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風の少女と呪いの絆6  作者: たき
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(2)

 武闘学科の合同野外研修は、過去一度も雨に降られたことがないと言われている。雨の中の訓練も重要な経験でありながら、なぜか降らないのだ。

 今年もまた目にしみるほどの青空が広がる中、武闘学科三専攻の生徒たちはヒュポモネ―山地に到着した。

 休憩する間もなく各班ごとに整列する。フォルマはブレイとともに、槍専攻副代表カルパ・ウォークと合流した。

「昔みたいに班対抗戦があれば、今年は俺たちが優勝したかもな」

 班分けはくじなので、各専攻の代表や副代表が同じ班にかたまってしまうこともある。そうなると初日の班対抗戦はどうしても強い者の多い班が勝ってしまうため、今は班対抗戦はなくなり、一日ごとに用意されていた課題をまとめて初日に渡され、三日かけてこなす形になっている。

 カルパの言葉に、剣専攻生で実力は副代表のグラノ・レッハにつぐ三番手と評されているホルツ・バリアーも笑った。

「ブレイとフォルマがいれば、さすがのオルトやソールも迂闊に接近戦に持ち込めないもんな」

 今回ソールの班にはグラノと弓専攻のケルンがいて、そこも強いと皆からうらやましがられていた。もし決勝戦まで勝ち進めば、確かにそことの勝負になっていた可能性が高い。

 剣専攻担当のトルノス・カルタ教官が、このところ人鳥(じんちょう)がうろついているなど注意事項を伝えた後、各班の代表が課題のくじを引きに行く。それからぱぱっと昼食をすませ、フォルマたちは採取するものをどの順番で集めていくか話し合った。

 先輩の情報によると、近場のものは今日のうちに採りにいかないと間に合わなくなるらしい。採取物の組み合わせは槍専攻のピュール・ドムス教官が毎年担当していて、正しい採取計画でのぞめば余裕だが、順番を間違えれば時間内に終わることはまず不可能という、恐ろしいまでに計算された課題だという。

「アン・ポア草って何だ?」

「こっちの鉱石を先に採りに行ったほうがよくないか?」

「うわ、これ夜中に咲く奴じゃないか」

 どの班も車座になってがやがや言い合っている中、カルパがつぶやいた。

「フラグラーレってたしか、炎の神の守護を受ける人間にしかさわれない木の実だったよな」

 それ以外の人間がさわると全身に火がまわって焼け死んでしまうという実だ。

「これはフォルマに任せればいけるな」

「無理だよ。私の守護神は風の神だから」

「えっ、レオンと双子なのに守護神が違うのか?」

 カルパをはじめ、同じ班の仲間が目をみはる。

「わりとよくあることみたいだけど」とフォルマは苦笑した。

「ああ、じゃあ俺がやる。俺の守護神は炎の神だから」

 ホルツが挙手する。適任者がいない場合は他の班に協力を求めることが許可されているが、採取時に近くにいなければ時間のむだになる。そのため、この事前会議の間に同じ方向に行きそうな班を探して交渉するのは非常に重要だ。

 時折各班の生徒が他の班を訪ね、情報交換をする。フォルマの班にもオルトがのぞきに来て、互いの採取物と予定進路を確認して去っていった。

 オルトの班にはモスカがいる。女生徒たちにずいぶんうらやましがられていたが、モスカはオルトにまったく興味がないらしく、完全に無反応だった。

「よし、これでどうだ、ブレイ?」

「問題ないはずだ」

 皆の意見をもとに書いた計画書をカルパが見せる。班の代表であるブレイがうなずき、念のため班全員で再確認してから、フォルマたちは腰を上げた。見ると、いくつかの班がすでに行動を開始している。

 オルトの班も出発するところだったので、フォルマが片手を小さく挙げると、オルトも微笑しながら親指を立てた。

 つとモスカと視線があった。歩きながらの流し目だったが、モスカはフォルマと――ブレイを見て、すっと顔をそらし、オルトについていった。

 まただ、とフォルマは歯がみした。モスカのまなざしを受けるとなぜか寒気が走る。自分に対して好意的でないのは何となく感じるが、理由がわからない。

「フォルマ、行くよ」

 ブレイの声かけが耳をかすめた瞬間、フォルマは不意に理解した。

(ああ、そうか……)

 モスカが自分に目を向けるのはいつも、ブレイがそばにいるときだ。

 もしかしたら、モスカはブレイのことが好きなのかもしれない――そう考えが及ぶと、なぜか鼓動が速まった。

「フォルマ?」

「!?」

 いきなり鼻先が触れ合うほどにブレイの顔が迫り、フォルマは身を引いた。

「ぼうっとしてる。どこか具合でも悪いのか?」

「悪くない! 悪くないからっ」

 熱でもはかろうとしたのか、額と額をくっつけようとしたブレイを慌てて押し返す。考え事をしていた自分にも非はあるが、さすがに距離を詰めすぎだ。

 カルパたちも目を丸くしている。

「……あー、事前に確認させてもらうが、お前たちまさか――」

()()()同期生だから。それ以上でもそれ以下でもないよ」

 遠慮がちなホルツの質問にかぶせて弁明するフォルマに、ブレイは首をかしげた。

「僕とフォルマは仲良しだと思っていたんだけど」

「いや、うん、そうだね。でもそれは代表と副代表としてだよね」

 明らかに不満げな顔で沈黙するブレイの肩をカルパがたたいた。

「落とすにはもう少し押さないとだめみたいだぞ、ブレイ」

「……わかった。本気を出すことにする」

 真顔で答えるブレイに間髪入れず「出さなくていい!」とフォルマは返した。微妙だった班内の空気がひやかしに変わるのを肌で感じ、四方ににらみを飛ばしてからかいを封じる。

「ほら、もう行かないと」

 居心地の悪さもあってフォルマがうながすと、「そうだな」とカルパたちも賛成し、ようやく班は動きだした。

 本来は班の代表が先頭に立つが、ブレイは弓専攻のため列の真ん中あたりに入り、先頭は副代表のカルパ、一番後ろはホルツが担当することになった。フォルマはブレイに手招きされ、ためらいつつもブレイの後ろに並んだ。

 皆の前でまたおかしなことを言われはしないかと警戒したが、そのうち課題をこなすことに全員が必死にならざるを得なくなり、周囲であちこちの班が問題発生に慌てふためいているのを尻目に、フォルマたちはどうにかその日予定していたものをすべて採取することができた。



 毎年、初日だけは宿舎で休む。部屋分けは例年どおり男子は班ごとにかたまり、人数の少ない女生徒は一部屋にまとめられることになった。

「合同研修の間ずっとソールの作ったものを食べられるって、すごい幸せだよな」

 寝床を整えながら言うケルンに、グラノがうなずいた。

「あんなにうまいものを食えたら力も出るし、課題はさくっと片付けられそうだ」

 昔は班対抗戦で負けた班が夕食を作っていたらしいが、今は各班から一名ずつ選出された料理係が共同で準備する。役割は兼任も可なので、班代表だったソールが料理係も引き受けたものの、最初にソールの料理を食べた生徒が大声で絶賛したせいで人が集まり、あっという間に大皿がからっぽになってしまった。

 明日の朝食は班によって時間がばらばらで、早くに出発する班は自分たちの分だけ作ることになっている。そのため、早出の班かつ今日食いはぐれた生徒に泣きつかれたが、こればかりはどうしようもなかった。他の班の分まで用意しては研修にならないし、おそらく父から注意を受けるだろう。

 皆からうらやましがられたグラノたちが得意満面なのを横目に、ソールは他の生徒が作ったものを黙々と口に運んだ。出来はどうであれ、料理係全員が苦労しながら完成させたのだから、できるだけ残さないようにしたかった。

 それでもほとんど減っていない料理がいくつかあり、作り手がしょんぼりしていたので、ソールはその生徒をそっと呼び、今からでもましになる調味料を教えて持ってこさせた。ソールの指示で味を調えた後はおかわりも増え、どうにか完売したが、薄味のものは対処できても濃すぎるものは残念ながら手の施しようがなかった。

 自分も最初の頃はひどかった。それを、父は黙って全部たいらげてくれたのだ。そんな父を見て、文句を言っていたペイアも頑張って食べるようになった。

 今は自分の腕も上がったので、二人とも毎日の夕食を楽しみにしてくれている。作ること自体は苦ではないし、おいしそうに頬張る姿を見ると励みになる。

 前半組の入浴が終わったらしく、後半組の入浴をうながす声が廊下を走っていく。自分の袋から着替えを出そうとかがんだはずみに胸ポケットからお守りが落ち、それを空中でつかんだソールは、脳裏に浮かんだ贈り主に瞳をすがめた。

 冒険に出たときは食材が乏しいこともあるが、何を作ってもみんな口をそろえてほめてくれる。中でもいつも自分がその反応をうかがい、満足げな様子だとほっとする相手……。

「うわ、すごいボロボロなお守りだな」

 さすがに風呂には持っていけないので袋にしまいかけたところで、背後からのぞき込んだグラノにあきれられた。

「こいつにはだいぶ助けられた。この間も木に絞め殺されそうになったが、どうにか生きのびたからな」

 ソールの説明に、「いったいどんな状況だよ」とグラノが半笑いで突っ込む。

「新しいものに替えればよかったのに。昨日、埋もれるくらい女子に囲まれてたじゃないか」

 まあ、俺もだけどとグラノはにんまりして、実はいくつか持ってきたんだと言って袋の中を見せた。

「グラノ、すげえ」

「自慢かよ。くそー」

 ケルンたちが悔しそうな顔をする。

「ソールやオルトには遠く及ばないけどな」

 謙遜しているわりにふんぞり返っているグラノに、ソールもつられて微苦笑を漏らした。

 普段は贈り物を拒んでいるオルトも昨日は受け取っていた。正確には、オルトが断るのを見越した女生徒たちが結託し、まず最初に広げた袋を渡してからいっせいにお守りを入れていったのだ。

 誰からもらったかわからなくなれば突き返すこともできなくなる。オルトの性格上、お守りをその場に捨てて帰るまねもしないはずだと彼女たちも読んでいたらしい。自分の存在感を主張するよりお守りを渡すことを優先した彼女たちの作戦に、かたくなだったオルトもついに負けを喫した。

 袋がはち切れそうなほど詰め込まれた大量のお守りをかかえ途方に暮れていたオルトに、町の礼拝堂に納めにいくことをソールは勧めた。自分はいつもそうしているからと。

 以前似たようなことがあったとき、廊下でたまたま出会った風の法担当ニトル・ロードン教官に教えてもらったのだ。お父さんに引けをとらないモテっぷりだねと笑われたが、ロードン教官はゲミノールム在学中、父と剣専攻生とで人気を三分割していたと聞いている。

「弓専攻は女子が多いんだから、お互いに買って交換してもよかったんじゃないか?」

 グラノの言葉にケルンはむくれた。

「交換も何も、フォルマは俺たちよりたくさんもらってたし」

「女に負けたのかよ」と爆笑するグラノのそばで、同じ班の男子たちが納得顔になった。

「なんかわかる。フォルマって女子受けしそうだよな。そこらの男より格好よく見えるっていうか」

「弓専攻はいいよな。フォルマとかモスカとか美人がいるから、妄想するだけでも毎日が楽しそうだ」

 次々に漏れる意見にケルンはかぶりを振った。

「向こうからすれば俺たちは恋愛対象外だぞ。同じ専攻内であの二人が好きになるとしたら、ブレイくらいじゃないか?」

「え、何? フォルマとモスカがブレイを取り合ってるのか?」

 食いつくグラノに、「いや、フォルマはわからない」とケルンは苦笑した。

「モスカは俺たちとはいっさいかかわらないけど、フォルマは誰に対しても態度が変わらないから。でもブレイは……」

 そこでふっとケルンが口を閉じる。しばし迷うそぶりを見せ、結局ケルンは「ほら、早く行こうぜ」と話を終わらせた。

「もったいぶりやがって」と舌打ちしたグラノは、追及の先をソールに変更した。

「ところでソール、そのお守り、もしかしてリリーがくれたのか?」

 答えないソールに、「当たりか」とグラノがにやりとする。

「オルトはリリーからもらっていないはずだけどな」 

「これは誕生日用としてもらったんだ。仲間内で祝うつもりだったみたいだが、俺の誕生日はとっくに過ぎてたから。別に深い意味はない」

 オルトも誕生日には同じものをもらうだろうと言ってソールはごまかしたが、グラノは「あげるほうに深い意味はなくても、もらうほうにはあるってことだろ。そんなになるまで大事に持ち歩いてるんだから」と指摘した。

「だから、違うと言ってるだろう」

 他に返しようがなく、ついきつい語調になってしまったソールは、ひるむことなくにやつくグラノから目をそらした。オルトとよく行動をともにしているグラノに勘繰られるのはまずい。

「あいつはみんなに優しいんだ。変な誤解をするな」

 それ以上余計な質問が来る前に、ソールはさっさと風呂場へ向かった。だから背後でグラノがどんな表情をしていたか、見ることも気づくこともなかった。



「ふう、さっぱりしたね」

「まともに体を洗えるのって今日だけだもんね」

 明日からは班ごとに天幕を張って過ごすため、着替えることはできても入浴まではできない。武闘学科に入学したのだから覚悟はしていたが、一番汗をかく時期だけにつらい。

 今年の女生徒は全員弓専攻だった。布団を敷きながらの話題はやはり男子生徒や好きな人のことで、今日の実習で誰々が意外と頼りになったとか幻滅したとか、本音を暴露していた。

「……でね、困っていたらちょうどソールの班が通りかかって、さっと手伝ってくれたの。ああいうところが本当に格好いいわ」

 恩着せがましさなど微塵も感じさせず去っていったソールについて、一人が熱を込めて語る。

「ソールの気づかいって自然体だよね。あんなに強いのに威張らないし。冒険中もそうなの?」

 話を振られ、フォルマはうなずいた。

「うん、あのままだよ。オルトとソールがちゃちゃっと動くから、私の出番はほとんどないくらい」

「いいなあ。ソールもオルトも一緒だなんて、すごく贅沢な集まりだよね」

「ていうか、みんな代表か副代表って、それだけで豪華だし」

「そういえば、レオンとチュリブって付き合いだしたの?」

 レオンを好きな教養学科の友達がへこんでるんだけどという言葉に、フォルマは苦笑した。

「あー、まあ……一応まだみたいだけど、時間の問題かな」

「なんか、チュリブが大変だったんだって? それをレオンが助けに行ったって聞いたよ」

 皆のおしゃべりはとまらない。入手した情報から勝手に想像して勝手に盛り上がる同期生たちに、フォルマは黙ってにこにこと聞くだけにしていたが、いきなり「で、フォルマの好きな人って誰?」といっせいにふり向かれ、たじろいだ。

「今は特に……」

 ある人物の輪郭がふっと脳裏をよぎり、鼓動がはねる。

「オルトもソールも違うの?」

「あの二人は信頼できる冒険仲間というだけだよ」

「えー、もったいない」

「ルテウスは?」

「ただの幼馴染」

「私、見たよ。エラルドからお守りをもらってたでしょ」

 弓専攻の女生徒の仲では一番仲がいいメリ・ジュンゲルの発言に、きゃあっと悲鳴が上がった。

「エラルド? いいじゃない。将来有望だし、恋人としても結婚相手としても安定感があるわ」

 浮気しそうにないよねという意見に、今からその心配をするのかとフォルマは笑ってしまった。

「モスカは?」

 部屋のすみで壁にもたれて本を読んでいたモスカを、メリがふり返る。

「えー、モスカはさすがにいないんじゃない?」

「オルトが同じ班なのに喜びもしなかったんだから」

 半分嘲笑気味に否定する同期生たちの声に、モスカの答えが重なった。

「ブレイ」

 しん、となった。それまでの浮ついた空気を霧散させたモスカは、もう一度はっきりと口にした。

「私はブレイが好きよ」

 普段ほとんど感情がこもることのない褐色の双眸にじっと見据えられ、フォルマはこわばった。 

 まさかモスカから返事があるとは予想していなかったらしく、みんな顔を見合わせている。それでも話を振ったメリが「あ、そう……なんだ」と愛想笑いを返した。

「私、食堂でお茶をもらってくる」

 寝る前に水分補給をしておかないととフォルマが立ち上がると、「私も行く」「私も」と皆が続いた。

 結局モスカだけを残して食堂に行くことになり、フォルマはよけいに気まずさを覚えたが、周りはむしろあの場を逃げ出せたことにほっとしているようだった。

「びっくりしたね」

「モスカがあんなに堂々と好きな人を言うなんて思わなかった」

「ブレイかあ。まあ、納得だよね。時々一緒にいるし」

「あの二人、何となく雰囲気が似てない? 独特っていうか、謎めいてるっていうか」

「そうかな。ブレイは確かに自分からはあまり話さないけど、モスカほど冷たい感じはしないよ」

 上達のコツなど質問すれば丁寧に教えてくれるし、雑談にも応じてくれるという反論に、うんうんと同意の声がわく。

「それにブレイは――」

 全員の視線がフォルマに向いた。

「な、何?」

 動揺するフォルマに、メリたちは目を輝かせた。

「ブレイって、フォルマに気がありそうだよね」

 沈黙したのがまずかったらしい。そこからいっせいに追及が始まった。

「やっぱり。フォルマも心当たりあるでしょ」

「絶対そうだよね。ねえ、ブレイと何があったの?」

「何もないよ」

「実はもう告白されたとか」

「されてない」

 いたたまれなくなり、フォルマは駆けだした。

「あ、待ってよ、フォルマ」

「私たちの仲じゃない。教えてよー」

 食らいつく同期生に「だから、何もないってばっ」とふり返りざま叫んだフォルマは、誰かにぶつかった。

 はね飛ばされてあおむけに倒れかけたところで、がしっと背中に回された手に引き寄せられる。

「大丈夫、フォルマ?」

「ご、ごめんっ」

 自分を抱き支えたブレイを慌てて押し返して抱擁から逃れる。意外と筋肉質だったかたい胸の感触に、フォルマはドキドキした。

 よりによってここでブレイに遭遇するとは。ちらりと視線を投げれば、メリたちが興味深そうに自分とブレイの様子をうかがっている。

「けがはない?」

「うん。その、ありがとう。明日早いからもう寝ないとね」

 顔をのぞき込んでくるブレイに日中の出来事を思い出し、フォルマは一気に後ずさった。そしてくるりと身をひるがえす。

 今は恋愛事は避けたい。誰かと異性を取り合うような揉め事も嫌だ。この場にレオンがいたら絶対にからかわれていただろう赤面を必死に隠しながら、フォルマは追いすがる友人たちを振り切る勢いで、来た道を引き返した。 


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