やれる!
京都。
プレゼン会場。
スクリーンの前。
ユウは立っていた。
背筋を伸ばして。
資料を持って。
でも。
手のひらは少し汗ばんでいる。
控室とは違う。
静かな緊張が、会場を包んでいた。
正面には。
腕を組んだ担当者たち。
真剣な目。
逃げ場はない。
「……それでは」
小さく息を吸う。
そして。
言った。
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
声は。
震えていない。
頭痛も。
ない。
その横で。
チェリが小さくガッツポーズをした。
「いけるいける!」
ユウは資料をめくる。
レーザーポインターを手に取る。
赤い光。
スクリーンに当てる。
「こちらが、今回ご提案させていただく製品の――」
その時。
チェリが。
横から。
覗き込んだ。
「それなに?」
嫌な予感。
「触るな」
遅かった。
ピッ
赤い点が。
天井に現れた。
ピッ
今度は壁。
そして。
会場中央。
いかにも偉そうな部長の額に。
赤い点。
ぴたり。
沈黙。
完全な沈黙。
ユウ。
青ざめる。
時間が。
止まった。
そして。
小さく。
つぶやいた。
「……暗殺みたいじゃん!!」
一瞬。
間。
誰かが。
「ぶふっw」
と吹き出した。
空気が。
少しだけ。
緩む。
安田が。
小さく咳払いをする。
「朝霧」
「はい」
ユウは深呼吸した。
そして。
もう一度。
スクリーンに向き直る。
「大変、失礼しました」
間。
少しだけ。
落ち着いた声で。
言った。
「現場では、
もっと予想外のことが起きます」
会場。
静か。
全員。
聞いている。
ユウは。
続けた。
「だからこそ、
作業をシンプルにする必要があります」
スライドが切り替わる。
工程図。
複雑だった作業手順。
そして。
改良後のシンプルな工程。
ユウは。
はっきりと言った。
「私たちは、
職方の負担軽減につながる設計を、
一番の価値として考えています」
会場。
少しだけ。
前のめりになる。
ユウ。
もう止まらない。
「今まで大変だった工程が、
材料をほんの少し改良するだけで、
驚くほどスムーズに進むようになります」
ミナが。
静かに頷く。
安田も。
腕を組んだまま。
小さく。
うなずく。
ユウ。
続ける。
「作業が楽になると、
現場に余裕が生まれます」
間。
「余裕ができると、
『もう少し丁寧に仕上げておこう』
という行動につながります」
会場。
静か。
でも。
確実に。
伝わっている。
ユウ。
最後に。
ゆっくり言った。
「楽になることが、
一番の品質だと考えています」
沈黙。
数秒。
そして。
正面の担当者が。
静かに。
頷いた。
「……なるほど」
短い言葉。
でも。
重い。
その時。
横で。
チェリが。
小さく。
拳を握った。
「やった!」
ミナが。
資料をそっと閉じる。
安田が。
低く言った。
「……いけたな」
ユウ。
まだ信じられない顔。
でも。
少しだけ。
笑った。
「……やれました」
会場を出る。
廊下。
静かな空間。
ドアが閉まった瞬間。
チェリ。
両手を突き上げる。
「きゃぁああああああ!!!
やったぁあああああ!!!」
ジャンプ。
ジャンプ。
ジャンプ。
ユウ。
力が抜ける。
壁にもたれかかる。
「……疲れた」
ミナ。
笑いながら。
言う。
「先輩、めちゃくちゃ良かったです」
安田。
静かに。
一言。
「チームだな」
一瞬。
沈黙。
ユウ。
三人を見る。
チェリ。
満面の笑み。
ミナ。
誇らしげ。
安田。
まっすぐ。
ユウは。
小さく。
息を吐いた。
そして。
少しだけ。
照れくさそうに。
言った。
「……チームチェリ」
チェリ。
即答。
「そう!!!」
安田
「美味い店、行くぞ!!」
チェリ
「パイソンやるぅう!!!!!惚れてまうやん アチキw」




