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日記サッカー~おとといに向かってキックオフ~

 グラウンドで走る選手たちに、観客の歓声がふりそそぐ。

 ここは日記サッカー選手権会場。

 サッカーの試合をしながら書いた日記の優劣で勝敗を決める競技。


「さすがに無理がないか……?」


 競技に対する疑問を口にするのは、日記四天王筆頭が持ち回りになると聞いて危機感を覚えている田中。

 主に守備を担当する。


「確かに手はフリーだけどさあ……」

「もっともな疑問ですが、ここまできたらやるしかないでしょう」


 田中の肩に手をかけたのは、筆頭になるくらいなら夜逃げすると公言している山本。

 日記は石板に彫るというこだわりがあり、機動力に問題があるのでキーパー担当。


「ゴールしても勝敗に関係ないのはどうかと思うんだけど」

「そこで疑問を持つと前に進みません。彼らを見習いましょう」


 山本が指さす先にいたのは、日記四天王筆頭マニフェストを印刷して配布している佐藤。

 視力1.5の目に眼帯をして、UVケアをした肌の上に包帯を巻いている。

 あとポジションはシュート担当。


「雷ジングシュート!」


 佐藤の蹴ったボールは地面をコロコロと転がっていく。


「よーし勝つぞー!」


 威勢のいい声を出しているのは、日記四天王筆頭を卒業予定の鈴木。

 次は日記大統領が内定している。

 そしてポジションは観客。

 フィールドに出ると衣服に逃げられたあげく風紀を乱したとかで失格になるから。


 やる気のある二人をみた田中は思ってたことを呟く。


「これダメなんじゃないか?」

「あきらめたら試合終了ですよ。この場合比喩じゃなく」


 山本の真面目な声に、田中は諦めたようなため息を一つついた。


「しょうがないな。やってみるか!」

「そうです、まずはチャレンジですよ」


 そして四人はフィールドに向かう。一人は途中で観客席へ。


「それでは日記四天王チーム対、日記十傑衆チームの対戦をはじめます!」


 フィールドのセンターに並んだ3人と10人。


「双方人数が規定以下。よって没収試合とします! お疲れさまでした!」


 四人は帰りにファミレスでやけ食いした。

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