ヘルメス — 旅人、商人、そして神々の使者の神
ヘルメスはゼウスとマイアの子で、機知に富み、多才な神として知られています。彼は神々のメッセンジャーであり、旅人や商人、泥棒の守護神でもあります。また、死者の魂を冥界へ導く役目も担っています。
性格と特徴
ヘルメスはずる賢く機転が利き、素早い動きで知られています。羽の生えたサンダルと帽子を身に着け、杖を持っているのがトレードマーク。彼の性格はいたずら好きで、人間にも神々にもユーモアをもたらします。
代表的なエピソード
・ヘルメスの幼少期の盗み
生まれてすぐのヘルメスは、まだ赤ちゃんのくせにいたずら好きで、アポロンの牛を盗んでしまいます。しかしすぐにごまかして、アポロンに見つからないようにしたことから、後に二人は和解し、ヘルメスはアポロンにリラ(琴)を贈って仲直りしました。このエピソードはヘルメスの機知と狡猾さを象徴しています。
・神々の伝令
ヘルメスはオリンポスの神々の間での使者役を担い、人間界と神界を自由に行き来します。神々の意志を伝えたり、英雄たちに助言を与えたりする重要な役割を持ちます。
・冥界の案内人
死者の魂を冥界へと導く役目もあり、「霊魂の案内者」として死後の世界の入り口を守ります。このため、彼は冥界と生者の世界をつなぐ神でもあります。
シンボルと崇拝
ヘルメスの持ち物は羽のついたサンダルと帽子、そして杖ケリュケイオン(2匹の蛇が絡み合った杖)。これらは素早い動きと神秘的な力を象徴しています。商人や旅人の守護神としてギリシャ全土で崇拝され、ローマではメルクリウスと呼ばれました。