魁!ちんちん小学校8!
ちーんコーンかーんコーン。
ちんちん小学校の夏季合宿は登校日より早い。
「プルプルプルモゲェー! 遅刻遅刻ゥー!」
ちんちん小学校19号生の皮余俊介は、昨日から始まったペン習字クラブの夏季合宿に参加するため、黄泉比良坂と呼ばれる坂を全力で下っていた。
「兄貴……兄貴……大変だ……」
「どうしたサブ!」
途中にあった釜のごはんをもりもり食べていた俊介の耳に、舎弟であるサブの声がどこか遠くから聞こえてくる。
「縮れ毛先輩が……絶対に……振り返るな……と」
「なんだって!」
おもいっきり振り返った俊介の目に映ったのは、体のあちこちが腐敗して崩れている姿の女性。
「見たな……この姿を!」
「見たぜ!」
正直に元気よく答えた俊介に、女性は怒りの色もあらわに叫ぶ。
「許さない!」
「兄貴……兄貴……坂を……登ってください……」
「任せろ!」
憤怒の表情で俊介に迫る女性。
遠くから聞こえるサブの声。
そして坂を登ろうとしていきなり全力でコースアウトした俊介。
漆黒の断崖絶壁をコードレスバンジージャンプでエキサイティング。
「逃がさない!」
暗い方へ飛び下りる女性。
「兄貴……兄貴……出口近くまで来たら……岩を……あれ……?……兄貴……?」
遠くからの声は遠ざかって行った。
次の日、俊介を探し回る女性はペン習字クラブの合宿所に急襲。
字が上手だったので部長に就任した。
その次の日に合宿所にたどり着いた俊介は、セクハラのかどで退部させられた。




