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あらしのよるに

「ふう、今日も疲れたな」


 そんな事を呟きながらふとんの中に入り込む。

 明かりを消す。世界のほとんどは音になった。

 風の音がする。

 路地を通り抜け、木々を揺らした。

 目を閉じると世界の形は音になる。

 風の音がする。

 甲高い音がする。蹂躙される木々の悲鳴がする。

 嵐が近い。

 窓が揺れる壁が揺れる建物が揺れる。

 風はその脅威をあらわに暴力となった。

 ひび割れた壁に穴があき、ひしゃげた窓がどこかへ去り。

 そしてふとんがふっとんだ。



 ふとんが、ふっとんだ。

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