第37章 五つ星の評価と新たな依頼
エグロールからの五つ星評価の温もりが胸に染み渡り、この達成感が魂に深い安らぎをもたらす。
制作ノートのページを飾るその星印は、これまでの静かな努力の証となっている。工房の穏やかな空気が、この満足感と相まってさらに心地よく感じられる。
一日一度しか使えない「描画の達人」スキルをいつ、何に使うべきか考えている。
この貴重なスキルを最大限に活かしたいという思いが、常に頭の片隅にある。今は新しい作品に取り組んでいるわけではなく、既存の材料を整理しているだけだ。
「この評価は、私たちの店をより多くのプレイヤーに知ってもらうのに最高の参考資料ね」
メアリーがワールドマーケットの画面を見ながら、店の露出度を確認しているようだ。彼女が振り向くと、目に輝かしい閃きが浮かぶ。
「そう、この品質を聞きつけたプレイヤーがきっと来店するわ！評判はあっという間に広がるでしょう」
彼女の顔には確信に満ちた表情があった。
「まさにその通りだ。短期的な利益ではなく、確固たる評判を築くことが重要だ」
私も頷き、彼女の言葉が胸を温かくする。この考えが灯りのように道を照らしてくれる。
「店の説明文をもっと魅力的にできるわ。視覚的なアレンジでさらに目を引くように」
メアリーが数歩近寄り、腰に手を当てる。職業変更が彼女のマーケティングセンスと思考を変えたようだ。
「ゲーム内の掲示板も使えるし、重要なNPCとの良好な関係を築いて名前を知らせることもできるわ」
ベアトリクスの目が輝く。彼女のコミュニケーション能力は明らかで、おそらく彼女も職業変更がアイデアに良い影響を与えているのだろう。
私たちがこうして話し合っていると、画面に予期せぬ光が現れる。見慣れない特別な通知で、その明るさが目を引く。
【新規特別靴リクエスト！依頼主：研究者セラフィーナ
メッセージ：「靴職人さん、エグロールの新しいブーツについての賛辞を耳にしました。私も特別な靴が必要なのです」】
心臓が急に高鳴り、目を見開き、息が止まる。NPCがエグロールの評判を聞いて連絡をくれたのだ！メッセージを読み進め、詳細を好奇心いっぱいに確認する。
【求める靴：「静かな司書の足取り」
説明：「夜間に古代ダンジョンとその隠された通路を探索しています。靴は音を立てず、埃や湿気の影響を受けないものでなければなりません。また、何時間立ち続けても足を疲れさせないように。エレガントなダークパープル系で、金の刺繍があれば尚良し。柔らかいソールが必須です」】
「わあ！これは本当に特別な注文だわ！」
メアリーがメッセージを読み、驚きと興奮が入り混じった表情で、大きく微笑む。
「研究者セラフィーナ！これは素晴らしいチャンス！私たちの名前が広まるわ！」
ベアトリクスが手を叩き、そのエネルギーが部屋中に広がる。嬉しそうに叫び、その場で跳ねる。
私も笑みを浮かべ、胸に大きな興奮の波が押し寄せる。これは単なる注文ではなく、挑戦でもある。
セラフィーナの要望は、「描画の達人」スキルを使う絶好の機会を提供してくれた。
「この靴は私たちの店の評判をさらに確固たるものにするわ。慎重に、最高のものを仕上げなければ」
メアリーが私を見つめ、真剣な面持ちで言う。
「ええ、全ての細部が重要よ。セラフィーナを感動させなければ！」
ベアトリクスが力強く頷く。その決意が目から読み取れる。
この特別な注文が、私たちを新たな道へと導いていくような気がする。急ぐことはしない。一つひとつの細部を慎重に考えていく。
工房の窓から外を見ると、空に輝く星々が見える。新たな冒険が始まる。静かな足取りで、この道を進んでいく。
胸には大きな決意と創造の炎が燃え上がっている。
