アレス — 戦と暴力の神、荒ぶる力の象徴
立場と性格
アレスはゼウスとヘラの息子で、オリンポスの十二神の一柱。彼はギリシャ神話における「戦の神」だが、単なる戦術や英雄的戦闘の神ではなく、戦争の混乱、破壊、暴力そのものを司る。
その性格は荒々しく、怒りっぽく、好戦的であり、多くのギリシャ人からは敬遠されがちな神だった。
エピソード1:アレスの恋愛事情
アレスは戦の神だけあって、荒々しいが、その反面情熱的でもあった。特にアフロディーテ(愛と美の女神)との関係は有名だ。
彼女はヘパイストス(鍛冶の神)の妻だが、アレスと情熱的な恋に落ちていた。
あるときヘパイストスは二人の密会を見つけ、巧妙に罠を仕掛けて二人を網で捕らえ、他の神々に晒したという逸話がある。
エピソード2:トロイア戦争での役割
アレスはトロイア戦争でも重要な役割を果たすが、戦いの結果に対しては中立的ではなく、しばしば自分の気まぐれでどちらかの側に加勢したり、撤退したりする。
彼の参戦はしばしば混乱と破壊をもたらし、神々の間でも好かれていなかった。
エピソード3:アレスの神殿と崇拝
面白いことに、アレスはギリシャ本土ではあまり崇拝されなかった。彼の神殿や聖域は少なく、むしろマケドニアなどの北方地域での人気が高かった。
ギリシャ人は戦の英雄的側面よりも、秩序や知恵による勝利を好んだため、戦の荒々しい面を象徴するアレスは敬遠されていた。
アレスの象徴
アレスは戦争の破壊性、激情、無秩序を象徴する神。
理性や秩序の神ゼウスとは対照的で、彼の存在は戦争の恐ろしさと、神話における人間の複雑な感情の投影とも言える。