5月(4)
3人は携帯を出し合って情報を交換していた。私はその中に入れなかった…一歩下がってその様子を見ていると彼が言った。
「何やってるのヒロ(笑)携帯出してくれないとメールIDとか交換出来ないじゃん!!」
トキはこちらを向いて笑っていた。
「あっ…でも、私も混じっていいの?迷惑じゃない?」
「迷惑?なんで?」1人の女の子が言った。
「気にしすぎ!あっ!私、大手マキって言います。」
彼に声をかけてきた女の子が言った。
「そして、私は上野タカ!よろしくね!」さっき悲しげにしていた女の子だ。もう悲しさは感じなかった。
「私は神田ヒロ、よろしく。」そう言って、携帯の情報を交換した。登録がまた増えた。
親以外、登録なんて出来るのだろうか…友達がいなかった私は携帯をもつ事を親に拒否した。友達がいなし、興味ないからいらなかった。だけど、心配だからと親が持たせた。
まさか親以外の登録する日が来るとは。
親以外の初めての登録はトキ。
携帯メールIDを交換した時、初めてのメール、そのやり取り。
凄くワクワクしたこと。携帯が楽しい?そう思えたことにびっくりしたこと。
「これから皆よろしくね!」彼が言った。
そして、彼はこっちを向いて微笑んだ。
ドキ…っとしたような気がした。気のせい?
トキに関わってから、何か私の何かが違ってきてるような気がしていた。