第86倭 輪を廻りそうなアリキキノ
ヒメを背にオオトシはパミールへと走ります…
「…如何でしょう…? このくらいの迅さでも大丈夫でしょうか?」
オオトシはヒメを気遣いその様に話しかけた。
「…今の処問題ございませぬ…! 純陀さま…素晴らしき腕前でございます…!」
ヒメはそう応え新しい身体の状態に対し感嘆を顕した。
「…良かったです…この分ですともう少しで着くと思います…!」
オオトシがそう応えながらパミールの傾斜を駆け上っていくと前方より衝突音が聞こえ…一拍おいて何かが勢い良く吹きとばされて落ちてきた!
オオトシは事も無げに手を伸ばしそれを受け止めると…ミケヒコであった…。
「…ぐっ…む…オ、オオトシ…さまか…すまん、助かった…」
辛うじて膝をついて上体を起こしミケヒコはそう言った。
「…よく今の受け止められたね~♪ 今日の錬はこれで終わりね♪」
「…ありがとうございまし…」
そこまで言いかけてミケヒコは崩れ落ちるようにその場に倒れてしまった…。
「…! オオトシさま♪ ヒメちゃんも♪ ちょ~ど良かった! ミケヒコも連れて来て下さ~い♪」
「…中々に手厳しく鍛えられている様ですね…」
「ワラワもそれを所望でございます…♪」
「…今は無手の…錬…の様ですね…」
「はい♪ なのでわたしがしてま~す♪ あ、もちろんキソなので獣王究極発勁は使ってませんよ♪」
オオトシはそれは輝く根源のチカラ遣えぬモノが受ければ輪を廻るのではとヲモヒ廻らせ困り笑いを浮かべ応えた…。
「…しかし…これはただモコロ取るだけでは回復しそうにありませんね…」
「…そこは心配に及びませぬ…ワラワが来たからには…たとえ今まさに輪を廻らんとしていても大丈夫でございます…そして今のこのケゥエでございますれば…以前の様な限度など無きに等しくラムハプル=トゥサレ=イノミを行えることでしょう…」
成る程手厳しい訳だと納得しながらも…なるべくなら自分はその様な扱かれ方は丁重にお断りしたいとヲモヒ廻らせるオオトシであった。
「…ミチヒメ…ここしばらくの間…この様な錬をしていたのでしょうか…?」
オオトシはヒメを下ろし気を失っているミケヒコを背に乗せて尋ねた。
「はい♪ 無手の錬はわたし…剣はヤチホコくん…そしてトゥムの錬はアビヒコとスセリちゃん…と順番に錬を行っていました♪」
「…日を追う毎にミケヒコのケゥエ=エイキは鈍くなってはいなかったでしょうか…?」
ミチヒメは小首を傾げながら思い起こす…。
「ええと…ど~だったかな…」
「…本当にこれで良いのです…? 僕でしたら間違いなく輪を廻ってしまいますよ!」
「…ホントに本気なんだね…! ボクは協力する! そこまですべて賭けないと…ダメな刻もあるもんね!」
「…ヒメちゃんいないと今のぼくでは…せいぜいワッカのトゥムである程度回復させられるだけだけど…?」
「…かまわん…! オマエ達に追いつき…追い越すのに…やり過ぎとか危険など…関係ない! むしろそれで並べるならば僥倖と言うモノ!」
「…うん! すっごく強いマク=ケ=サム=アのイレンカね! 良いわ! わたしもホンキで相手するね!」
「…今オマエが本気出したらソイツ間違いなく輪を廻るトラ…」
「まぁ~…イノトゥさえ残ってれば青龍がなんとかしてくれるでしょ♪」
「今の状態では日に一度が限度であるぞ…?」
「御氣彦輪廻可能性多分存在…」
「…もう! ちゃんとわきまえてるつもりよ…! ちゃんとミケヒコくんに合わせた技とトゥムにするもん…」
「…思えばウガヤ兄の錬は絶妙なさじ加減でしたね♪」
「うん! ボクらの限界のギリギリほんの少しダケ上のチカラで相手してくれてた…!」
「なぁる…♪ あのカンジね♪ うん! なんとかなるなる♪」
「オマエのそれ出るトキはいっつも危険トラ…」
「ぶ~!ビャッコのいじわる~! ちゃんと出来ますよ~だ!」
「…我のチカラ遣いし刻は…錬はそこまでとすれば…」
「御氣彦生存可能…」
「まーまーミチヒメちゃんも大分すべてにおいて錬磨されてきているから大丈夫でしょ…♪」
「それが心配なんだトラ…コイツはジブンのチカラあんまりよくわかってないトラ!」
「現状可能限界既平均的神威以上」
「へ? 玄武…わたしってそんなになの?」
「常時漸近線的上昇中…」
「ま、まぁ危なかったら僕も止めに入りますのでご安心ください…!」
「ミチヒメ二号が何言うトラ…!」
「…ふぇ?」
「現在能力把握率…二割…」
「…お主も加減の程をとくと見極めるが良い…」
「もしかしたらミチヒメちゃんより危ないかもね♪ まぁヤチホコちゃんはセレマク=アカム外さないようにね~♪」
「…ボクとアビヒコくんが最初相手してみよっか?」
「…安全策…♪」
「アビヒコちゃんはアタイがいるから制御は完璧よん♡」
「…ボクもトゥムの技なら制御は自信ある!」
「そ~ね~。うん! じゃぁ今日は二人ともよろしくね♪」
「うん!」「わかったよ」
「誰であろうと不足も不満もある訳もない…! よろしく頼む!」
「よぉし…! じゃぁまずボクと無手で錬! いい?」
「…望む処…! こい!」
「…最初は問題なかったわよね~。次の日からわたしとヤチホコくんが参加して…わたしが参加する前にヤチホコくんで青龍にお願いするコトになっちゃって…次の日は…きのうは…わたしが…で…今日も…わたし…かな…?」
「ヘセはしていますし…今回は外の怪我はそれほどありませんが…これは…トゥカㇷ゚=ケゥエのトゥサレが全く間に合っていませんね…」
「…ワラワには手に取るかの如く解ります…。青龍殿の御チカラは…主としてケゥエの損傷の回復でございます…故にトゥカㇷ゚=ケゥエに遺りし傷はトゥサレされず日を追う毎に積み重なりてケゥエ=エイキも鈍くなったと存じ上げます…」
「…そ、そ~だったかな…? あんまり変わらなかったよ~な気もするけど…?」
「…ならばそれこそ己のチカラを限界まで振り絞って動いていたのでしょう…。その気丈さとイレンカの真剣さは私もとても素晴らしく思いますが…」
「このままではいずれ輪を廻りしかと存じます…」
「…そうだったの…。情けない…そっちのフミは…わたし…まだまだね…」
「…ワラワはヌプルに長けしモノ…故に…トゥカㇷ゚=ケゥエの損傷のトゥサレを得手としております…ご安心くださいませ…」
そういうとヒメは徐に衣を脱ぎ始めた…。
「そ~なのね♪ 良かったぁ~…あ、あれ? ヒメちゃん…髪の色! 瞳も…そして…あぁ~すっべすべだわぁ♡」
ミチヒメはヒメの身体の変化に気付き思わず頬擦りした。
「うんうん♪ ハプル~♡ セセㇰ~♡」
「…そ、それは確かにそうやもしれませぬ…ミ=ノカ=タと違いて…このケゥエは…イノトゥを吹き込まれし故の生きとし生けるモノならではの全てを観じられます故…。あ、その…ミチヒメ…出来ればそろそろ離れては頂ませぬか…」
「あ! ごっめ~ん♪ すっごいキレ~だしすっべすべだったのでついつい…」
ミチヒメはそう応えて舌を出し目配せした。
「…嫌な訳ではございませぬ…これも以前にはなかったイレンカ故…少々戸惑っております…」
「うんうん♪ ヒメちゃんとってもいいね~♪ ラムのイイヨマプカっぷりも…さら~に磨きかかったわよ♪ ねぇ?」
「あ、は、はい♪ 前よりずっとア=オマプでピリカになったと思います♪」
「…正直…すっごくピリカ…♪ 髪も…はじめて観るその瞳の色も…あと、ぼくから言うのも少し恥ずかしいけど…ヒメちゃんのアトゥㇲパはとってもステキ…♪」
「…恥ずかしゅうございますが…うれしく存じ上げます…ヤチホコ殿、アビヒコ殿…そのイタク有り難きでございます…」
「いえいえ、僕達は得しかしていません♪ ところでヒメちゃんは何故アミㇷ゚を…?」
「…ラムハプル=トゥサレ=イノミは…直接カㇺカを合わせ…互いのサㇺペのフミ重なりし刻に初めて叶います…」
「…サㇺペのフミ…それは刻がかかりそうですね…!」
「…ワラワはレンカクスにサㇺペの高鳴りを操れまする故…すぐに重ね合わす事叶います…」
そう言って横たわるミケヒコの衣を開けさせ…肌を合わせ重なった…。
「…エィキが…フミが…重なります…! はじめます…!」
そう言うとヒメは霊力を高め始めると同時に輝き始めた。
「…ミチヒメのトゥム同様、緋徒でも到底持ち得ぬヌプルですね…量も…そしてその境涯も…!」
「オオトシさまの仰られる通りでございます…今までのワラワは…それ故ケゥエとトゥムで試練与えられしであったと存じ上げます…」
そう応えた後ヒメはさらに輝きを増して神呪を唱える…!
「シカント=コロ=カムイ=エシナ=カムイ=マゥェ! ラムハプル=トゥサレ=イノミ!」
観の眼を開きて観てみると…損傷だらけであったミケヒコの幽体が見る間に修復されて行く…。
「…お目覚め下さいませ…もう起きれるかと存じます…」
ヒメがそう静かに話しかけた後…身震いをしてミケヒコは目を覚ました。
「…ヒメ…来て…いや来れるようになったのか…! …! そ、そのケゥエ…まるで緋徒の! …。…。…。」
ヒメの儀が無事に成功した事を理解したミケヒコは、言の葉の途中でそのあまりに美しい肢体に見惚れて固まってしまった…。
「…うれしく思います…その様なイレンカ抱かれる…メノコになれし事…ヒメは…とても嬉しゅうございます…♪」
「…! 笑みとな! 表情…顔も…ミ=ノカ=タと違って…イレンカのまま動かせるのだな!」
「はい…仰る通りでございます…♪」
「…まずは…礼が先であったな…助けし事感謝する…ありがとう…!」
「…こたびのパイェ=カイで最も得難き収穫は…ミケヒコ…そなたのラムの生長に他なりませぬ…!」
「そう…かもしれんな…! 己を知り…認めぬ限り…真なる生長などありえんからな!」
ヒメは満面の笑みを浮かべミケヒコを…躊躇しながらも意を決した様にしかと抱きしめ…その頬に唇を押し当てた。
「な、何を…い、いや! すまん…狼狽えたが…嬉しくない訳ではない…! そ、それと! 何かアミㇷ゚を羽織らぬと…オレが…困る…!」
静かに身体を離してヒメは自身を眺め…少しだけ頬を紅潮させてそっとなだらかな双丘を手で隠した。
「…成程…不思議なモノでございます…ワラワにイレンカ抱きしお方に観られるほどラムの内に恥かしさのイレンカも募るのでございますね…」
「そ~ね~♪ でも観て欲しいのもそ~ゆ~緋徒だからムズかしいよね~♪」
ミチヒメはそう言いながらヒメに衣を羽織らせた。
「…タアン=ラマトゥの…緋徒の生…いとおかしきモノなり…♪」
「うんうん♪ わたしも…今はホントそう思うよ♪」
「ですね♪ 大変な事あれど…今が…今こそが一番幸せだと思います♪」
「あきらめなければ…どんなコトでも…」
「な、なんとか…な、為る故…成る…! オレもそう思う…ぞ!…」
全員が言った後にミケヒコもその様に続けて言った。
「…明日からヒメちゃんにヌプルのコトも学んだらイイと思うよ!」
「…そうだな…ヒメ…明日より…頼む…!」
「ヌプルの扱いでありますれば…お任せくださいませ…。そして…今のワラワでありますれば…錬の際、幾度となくラムハプル=トゥサレ=イノミ取り計らう事叶います故…存分に錬の方もされて下さいませ…!」
ミケヒコは自分で頼みながらもヒメの言の葉に首筋に冷たいモノが走ったが、ならばこそなお己を高められる好機である! と心を奮い立たせた…。
「…じゃぁ…オヌマン=イペとって…ススに…しましょ♡」
「あ、オヌマン=イペ! まってましたです♪」
「ボクもまだかなーって実は思ってたんだ♪」
「まぁスクス=トイも終える頃だし…ちょうどいいよね」
「マニィもスス楽しみですわ♡」
「ミチヒメ…スス…皆で共に入るのでしょうか…?」
「ほぇ? そ~ですよ、いっつもそ~でぇ~す♪」
「…マニィも含めて…みんな最高…だと思う…ょ…♪」
「イタクにする方が…恥ずかしいの?」
スセリがそう尋ねると俯きながら赤面してアビヒコは頷いて応えた。
「僕もみんなキレ~でかわいらしいと思います♪」
「オオトシさま大丈夫ですよ♪ さすがにカムイワッカは壊れないよ~に使わせてもらっていますから♪」
(…いえ…そういう意味…でもありますが…今はそちらではなく…)
「ふふ♪ もちろんご心配わかってますよ♪ ここまでアリキキノで錬したら…さすがにもう余力ありませんよ♪ 見惚れて呆けるのがアリキキノ♪ です♪」
己の心の内に対し応えられ少しだけ恥ずかしそうに笑みを浮かべてオオトシは応える。
「恐れ入りますミチヒメ…確かに先のミケヒコを観る限りそうなのでしょうね…。しかし…導き手としては…もう少し加減を覚えた方が良さそうですね…♪」
「そこは大いに賛成です…」
ミチヒメは頭を指一本で掻き、困り笑いを浮かべて応えた。その様子を見て一同が笑う中ヤチホコも応えた。
「僕も何度か危うく輪を廻る処でしたからね♪」
「た、たしかに…。もうちょっち上手になるよ~に頑張ります…」
「だが鍛え磨かれているのも事実…明日もご指導の程…よろしく頼むぞ!」
「ミ、ミケヒコくん…♪ ま~かせて♪ 明日もぜんりょ…ちょ、ちょ~どイイくらいで上手に頑張りま~す!」
「…ふははは! 頼んだぞ♪」
一同食事を終えてビビファティマ温泉へと向かった。
確かに元気であればヲノコからは絶景と言えるが…ミチヒメの言う通り目で追うのが精いっぱいの様であり、いつもであれば思い出して寝付けなくなるであろうヲノコたちが…須らく全員深い夢路へと誘われてしまう程にミチヒメにしごかれた様である…。
「…ね♪ 毎日こ~ですよ♪ ご安心しました…?」
ミチヒメはにっこりと微笑んでオオトシにそう伝えた。
「…大人げなくてすみません…。情けありませんがおかげで安心いたしました…ありがとうございますミチヒ…!」
オオトシは喋り終える前にミチヒメのやわらかで艶のある唇にふさがれてしまった。
しなやかな腕が絡んでくる。細身の肢体の所々に慎ましやかな柔らかさを観じ、その控えめな女性らしさが今のオオトシには心地よかった。
「ミチヒメ…貴女の…その…ヲノコかメノコか…しかしやはりメノコ…と言うべき感触は…私にラムハプルに…大丈夫と語り許して下さる様で…ラマトゥ=アサムよりトゥサレされ救われるイレンカを抱きます…」
「ふふふ♪ 未だぜっさん生長中~なのがお役に立ちましたね♪」
「…アビヒコもどうやらそのような方にエラマスのイレンカ抱くようですね…!」
「…あの子はなんてったって…香さんが理想のメノコですからね♪」
「それは至極納得に至りました…! しかし今となりては私も…メノコらしさの過ぎたる方よりも…そうではない方が…ラムシリネしますし…シ・エラマスのイレンカ抱けます…♪」
「すべてを超えし後も…オオトシさまのイレンカがそうでありましたら…わたしもすごく嬉しいです♪」
「常々私は安易に断じは致しませんが…あえて言わせて頂きましょう…私がこれから先もイレンカ寄せるのは…ミチヒメ…貴女だけです…♪」
「本当にラム=アサム…ううん…ラマトゥ=アサムからのイレンカですね…♪ すっごくすっご~く嬉しいです♡」
ミチヒメは再度抱き付いて唇を重ね合わせた。互いの柔らかさが絡み合う感触でヲモヒを伝え合った。ふたりの心には暖かく幸せなヲモヒが溢れていた。
ヒメも到着して万全で錬出来そうですね♪
用語説明ですm(__)m
・ラムハプル=トゥサレ=イノミ;惜しまずすべて与えます+癒す+祈り
→「付与快癒呪」としました。
・レンカクス:自分の好きに 自分の意思で →「自在」としました。
cf:レンカクス=ラム
・シカント=コロ=カムイ=エシナ=カムイ=マゥェ:
宇宙の最高神+秘密にする 内緒にする+神威之力 より。
・ラマトゥ=アサム:たましい+底→「たましいの奥底」としました。
・シ・エラマス:偉大な 真実の+~好きだ スキ→「最愛」「大スキ」としました。




