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異世界バスツアー6

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 座席がほぼ埋まったバスの前方で、笑顔のバスガイドがマイクに喋っている。

 いろいろと行き違いの末、執行猶予中にやらかした経営陣が拘禁刑くらって倒産した先代ツアー会社。後を託された新生ツアー会社の新経営陣は、生まれ変わった姿を見せるため、きちんと書類をそろえて監督官庁に提出した。

 感心した監督官庁は新生ツアー会社に運営を許可。

 そんな新しく生まれ変わったツアー会社の輝ける一歩目となる新企画は、脱獄してきた旧経営陣にクーデターで乗っ取られたことで豪快に王道を踏み外すこととなった。


「これより当バスはスローライフ異世界に向かいまして、今までにない体験を皆様に経験していただきたいと思っております」


 時々ガタゴトと振動するバス。

 乗客は楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を眺めている。


「皆様には、お楽しみ袋をお配りしておりますので、中をご確認ください」


 乗客たちが袋の中をまさぐると、ナイフが出てきた。

 果物なんかをカットする用途には見えないナイフが出てきた。

 バイオレンスな映画なんかで見たことのあるようなナイフが出てきた。

 常連の乗客が、なんか悪い予感がするのう、と呟いている。


「それでは皆様、スローライフ異世界にカチコミです!」


 どういうことだと乗客が尋ねるより先に、バスはトンネルに突入し、周囲から光が消える。

 トンネルを抜けた先には、戦場があった。

 銃弾が飛び交い、榴弾も飛び交う。

 知らない戦車がバスと並走している。

 バスガイドがマイクに向かって叫んだ。


「命は投げ捨てるもの……スローライフ異世界です!」


 乗客の強い抗議で帰宅することになってツアー中止。

 ガサ入れくらって旧経営陣は刑務所に帰宅。

 新生ツアー会社は後継者不在でそのまま倒産した。

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