨に魅力を感じる、主人公は美乳に魅力を感じる。

──と言う事で、主人公が変態ちっくになった話ですが、私は谷間より下乳に魅力を感じます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ