ゼウスの浮気騒動とヘラの嫉妬劇
天空の王ゼウスは強大な力を持つ神様ですが、困ったことに「浮気性」でも知られていました。彼はヘラと結婚して神々の女王となりましたが、たびたび他の女性(神々や人間)に目移りしてしまうのです。
浮気の数々
ゼウスが恋に落ちた相手は数知れず。たとえば…
レダ
ある日、ゼウスは美しいスパルタの女王レダに一目惚れ。変身の名人ゼウスは白鳥に姿を変えてレダに近づきました。彼女を優しく包み込む白鳥の姿はレダを騙し、ゼウスとの子どもを生ませます。後にその子は美しい双子、カストルとポルックスとなりました。
アルクメネ
ゼウスはまた、人間の女性アルクメネにも目をつけます。彼は彼女の夫の姿に変身し、関係を持ち、のちに英雄ヘラクレスが誕生します。
エウロペ
ゼウスは牛に姿を変えてエウロペを連れ去るという大胆な恋愛劇も…。
ヘラの嫉妬と復讐
ヘラはこれらの浮気に激怒。神の女王でありながら、しばしば復讐に燃えました。彼女はゼウスの浮気相手やその子どもたちに呪いをかけたり、困難を与えたりします。
ヘラクレスへの試練
ヘラが最も激しく憎んだのは、ゼウスと人間女性アルクメネの子・ヘラクレス。ヘラは彼を「ゼウスの不貞の証」として許さず、生涯にわたり苦難を与えました。
幼少期の襲撃
ヘラクレスがまだ赤ちゃんの頃、ヘラは2匹の毒蛇を送り込みます。ですがヘラクレスは驚異的な力で蛇を絞め殺しました。これが彼の強さの最初の証明です。
狂気を与える
成長したヘラクレスに対し、ヘラは神の力で狂気をかけ、彼が正気を失い、自分の妻と子供を誤って殺してしまう悲劇を引き起こしました。これをきっかけに、ヘラクレスは自らの罪を贖うため、数々の試練(12の功業)を果たすことになります。
イオの悲劇
ゼウスが恋したイオという女性も、ヘラの激しい嫉妬の餌食に。
牛に変身させられる
ヘラはイオを牛に変え、自分の番犬アルゴス(目が百個ある)に監視させました。イオは逃げ回りながら、ついに遠くエジプトまで辿り着きました。
ヘルメスの活躍
ゼウスの使者ヘルメスがアルゴスを眠らせ、殺してイオを救い出しますが、イオは長い流浪の果てに神格化されるという悲劇的な運命をたどりました。
ヘパイストスの復讐
ゼウスの浮気で生まれたアフロディテに比べ、ヘラは自分の息子ヘパイストスに特別な期待をしていましたが、彼が醜い姿で生まれたことに失望し、谷に落としてしまいます。
ヘパイストスの復讐
成長したヘパイストスは復讐を企て、ヘラの座る玉座に仕掛けを設置し、彼女を捕らえました。神々は困り果ててヘパイストスを説得、やっとヘラを解放しました。
ゼウスの愛人たちとその子供への嫌がらせ
ヘラはゼウスの浮気相手やその子供たちに次々と呪いや試練を課しました。
イリオスの王プリアモスの家系に呪いをかける
これはトロイア戦争の遠因の一つと言われています。
イオの他にも、レダ、セメレ、カッサンドラ、アルクメネなど、ゼウスの恋人やその子供たちに次々と不幸や苦難が降りかかります。
ゼウスとヘラの関係性
浮気を繰り返すゼウスに、ヘラは怒り狂いながらも、結局は彼との結びつきを絶やしません。二人の関係は複雑で、愛憎混じりの夫婦そのもの。争いながらも、神々の世界では最も力のある二柱として君臨し続けます。