アナザーエピローグ
「これは酷いな、本当にここがユーリの家か?」
「……うん、この家にあいつの生体反応、染みついてる」
ユーリがリシアと共に宮殿のバルコニーに立っている時、ラグナは彼の実家へとやってきていた。その目的は作った借りを返すため――知らない間に暴走し、道を誤っていた自分を止めようと必死になってくれただけでなく、すんなりと自分たちを逃がす様に話をつけてくれた。
その借りを返すために、ラグナは彼の実家にやってきていた。目的は簡単、話に出てきたユーリの幼馴染の足を、アリスの魔法で完治させるためだ。
「そうすれば借りは返せると思っただけどな……っと!」
床で気絶していた兵士に愛剣で止めを刺し、ラグナは二人の少女の惨状を見る。
一人は首が落ち、もう一人は腹を貫かれている。
「……痛そう」
「あぁ、屑だな。こんな事する奴らは生かしておけない」
「どうする、の?」
「ん、とりあえず治しておけ。その後は一時的に俺たちで保護する」
ラグナはアリスの頭をわしゃわしゃ撫でた後、部屋を出ようとする。
「待って……どこまで、治す?」
「治せるところ全部だ」
言うと、アリスは「わかった……」と頷き、二人の少女の死体に魔法を使用する。あらゆる生命に干渉する力『生命の樹』を。
その様子を見たラグナは今度こそ部屋を出て、廊下を通って家の外へ出る。そして、夜空に光るもっとも明るい星を見ながら呟くのだった。
「若干返し過ぎた気がするけどよ、ユーリ。確かに借りは返したぜ」
――お前は間違うなよ、俺みたいに。
夜は静かに過ぎていく。
とりあえずこれで完結です。
楽しんでいただけたでしょうか。