ひまわり畑のゴミたち
ここはあまり繁盛していないひまわり畑。ゴミが毎日のように不法投棄され、ゴミ捨て場か観光地か曖昧だった。
「なぁなんで俺たちこんなところにいるんだ?」
「知らねぇよ。その頭上のひまわりにでも聞いてみたら?」
ゴミたちはやいのやいの言いながら、随分と高い太陽のようなひまわりに話しかけた。
「やいやい、そこの背の高いひまわりさんよ、なんで俺たちはここにいるんだ?」
「知りませんよ。人間がここをゴミ箱と勘違いしたんじゃ無いのですか?」
ひまわりは気高く、丁寧な口ぶりだった。
「じゃあよう、どうやったら俺たちはちゃんと生まれ変われるんだ?」
「それこそ知りません。少し自分達で考えたらどうですか?」
ゴミたちはやれやれと言わんばかりに、ぞろぞろと集まり会議をし始めた。
「なぁどうすれば俺たちが次のものに生まれ変われるのか相談しようぜ」
「あぁそうだな、そろそろこの缶コーヒーの姿も飽きてきたしな」
「しかしよう、どうすればいいって、俺たちは動けることがバレたら大変なことになるんだぜ?どうしろってんだよ」
集まったゴミたちは、うーんと頭を悩ませた。
「ひまわりみたいに華やかで背が高かったらなぁ」
「だよなぁ、少しは違うゴミ生だったかもなぁ」
その一言に突然、一つのゴミが飛び跳ね始めた。
「それだよ、それ!」
「何言ってんだよ、ひまわりになれるわけないだろ」
「いや、ひまわりそのものじゃなくて、ひまわりの形になって人間たちに俺らはここにいる!って伝えるんだよ。こんな背の高い中じゃ俺たちの存在なんてわかりっこない!」
「うーんまぁそりゃそうかもしれねぇが、そううまくいくかなぁ」
「うまくいくかじゃなくて、とりあえずやってみようぜ!」
ゴミたちは声をかけ、少し遠くの方に落ちているゴミにも集まってもらった。缶はなるべく高く積み上がり、牛乳パックやペットボトルたちが花になり、隣に咲いているひまわりに負けない気高い雰囲気を醸し出し、えへん!とひまわりっぽくなってみせた。
「おぉ〜」
満場一致の完成度だった。
数日後、なんだか人の声がたくさんするようになった。
そして隣にも隣にも向こうにもゴミでできたひまわりがたくさん咲いた。
ゴミたちにはわからなかったが、人がこのゴミのひまわりを見てネットに上げバズり、イベント化しここが観光地になったようだった。
「人の声なんて久しぶりに聞いたぜ」
「そうだね!」
誰よりも空に近いゴミたちが小さくくすくすと笑った。