友達
その後に委員会活動の一回目が始まり、自己紹介やら活動内容の報告等など話し合って終わったのは、外の空がだいぶ夕暮れに染まっていた頃だった。
私は今年も図書委員に入ることにした。
本を読むことは好きではないが嫌いでもない。仕事内容も他のと比べ比較的に楽だし、曜日毎で担当が決まっているからバイトのシフトも決めやすい。そして何より去年もしているからだ。前にやったことは何よりも環境の変化するこの時期にとってはやり易いし気が楽だ。
ふぅと軽く息を吐く。
思った以上に掛かったかな。もっと早く変えれるかと思ったんだけど。
すると後ろからドタバタと走ってくる音が聞え、おもいっきり何かが私の背中に乗っかってった。
「お疲れ様!早希ー!疲れたー!一緒に帰ろー!」
「いたっ!重い!何?麻美も今終わったの?」
すると彼女は頬を膨らませ拗ねたように、ひどっ!といってそれからまたすぐににこりと笑って
「そうなの!ねぇ、お腹すいちゃった。たこ焼き食べに行かない?」
「たこ焼き?この辺にあったっけ?」
「それが私も今日初めて見つけちゃったのね!なんだか美味しそうな臭いがしてさ!今日ずっとそればかり考えてたの!」
彼女は満面の笑みでそう言った。
ふぅん。そんなのどこで見たのかな?私が来た道で見なかったってことは、反対の方だろうか?
グルグルと頭を巡らせて考えながら私達は校門を出た。
彼女は駅の方に向かって足を運ぶ。私は彼女の隣を歩きながら道案内をしてもらった。
「朝早く来ちゃってさ、ちょっと寄り道してたんだよね!」
いたずらっぽく笑う麻美。そうなの?珍しい、と私も一緒に笑う。
彼女は本当によく笑う子だと私は思っている。
彼と別れて、今こうして私が普通でいられたのは、彼女がいたからである……と思っている
友達はいない方ではないけれど、多くもない私。連絡なんてほとんど用がなければしないし来なかった。
殆どのメッセージば大抵、彼か麻美くらいだった。その後彼とも別れてしまったことを伝えると毎日のように私を気にかけてくれた麻美。
彼女がいなければ、今頃私は何もないと空っぽなんだと知って孤独に耐えられなくなっていたかもしれない。
今隣で楽しく笑っていてくれる大切な友人に私は、本当に心から感謝してもしきれない
「ありがと。」
「ん?なにが?」
「うーん、ともだちでいてくれて?」
すると彼女は一瞬キョトンとした顔を見せてその後にまた、にんまりと笑って
「なんだそれ!」
と言うのだった。
「ほら!ここだよ。」
駅まで来てそこから高架下をくぐり抜けると古びた商店街通りに来る。そこを少し進むとワゴン車が一台ひっそりと、たこ焼きとかかれた看板と共にあった。
「新しくできたのかな?」と私は彼女に聞いてみる。
「きっと、そうなんじゃない?おじさん、たこ焼きひとつ!」
すると、白髪のタコ髭を生やしたその店主はちらっとこっちを見て手際よくパックにたこ焼きを四つ積めていく。
「三百円ね。」
渡されたたこ焼きをもって隣にあるベンチに座る。
麻美は相当お腹が空いていたのか、今か今かと目を輝かせながらパックの蓋を開け、始めに串が刺さっているたこ焼きを一口で頬張った。
「んん!美味しいぃ!」と幸せそうに笑う。
「本当?じゃ、いただきます。」私も一口それを食べる。
おお。確かに美味しい。タコも大振りだし、食べごたえがある。
チラッとワゴン車を見てみる。店主はお客がいなくて暇なのか新聞を広げている。たこ焼きを作る鉄板の近くに何故だかそこにはにつかないものがあった。
「ぬいぐるみ?」