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9才の誕生日。深夜に目覚めて1人リビングに向かった。

作者: 麗々鹿之助

カクヨム様にも投稿しています

9才の誕生日。深夜に目が覚めて布団を抜け出す。

寝ている親を置いてリビングに1人向かう。寒さ、不安、僅かな高揚。暗く、空気は僅かに冷えた。


テレビをつける。パッと眩しい光と共に、やけにうるさい音が鳴って、急いで音を下げる。いつも通りの音量かを疑う程部屋に響いた感覚があった。


グニグニとした音量ボタンを何度も押し、音量を5まで下げる。心臓が早鐘を打つ。

テレビで珠に見る芸能人の出演しているテレビショッピングの音が僅かに漏れ聞こえる。親にばれていないかしばらく息を潜めた。親は降りて来ない。ばれていない。


だんだんとワクワクしてきた。少し音量を戻す。静かな部屋では8程度で十分聞こえた。家族で食卓を囲う時は音量を22まで上げるのに。


チャンネルをいくつか変えて見て回る。深夜のラインナップはなかなかピンと来ない番組ばかりだ。洋画、音楽、ショッピング。そして、異音を放つカラフルな画面。びっくりして体が固まる。画面の文字いわく試験電波と言うらしい。


少し怖く感じ、直ぐに別の局へと切り替えた。

その中でホワイトボードと胡散臭い男1人が写るチャンネルを見つけた。


アニメについて語っているらしく、気づくとテレビは紹介されたアニメが流れ出した。

キラキラした女の子が可愛い声で喋る。


ホワイトボードと男いわく日常系アニメと言うらしい。ぼんやりと眺める。どうにもアニメを流す時間が比率の大部分を占めているらしかった。


あっという間に20分程経つと、男がまた来週と間延びした声で言う。

見ると壁の時計は1時を指している。

テレビの画面は異音と共にカラフルな画面へと移った。試験電波だ。


別の番組を探る気も起きず、電源ボタンを押してテレビを消す。一瞬世界から音と光が消えたかと思った。


一拍開けて耳が音を拾う。自身の高鳴る心臓と時計の秒針の音だけが聞こえてくる。それから5分。心臓が落ち着いた。


カーテンの隙間の月明かりを頼りに寝室に戻ると、親が薄目で起きた。トイレに行ったのかと聞かれ、うん、と嘘をつく。


寝ようと布団に潜ってから、頭がずっと回り続ける。


不安や緊張を思い出す。テレビに写る映像。感じた達成感と高揚。頭の中では上映会が開催されている。

たった今起きた25分間を繰り返し思い出す。どうにも、しばらくは寝付けそうもない。

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