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職人の朝

 肛門括約筋職人の朝は早い。


「ほら、腸内圧力が上がっとるだろ」


 職人はそう言うと手元のダイヤルをゆっくりと回した。

 その目は目盛りの上を動く針をまばたきもせずに追いかける。


「固体や液体を出さずに気体だけ外に逃がすんだ」


 微妙な力加減による操作。

 これができる職人はそうはいない。

 深く刻まれた眉間の皺が緩み、その口からふうっと息が吐き出された。


「よし」


 職人の短いが力強い言葉にブッブブリブリブリビシャアアアブボボボンブビチビチボボン。

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