モテる男
おれは女にモテる。顔もスタイルもいいからだ。それなりの努力も欠かさない。いつも時間をかけて美容の手入れをしているし、ファッション誌や週刊誌を丹念に読むし、芸能人の動向などもチェックしている。
中学の頃から女に不自由したことは無かった。童貞なんて中一で捨てたが、いつもナマで性行為をやっていた。その方が気持ちいいからだ。
しかし高校の時に付き合っていた女が妊娠したことがあった。金を渡して堕ろさせることも考えたが、金がもったいない。かと言って責任を取って結婚するなんて、もっと考えられない。
おれは必死で調べて、体調を崩し死産になりやすい薬を食べ物に混ぜ彼女に与えた。目論見通り彼女は寝込み、死産となった。危なかった。それからはゴムを付けるようにした。
社会人となり、付き合っていた女が不治の病にかかったことがあった。おれは幸いだと思った。その女には丁度飽きてきた頃だったし、病人の女性を健気に看病する男を演じることによって、より自分を格好良く見せれると思ったのだ。
だがその女は奇跡的に助かった。冗談じゃなかった。別れる口実を失ってしまったじゃないか。ここで別れたら、おれのイメージが悪くなる。
おれは仕方なくその女を、自殺に見せかけて殺した。その女と結婚する羽目になったら、治療費はかかる、気を使う必要がある、遊べないといったマイナス要素しかなかったからだ。
おれはもっと綺麗で優しく、健康な女と結婚することができた。いつまでも幸せに暮らした。過去のことは黙っていればいい。
おれのようにイケメンで努力を欠かさなければ、幸せを手に入れることができるのだ。