魁!ちんちん小学校9!
ちーんコーンかーんコーン。
ちんちん小学校の休み時間が終わるのは早い。
「ゼロ災でいこう! ヨシ! 遅刻遅刻ゥー!」
ちんちん小学校20号生の皮余俊介は、通学路に設置した脚立の最上段に登ってアジテーション演説をぶっていた。
「全国の労働者よ立ち上がれ! そして座れ!」
「兄貴ィー、兄貴大変だ―!」
「どうしたサブ!」
そろそろ降りようとしていた俊介の元に、リーチ式フォークリフトに乗った舎弟のサブが前方を凝視したままバックしてきて俊介と脚立を跳ね飛ばした。
「縮れ毛先輩がチャックの野郎に巻き込まれたそうです!」
「そいつは……ゆるせねえ……な」
脚立と一緒に血だらけで地面に転がっていた俊介は、サブの言葉で意識を取り戻して呻く。
「おいサブ……チャックの野郎は……どこだ……あと俺は……なんでこんなところに……?」
「もちろん連れてきてあります!」
サブはそういうと、フォークリフトのレバーを操作して、限界まで上昇させていたパレットを地面に下ろした。
パレットの上に乗っていたのは、縮れ毛をいっぱい巻き込んでもじゃっているチャック(ジーパンとかの)。
「ファファファ、労災デスカ?」
「てめえ……よくも……縮れ毛先輩を……」
怒りに任せて生まれたての子馬のように立ち上がろうとする俊介。
「コレハイケナイ。サブサン、病院ヲ連レテキテ下サイ」
「わかりました!」
サブはハンドルをグルグル回してペダルを踏んで、レバーを前進に入れて病院に向かって走り出したが、公道に出たところでパトカーに止められた。
「俊介サン、大丈夫デスカ?」
「縮れ毛先輩の……仇……!」
近づいてきたもじゃっているチャックを見て、俊介は力を振り絞って立ち上がる。
その眼には復讐の炎が燃え上がり、事故でベルトが切れたズボンは垂れ下がり、事故でゴムが切れたブリーフはずり落ちた。
「うおおお! くらえ!」
「安静ニシテクダサイ」
俊介の怒りは拳の形をとってチャックに襲い掛かる。
今、宿命は必然となって衝突した。
「ぎゃあああ!」
「モシモシ病院デスカ」
俊介のもじゃっている部分がチャックに巻き込まれて大惨事。
ぐったりとした俊介は、やって来た病院に処置されて皮が伸びた。




