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ディオニュソス — 酒と祝祭、狂気と再生の神
ディオニュソスはゼウスと人間の女性セメレの息子。生まれもドラマチックで、母セメレはヘラの嫉妬で命を落とし、ゼウスが胎児のディオニュソスを自分の太ももに縫い付けて育てたと言われる。
彼は「ブドウの神」として知られ、ワインや酒の発明者であり、自由奔放で陽気な性格。人々に酒の楽しみをもたらし、宴会や祭りを盛り上げる一方で、酒がもたらす狂気や混乱も司る。狂乱の儀式(バッカスの祭り)は、彼の信者たちが自然の力に身をゆだね、神と一体化することを目的とした。
また、ディオニュソスは死と再生の神でもある。彼の物語には「死んで甦る神」という性質もあり、ギリシャ神話の中で人間の限界や変容を象徴する存在だ。
エピソード:
ある時、王ピエロスがディオニュソスの神性を信じず、彼を侮辱したため、ディオニュソスは怒り狂って王を狂わせ、悲劇を引き起こした。また、ディオニュソスは自分の追随者であるサテュロスやマイナードとともに放浪し、自然のエネルギーと神秘を広めた。