『 ぴんぽーん 』
「はい、どなたでしょう」
こんな真夜中に、誰か来たらしい。
何だか嫌な予感がするけれど、とりあえず俺は玄関のドアを開けてみた。
「よぉ、久しぶり」
そこにいたのは旧友の加藤だった。
五、六年会っていなかったが、見た目はあまり変わっていないみたいだ。
……頭の上の、輪っかを除いて。
「あー、死んじまったんだよ、昨日」
足の辺りもぼんやりしてる。
どうやら加藤は、完全な幽霊らしい。
丑三つ時に化けて出るなんて、セオリー通り過ぎるだろ。
「まあ、部屋の中に入れよな。懐かしい昔話でも交えながら、こっちの世界での暮らし方を教えてやるよ」
必死に靴を脱ごうとする加藤が、何だか初々しくて面白かった。