魁!ちんちん小学校6!
ちーんコーンかーんコーン。
ちんちん小学校の二時間目は三時間目より早い。
「おっふぅー! 遅刻遅刻ゥー!」
ちんちん小学校17号生の皮余俊介は、家庭科の授業で調理実習があるという噂を聞いたので、通学路で材料を探していた。
「兄貴ィ、兄貴大変だ―!」
「どうしたサブ!」
色と形がかりんとうに似た物体を拾っては黒いビニール袋に入れている俊介の元へ、サブと呼ばれる少年が息をきらしながら駆け寄って来た。
「縮れ毛先輩が調理実習でフランベしたら、縮れた毛がさらに縮れたそうです!」
「なんだって……! 先輩を一人にはさせないぜ! おいサブ! 俺も縮れるぞ!」
「もちろんです! 先生を呼んであります!」
そう言ってサブという少年が指さした先にそれは立っていた。
紫色の和服の上に黒い中羽織をまとい、白髪交じりの髪を総髪にしている壮年の男。
男は大股に歩きながら、怒りの表情もあらわに口を開いた。。
「この料理を作ったのは誰だあ!」
「俺だぜ!」
作ってない俊介が元気よく返事をする。
「おまえか……いいだろう! 料理の神髄を叩きこんでやろう!」
「やったぜ!」
意気投合した二人はさっそく調理にかかる。
「材料はどこだ」
「これだぜ!」
俊介は黒いビニール袋を手渡した。
「ほう……見たことのない食材だな。どれ」
そう言って男は黒いビニール袋の中にあるものを一つつまんで口に入れる。
「おぶうぇ!」
咽頭部の生物学的反射が黒いビニール袋の中身を拒絶した。
「おごおおお!」
男は四つん這いになって、道のわきの草花に何かを叫んでいる。
「どうしたんだぜ!」
ぐったりと横たわる男に駆け寄った俊介は、男を担いでサブという少年に叫んだ。
「おいサブ、先生がやられちまった! 病院を持ってこい!」
「わかりました!」
サブと呼ばれる少年は、荷台にテントが乗った軽トラックを持ってきて、俊介と男を跳ね飛ばして入院させるのだった。




