第五章 スキルを増やしてみたい
ノルマ達成は午後8時でした
朝からリポビタンまで飲んでやったのに…おのれビックラン
やはりというか、あいつらは俺とミヨザ姉さんを攫おうとしてた…ただの盗賊だった。
あれ他国のスパイじゃないの?って思ったけどどうやらスラム街を歩いて高く売れそうな者がないか探していたらしい。
まぁ人によっちゃアレだもんな。ロリコンとか居るだろうし。
でもあまりいい収穫が無かった時に顔だちも服も整ってる俺らを見て奇襲をかける事を土壇場で決めたらしい。
『それが悪いハズレを引いた原因だってのは笑ったわ』
(分かる)
何よりも第一王女に抱っこされている第一王子なもんだからなぁ。
そんな事を考えながらボールを転がす。
今はお城に用意された俺の部屋だ。
(それとさ、そろそろスキルをもう少し増やしたいよな)
『その心は』
(スキルが多くあれば後々役立つからなぁ…は建前で、本音はスキルの獲得方法が不確定すぎるんよな)
今の所俺が持ってるスキルは「才能スキル(仮)」と「習得スキル(仮)」がある。
一応、もしかしたらの可能性があるので仮とつけて情報を纏めている。
まず「才能スキル(仮)」について。
言わずもがな、俺がこの世界に来てから持ってたスキルの事だ。
これは生まれた時から持ってたが他の人はどうなのだろうか?
生まれた時から持ってたスキルが強力でない可能性、もしくは生まれ持った才能なので自然習得は不可能なのかがよく分からないのだ。
次に「習得スキル(仮)」だ。
これは「思考補助」や「声帯補助」等を指している。
ただ、今の俺のように「並列意思」もこの枠に入るのかとか、習得スキルを獲得する条件はそれぞれのスキルで違うのかが分からない。
それとスキルがより強いスキルに変化したりはするのかなどと、疑問が多く残る。
[あー。確かにややこしいかもねそこら辺]
(ある程度の方法が確定すればスキルが多く手に入るしな)
『あれ?でもそれだったら「補助系スキル」は条件割れてるんじゃ?実際声帯と思考と聴覚があるでしょ』
(いや案外分かんないだよね)
実際、補助系であれば狙ったスキルを取れるかもと思い、身体の動きを補助できるのを取ろうとしてハイハイしまくったのだが疲れただけで獲得出来なかった。
つまりある程度は決まったやり方があるのだ。
「ある程度は分かれば良いんだけど」
「いきなり普通に喋るのやめてくれない?」
「どしぅえ!!??」
くっそビビった!?え、ミヨザ姉さん!?いつの間に背後に居たんだよ!?
あやべ「巡風」使ってなかった。
「居たのか。ミヨザ姉さん」
「まぁね。てゆうか、最近は0歳児じゃないとは思ってたけど喋れるほどだったのね」
「そこは忘れてくれよ」
「ヤダ☆」
めっちゃ笑顔でウィンク決めやがったコイツ。漫画だったら星の絵付きじゃないかな。
ん?てかそういえば…あ。
(スキルについて何か分かるかも知れないな)
『ん?本体なにか閃いたのか』
(あぁ。その為にはミヨザ姉さんの力を借りなきゃいけないんだけどね)
俺はミヨザ姉さんにお願いをしてある物を持ってきてもらう事にしたのだ。
ただお願いした後の「私のお願いも聞いてね(にっこり)」と、笑顔で言ってきたのでちょっと警戒しとこうか。
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そんなわけでやる事が無かったのでボールをコロコロしつつ待つこと10分。
巡風+空間探知のコンボにより、ミヨザ姉さんの感情がこちらに向かって来る事が分かった。
今まではスキルを同時発動出来なかったから誰か来てる気配がするとか誰かの感情を感じるかしか出来なかったが並列意思を使えば、両方とも使えて、更に誰か把握できるようになったぞ。
「はい。お願いしたものを持ってきてあげたよ」
「ありがとうミヨザ姉さん!」
日本人スキル「何かをしてもらったらお礼する(スマイル付き)」を使用しつつ、俺はミヨザ姉さんに頼み持ってきてもらった「スキル修練」と名が付けられた本を読み始める。
【スキルについて
スキルとは人や一部の種族が扱う事が可能な力であり、人の育ち方や生まれた場所の環境によって得られるスキルは違う。例題として「猛毒耐性」と呼ばれるスキルは北の地「サザンドラ」で生まれ育った者や、サザンドラに行った事がある者等が手に入れる事が多い。そしてスキルは誰もが生まれながらに、少なくとも一つは手に入れている。ただし協力なスキル等は生まれの良さや運が無ければ持っている事は稀である。
スキルの獲得方法について
スキルの獲得方法は長い間、研究者や熱心な議論家達により長い間調べられているが詳しい事は判明していない。ただし、ただ一つの理がある。それは自分がそのスキルを使ってる姿を想像出来てるかどうかである。これが出来なくともスキルの獲得は出来るが実際、そのやり方で協力なスキルを獲得してる者は多い】
…想像、つまりはイメージ出来てるかか。
そういえば、ハイハイしまくってた時にそんな事を一瞬でも思ったか?
いや思えてない。
であれば…
俺は考える。二つの足を使って、ゆっくりでありながらも着実に歩いてる赤ん坊の姿を。
日本人舐めんなよ。ファンタジーやSF、FPSにラブコメも、海外の人間が驚く程日本人の創造力は豊かなんだよ!!
そして…
《条件を達成しました。スキル「身体補助」を獲得しました。
【ミヨザ視点】
一体何をし始めたのだろうか。
私は座りつつも、目の前でハイハイをやり始めた弟…アリデラを見ながらそう思った。
少し前に、私はアリデラを殺そうとした。だけど、失敗した。
それもその筈。アリデラは見た目は0歳児そのものだったが中身は0歳児とは思えない程しっかりとした子だった。
そんなアリデラにいきなり「スキルについて詳しく書かれた本ってないの?」と聞かれて色んな学者が知恵を集めて書いた「スキル修練」を持ってきた。
数多くの人間がこれを読み、実践し、そして諦めた。
これはただの意味の無いゴミだとも言われる紙束。
そんな物を熱心に読み、いきなりやめてハイハイを始めた。
意味不明だ。
(…ま、アリデラだしね。何かあるんでしょうけど)
アリデラの奇行はこの一言で片づけられる事もつい最近気づいた。
一分くらいだろうか。アリデラが唐突にハイハイをやめる。
「終わった?それじゃ私のお願いも聞いてくれる?」
わざわざアリデラの「何か」が終わるまで待っていたミヨザはそう問いかけて…
アリデラが両足で立つのを目の前で見る。
「…え?」
「あ出来た」
残ったのは間抜けな私の声と何かに自身をもったアリデラの顔だった。
次回
「第六章 本気で 」




