頑張ってドゥンwやめっ
京都。
プレゼン会場。
控室。
ユウは椅子に座っていた。
顔色が悪い。
目の下にクマ。
完全に。
寝不足。
「……やばい」
こめかみを押さえる。
ズキン。
ズキン。
痛い。
嫌な痛みだった。
「先輩、大丈夫ですか?」
ミナが覗き込む。
「……大丈夫」
即答。
でも。
全然大丈夫じゃない。
安田が腕を組んで見ている。
「顔、白いぞ」
「大丈夫です」
三回目。
完全に嘘だった。
その時。
チェリが覗き込んだ。
「また痛いの?」
ユウは黙った。
ズキン。
強い痛み。
視界が少し揺れる。
「……やばい」
小さく呟いた。
その瞬間。
チェリ。
「頑張って♪頑張ってドゥン♪はいっ」
最近覚えた楽しげな歌を歌いながら目の前でくるくるまわりながら
ぴょんぴょん跳ねるチェリ。
ふわっ。
スカートがめくれあがり…下着がチラチラと見えている。
(おいおい…見えてる見えてる…汗)
次の瞬間。
静かになった。
痛みが。
消えた。
完全に。
消えた。
ユウ。
固まる。
「……は?」
頭を押さえる。
痛くない。
本当に。
痛くない。
安田が異変に気づく。
「……朝霧?」
「はい」
声が普通。
さっきまでと違う。
ミナ。
じっと見ていた。
そして。
小さく呟いた。
「今の……」
間。
「治りましたよね?」
沈黙。
ユウの背中に汗。
チェリ。
得意げ。
「効いたでしょ!」(歌ったもんねー♪)
ミナの目が。
キラッと光る。
完全に。
理解した目。
「なるほど……」
小さく。
深く頷いた。
「そういうことですね」
ユウ。
嫌な予感。
その時。
チェリ。
さらに調子に乗る。
「もう一回いく?」
くるり。
「頑張って♪がんばっ
「やめろやめろw」
ユウが慌てて止める。
ミナ。
メモを取り始める。
「…確認ですが」
真顔。
「一定の動作後に症状が改善」
書いている。
「再現性あり」
「…っていうと!?」
チェリ。
止まらない。
「ほら!」
「頑張って♪頑張ってドゥン♪」(ぴょんぴょん跳ねるたびにパンツ丸出しになってる)
「隠しなさい!!!」と安田。
初めて少しだけ焦る。
「…ここは公共の場だ」
ミナ。
冷静。
「非常に有効な対処法ですね」
ユウ。
頭を抱える。
「俺は下着見ちゃってるって事じゃないかよwww…」
その時。
スタッフが顔を出す。
「まもなく本番です」
静寂。
全員。
顔を上げる。
ユウ。
深く息を吸う。
頭痛は。
ない。
チェリ。
親指を立てる。
「任せろ!」
ユウ。
少しだけ。
笑った。
「……ありがとう」
安田。
静かに言う。
「行くぞ」
ミナ。
資料を持ち上げる。
「準備万端です!」
チェリ。
拳を突き上げる。
「チームチェリ!」
一瞬。
沈黙。
ユウ。
小さく。
ため息。
そして。
小さく。
笑った。
「……行くか」
四人は。
一緒に。
歩き出した。




