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花咲くサボテン  作者: oga
7/10

富豪貴族

 次にやって来たのは2階にあるアクセサリーショップ。

私は、まさかと思ってサクに話しかけた。


「もしかして、ここで宝石、手に入れるの?」


「その方がはえーんじゃねぇかって」


 サクは顎髭をさすりながら、ガラスのケースに目線をやっている。

1時間も経たない内に、宝石を採掘する話から買う話になるなんて……

諦めが早すぎるんじゃない?

それに、宝石を買うための金はどこから捻出するつもりなのか。


「ねぇ、お金持って……」


「お前、ちょっと付けて見ろよ。 店員さん、この子にこの指輪、付けさせてくんね?」


「えっ、ちょ……」


 訳も分からず、サクチョイスの指輪をはめさせられる。

しかも、指が太いためか、中々入っていかない。


「だからちょっとは痩せろっつってんだよ」


(何なのよこの男は!)


 何故かサクの彼女のような扱いをされ、めちゃくちゃ小っ恥ずかしい。

私は顔から火が出る勢いで、まともに喋れなくなってしまった。

すると、


「お、こんな所で奇遇だな。 それ、お前の彼女?」


「……てめぇ、マエザワ」


 目の前に、日に焼けた短髪ひげ面のアロハシャツの男。

どうやら、サクと知り合いらしい。

その、マエザワなる男は、目の前の女性店員にこう切り出した。


「1から9の好きな番号、言ってみてよ」


「え、好きな番号ですか? え~と、3で」


「3か。 じゃあほら、3万円、プレゼントだ」


「え!? いいんですか!」


 マエザワは財布から3万円を抜き取ると、その店員にプレゼントしてしまった。

訳が分からない。

すると、マエザワは今度は私に向き直って言った。


「サクの彼女さん、好きな番号を」


 サクの彼女では断じて無いのだけれど……


「き、9」


「がめついねぇ~」


 がっはっは、と豪快に笑い、マエザワはショーケースにある一番大きなカラットのダイヤを指さし、キャッシュカードでそれを購入した。

サクが、その去り際の後ろ姿に向かって呟いた。


「奴は富豪貴族のマエザワだ。 恐らく、俺と同じでダイヤモンドの花を作るつもりだろう」


 要するに、彼はサクのライバルってことか。

それは良いのだけれど……


(……何で私には何もくれないのよ!)

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