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転生女神はアイドル勇者を一生推す!  作者: 岡崎マサムネ
対バンライブ編

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3.転生女神とマーケティング

「女神様、山田まりあちゃんのライブ、行ってましたよね」

「え」


 その日、ライブの打ち合わせのためにセイラたんの夢を訪ねたところ、挨拶もそこそこにそう切り出された。

 思考が完全にフリーズする。


 ライブに行ったのは間違いない。確かに事実ではある。あるんだけど、違うの、違うんだよセイラたん。

 あれは山田さんのオタクであるところの賢者に頼まれて行っただけで、私にとってはセイラたんが一番でトップオブトップで万物の祖で唯一抜きんでて並ぶ物なしで、だからこれは浮気などではなく。


 こういうときのよくある言い訳第1位である「人違い」を口に上そうとしたところで、セイラたんが「わたしも行ってたんです」と言ったので完全に逃げ道を塞がれた。

 しかし女神は回り込まれた。


 いや待て、確かに私は自他ともに、そしてセイラたんもともに認めるセイラたんのオタクではあるが、セイラたんはアイドルだから。

 私が他のアイドルのライブを見に行ったくらいで目くじら立てたりするはずがない。


 というかあれですね、これは業界研究ですからね。マーケティングですからね。

 マーケティングの女神としての仕事をしたまでと言いますか。


 しかし、やはり目の前で他のアイドルの話をされるのは気分がよくないのでは。競合他社だし。

 少なくとも握手会やチェキ会では選ばない話題であることには間違いない。


 かといって、今回はセイラたんが振ってきたのに答えないのもかえっておかしい。

 勝手に後ろめたくなりうろうろと視線を彷徨わせながら、頷く。


「えーっと……うん、はい、行きました」

「どう、でした?」

「すっごいよかった」

「…………そう、ですか」


 咄嗟に正直な感想が口から飛び出した。そんな私を見て、セイラたんが俯く。


 何かまずい返答をしてしまっただろうかと冷や汗が溢れ出した。

 振り返ってみても、咄嗟に答えた割にはさらっとあっさりした、ある意味これ以上広がりようのない適度な回答だったと思う。


 いくら他のアイドルの現場でも「最悪だった!」とか言うファンは嫌だろう。自分の現場の時も言ってるのかなとか勘繰ってしまう気がする。


 しかし聞かれてもないのに勝手に比較して「私はセイラたんのライブの方が好きだな!!」とか言うのもなんとなく言い訳がましい。そして烏滸がましい。

 じゃあ一体正解はなんなのか。マーケティング的に勉強になりましたよ、とか? なんか上からじゃない??


 脳内でぐるぐると一人会議を繰り広げながらあたふたしていると、セイラたんが勢いよく顔を上げた。


「女神様!」

「な、何でしょう」

「わたし、今週のミニライブ、絶対頑張りますから」


 セイラたんが私の手をぎゅっと握る。

 いきなり浴びた高濃度のファンサに、内心で「ぎゃっ」と悲鳴を上げた。


 あ、握手会でもないのに百点満点のアイドル握手……セイラたんの成長が留まるところを知らない。伸びしろしかない。

 さすがアイドル勇者。セイラたん、恐ろしい子……


「見に来てくださいね」

「も、もちろん!!」


 セイラたんに握られていない方の手をぎゅっと握りしめて、そのまま天に突きあげた。


「セイラさんのライブはいっつも最高ですからね!! 言われなくても見に行きますよ!!」

「えへへ、そうでしょうか」

「はい、あなたの女神が保証します!!」


 私がふんふんと鼻息を荒くすると、セイラたんは少し照れくさそうに微笑んで、頷いた。


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