1/10
4月
うたた寝から目を覚ますと目の前に体調が悪そうな青白い顔をした男の子が立っていた。
空いている電車の中。何故か男の子は私の前にいた。
これは席を譲るべき!?でも、どうして、私の前なんだろ…こんなに空いているのに……………
もしかして、体調なんて悪くなくて顔色が悪いだけ?と思い、男の子をチラっと見てみる。体調はますます悪化しているような感じがした。どうしよう………どうしよ…
その瞬間、彼と目があってしまった。
「あっ…あの。よかったら、ここどうぞ…」
私は聞こえるか聞こえないかの声でその言葉を発していた。そして、席を立ち上がっていた。
よくわからないけど、そう言っていた。普段ならやらないことをやっていた。
「ありがとう…」男の子はそう言って、何とか私に微笑んだようだった。
慣れないことをやった私は顔が赤くなっているのがわかった。
動機もする…
顔を隠したくて、学校へ今日提出予定の書類を鞄から出して顔を隠した。