最悪な選択
次の日、10分前には言われた通りファミレスに来ていた。
一人で待つ時間は羞恥心がやばい。
客は少ないが大半が集団客、心細い。
時計を何度も何度も確認し頼んだポテトを食べる。
10時になり、眼鏡女が来た。
心細さから解放されたが警戒心が一気にあがる。
「す、すいみません。遅れてしまい」
可愛らしく頭を下げてくる。
「いや、いい」
気の利いた「ちょうど今来たとこ」などという定番セリフは言わない。
ポテト食ってんだし、今来たわけもないんだし。
「そr「すいません慌ててきて喉乾いちゃったんで飲み物頼んでいいですか」」
声をかぶせて来たのは気に食わないが、頷いておく。
そしてお互いに飲み物、プラス頼んだハンバーグが出揃った。
「食事はいいんですけど、話を...」
その言葉に一度食事の手を止める。
「はいそれではいかせてもらいます。太郎君ともう一度話をしてみてください」
「嫌だけど」
即答する。
終わったことを掘り返すのは面倒だ。
「でも友達として」
「元友達。それに父親直々に関わるなとお達しがきたから」
眼鏡女は驚いた顔を浮かべているが、知った事ではない。
所詮まだ子供。
あんな金持ちに脅されて逆らえるか。
再び食事の手を再開する。
「香奈ちゃんだって最近太郎君友達が出来ないって心配してたし...意図的に孤立させられてる感じだし」
小声で呟く声は嫌でも耳に入ってしまう。
予想どうり孤立してんのか、どうせ話し相手も彼女ぐらいしかいない事だろう。
もう奴とは縁を切った、助けてやる義理はない...。
「はぁ」
一番使いたくなかった手を使う。
スマホからラインの少ない友達欄から選び、簡潔に現状だけ書き送る。
すぐに返信は返って来た「それは見逃せない、任せろ」。
「おいラインはやってるだろ」
いきなりで瞬時に警戒するよう見てくる。
イラつくが我慢し言葉を続ける。
「こいつと相談してみろ。お前と太郎の彼女さんと一緒に話し合ってみれば多少はマシな状況になるだろ」
紙にラインのIDを書いて渡す。
それじゃあと眼鏡女を置いて会計を済ませ帰った。
帰る途中かっこつけたせいで眼鏡女の分も払ってしまったことを後悔した。




