表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

岩井俊二監督作品「Love letter」

作者: 木谷日向子

 昨年から岩井俊二作品に惹かれるようになり、昔の映画を何作か見るようになった。

 本作もUNEXT内で絶賛されており、中山美穂さんが雪景色を背景に天を仰いでいるのが印象的で、文通というテーマにも日本美を感じたので、鑑賞することにした。

 内容は、3カ月前に婚約者の藤井樹を亡くした渡辺浩子が、藤井樹と同姓同名の司書の女性と文通をしていくというストーリーである。

 しかもこの浩子と女性の樹が、中山美穂が一人二役で挑んでいるのである。切なげで儚い浩子と、茶目っ気がある樹。上手く演じ分けている。

 岩井俊二作品は独特の瑞々しさがある。色調も画面の一秒一秒が写真のようで全てポストカードになるのではないかというほど繊細で美しい。

 雪景色に埋もれ、天を仰ぎながら息を吐く浩子のシーンから始まる冒頭。ガラス職人の豊川悦司がオレンジ色の火が灯る工房の中で浩子にキスをするシーン。ワープロで紅茶を飲みながら手紙を書き、お菓子をつまみながら浩子から来た手紙を読む樹。樹が木の幹に抱き着くシーン。図書館での高校生時代の2人の樹のやりとり。窓から風と共に部屋へ入る桜の花弁。

 情景描写が言葉少なくとも美しく、それだけで心の琴線を震わせる。

 特に記憶の対比がとても良かった。樹が父を病院で亡くしたシーンが彼女のトラウマになっているのが分かるように、病院の過去の映像が何度もリフレインされて映っている。

 キャラクターも立っていて、樹がおしとやかな浩子と違っていることを表現するために彼女がよくお菓子を食べながら作業をしている様子を表している。

 ノスタルジックで切なく冬の雪景色が印象的なストーリーであった。亡くなった樹を巡って2人の女性がそれぞれ違った想いを彼に抱いて生きていることがわかり、様々な愛情の形を見せてくれた。

 岩井俊二監督作品「Last letter」も最近公開していて、足を運ぼうと思っていたのだが、時間が合わず上映が終わってしまっていたので、DVDになった際に絶対に鑑賞したいと思う。

 名前が似ていることから「Love letter」のオマージュとなる作品なのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ