ちんちん小学校2ーーリメイクーー
ちんちん小学校……それは公序良俗に立ち向かう蟷螂の斧。
常識という規律を拒否する混沌の叫び。
今日もルール無用の一日が始まる。
♡*: .。. 第一話『登校』.。. :*♡
ちーんこーんかーんこーん。
ちんちん小学校の朝は朝日より早い。
「いっけねー! 遅刻遅刻!」
ちんちん小学校卒業生の皮余俊介(匿名希望)は、夜明け前の通学路で何か叫びながら飛んだり跳ねたりしていた。
「兄貴大変だー!」
「どうしたサブ!」
頭から着地して動かなくなった俊介の元に、いかにも舎弟という風体の少年が駆け寄り耳元で叫ぶ。
「縮れ毛先輩がチャックの野郎にやられて大怪我だそうです!」
「なんだって……許せねえ、許せねえよ! おいサブ! チャックの野郎はどこだ!」
「そう言うだろうと思って連れて来てます!」
「ファファファ、オハヨウゴザイマス」
切れかけて点滅する街灯の下に、それは立っていた。
金属的な部品が交互に噛み合わさったような姿。その隙間からはみっしりと縮れた毛があふれている。
俊介の目に怒りの炎がゆらめいた。
「てめえ、よくも縮れ毛先輩を!」
「ヨクアル事故デス」
「問答無用! くらえ!」
俊介の両腕がぐるぐると円を描き、両足は大地を蹴り、社会の窓は重力に従いぱっくり開いた。
二つの影は夜明けを告げるように鈍い音と共にぶつかる。
「ぎゃああ!」
「兄貴ぃー!」
「モシモシ警察デスカ」
朝日に照らされた俊介の先端の余った部分が、金属部品に挟まれて少し変色している。
「ハイ、ハイ、今カラ行キマス」
意識を失った俊介は、引きずられるように朝日の向こうに消えていくのであった。




