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ハロウィンナイト猫になった夫と笑顔になった妻

作者: 星川亮司

 東京の下町に住む桜夫婦は、普通の夫婦だった。夫は酒屋で働き、妻は家事をしていた。二人は仲良く暮らしていたが、夫には一つだけ欠点があった。それは酒癖が悪いことだった。


 夫は仕事帰りに酒場に寄り、酔っ払って帰宅する日々だった。そして酔っ払って帰宅すると、妻に暴言を吐いたり暴力を振るったりすることもしばしばだった。妻は夫を愛していたから耐えていたが、心では苦しんでいた。


 そんなある日、夫は仕事帰りに芝浜という繁華街に立ち寄った。そこではハロウィンというお祭りが盛大に行われており、人々は仮装して楽しんでいた。夫も仮装してみようと思って酒場に入ったが、そこで出会ったのは運命の出会いだった。


 夫は酒場の店主から猫のコスチュームを借りて着た。すると、夫は不思議な感覚に襲われた。自分が猫になったような気がしたのだ。夫は猫のコスチュームを着たまま酒を飲んだが、酔いが回るにつれて、猫の気分になっていった。


 その頃、妻は家で夕食の支度をしていた。妻も猫が好きで、家に三匹の猫を飼っていた。その日はハロウィンだったので、妻は猫たちに仮装をさせて写真や動画を撮っていた。そして、その写真や動画をねこねこネットワークというインターネットサービスに投稿していた。


 ねこねこネットワークは、ハロウィンに仮装した猫の写真や動画を投稿したり、見たりすることができるサービスだった。猫好きな人にとっては、このサービスはまさに天国だった。妻はこのサービスの常連で、自分の猫たちの写真や動画をよく投稿していた。そして、他の人の猫たちの写真や動画も楽しく見ていた。


 妻は猫たちに仮装をさせて写真や動画を撮ることが大好きだった。それは、猫たちを自分の子供のように愛していたからだった。そして、その愛する子供(猫)たちがかわいくて誇らしくて仕方なかったからだった。そして、そのかわいさや面白さを他の人にも見せたいという気持ちがあったからだった。


 妻は夫にも同じような気持ちを持っていた。夫も自分の子供のように愛していたし、夫がまっとうな働き者になってくれれば誇らしく思うし、夫の良いところを他の人にも見せたいと思っていた。しかし、夫は酒癖が悪くて、毎日酔っ払って帰ってきては暴言や暴力を振るってきた。それに耐えるのはとても辛かったし、夫に対する愛情も薄れていった。


「ああ、どうしたらいいんだろう。夫が酒をやめてくれればいいのに」


 妻はそう思いながら、時計を見た。すると、もう夜の九時になっていた。


「もうこんな時間か。夫はまだ帰ってこないのかな」


 妻は心配になった。夫は普段は八時くらいに帰ってくるのだが、その日はまだ帰ってきていなかった。


「どこで何をしてるんだろう」


 妻は夫に電話をかけようと思ったが、すぐにやめた。夫は酔っ払って電話に出なかったり、出ても怒鳴ったりすることが多かったからだ。


「まあ、いつものことだ。今日も酔っ払って帰ってくるんだろう」


 妻は諦めて、夕食の支度を終えた。そして、テーブルに食器を並べた。


「せめて一緒に食べられればいいのに」


 妻はそう言って、テーブルに向かって座った。すると、玄関のドアが開いた。


「ただいまー」


 夫が帰ってきた。夫は猫のコスチュームを着たままだった。


「おかえりなさい」


 妻は夫を見て驚いた。


「あなた、何それ?」


「これ?これは猫だよ」


「猫?」


「そうだよ。俺は猫だよ。今日はハロウィンだから、仮装してるんだよ」


「仮装?」


「そうだよ。仮装はね、楽しいことなんだよ。俺とももこが一緒に笑って幸せになれることなんだよ」


「笑って幸せになれる?」


「そうだよ。笑って幸せになれるって知らないのか?笑って幸せになれるはね、俺とももこが愛し合って心から想い合えることなんだよ」


「愛し合って心から想い合える?」


「そうだよ。愛し合って心から想い合えるって知らないのか?愛し合って心から想い合えるはね、俺とももこがこのお菓子を食べてハロウィンを楽しむことなんだよ」


 夫はお菓子を妻に渡した。妻はお菓子を受け取ったが、食べる気にはならなかった。


「このお菓子を食べてハロウィンを楽しむこと?それって、どういうこと?」


「それはね、君とこうしてハロウィンの日に猫になってバカやって、一緒に笑いあう日常があるんじゃないかと思ったんだよ」


 夫はそう言って、妻に頬にキスをした。すると、夫がお菓子をあげた猫たちが歌って踊り出した。


 ♪ハロウィンは楽しいね 猫も人間も仲良くね お菓子を食べて笑顔でね 愛情の絆を深めようね♪


 猫たちの歌声が夫婦の耳に届いた。夫婦は猫たちの歌声に感動した。


「わあ、すごい!猫たちが歌って踊ってる!」


「すごくかわいい!すごく楽しい!」


 夫婦は猫たちに笑顔で応えた。そして、猫たちと一緒に歌って踊った。


 ♪ハロウィンは楽しいね 猫も人間も仲良くね お菓子を食べて笑顔でね 愛情の絆を深めようね♪


 それを見ていた通行人が夫婦と猫たちが踊る写真をねこねこネットワークにアップした。写真にはたくさんのいいねがついた。妻を知っているフォロワーが見つけて祝福の輪が広がった。


「ももこさん、おめでとうございます!夫さんと仲良くなられたんですね!」


「ももこちゃん、すごいね!夫さんと猫さんと一緒にハロウィンを楽しんでるね!」


「ももこ先生、お幸せに!夫様と猫様と仲良くしてくださいね!」


 妻はねこねこネットワークで自分の写真を見て驚いた。そして、フォロワーからの祝福のメッセージを読んで感動した。


「ありがとう、みんな。私も夫も猫たちも幸せです」


 妻はそう返信した。そして、夫に抱きついた。


「ありがとう、あなた。私はあなたが大好きです」


「ありがとう、ももこ。私もももこが大好きだよ」


 夫婦はお互いに愛を告白した。そして、猫たちに囲まれて幸せに笑った。


 ♪ハロウィンは楽しいね 猫も人間も仲良くね お菓子を食べて笑顔でね 愛情の絆を深めようね♪

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