第83倭 真理の源泉へイレンカ抱くヒメ
残されたオオトシたちは…
「…本当にミケヒコは変わりました…すごく生長できました…驚きと共に感謝のイレンカ…尽きる事ございませぬ…!」
「ないだってウヌみたいだなやヒメちゃん♪ アイツさアンだけ出来るのにえっらい心配ぶりでないかい?」
「…カムイの領域と比ぶれば…少々のチカラなど無きに等しいゆえに…」
「…常にその高みを見据え…導くのでしたら…その様な物言いにもなりますね…。至る器と見込んでの事…ですね?」
「オオトシさま…左様でございます…。その為に不可欠でありましたラムとイレンカ…この様にすんなりと得られるとは…ワラワのイレンカの外の事でございました…!」
そう応えたヒメを観て勘付いたようにオオトシは応える。
「…どうやら…私たちの図り得ぬチカラを以て先々を知る術をお持ちの様ですね…」
「…! はい…その通りでございます…」
「…ご心配や不安は解りますが…あまり囚われ過ぎない様にされたら良いかと思います…。ヒメ…いえ、ミケヌイリヒメ…恐らくすでに…あなたの予見を超えし事いくつかあるかと思いますが…?」
「…その通りでございます…。あり得ぬ事が現となり、因果の歯車は組み替えられ…知り得る先の世から乖離しつつあります…」
「イレンカと努力…それこそが…先々の…運命とされし事をも変革し得るチカラ…私はその様に思って…信じております…!」
「…ワラワも…信じる事にいたします…! 皆の…イレンカと…その身に秘めたるシンノ=レンカイネの可能性を…!」
「それでよろしいかと思います。そして常々そのイレンカで動いているモノこそがミチヒメでしょう…! あのいつもの…」
「なんとか…為る…成る…為さんとするが故に成る…それを自他へ言い聞かせし…イタク…!」
「彼女自身イレンカを深く廻らせることも察してもおりませんが…彼女のラマトゥの奥に眠りし…シンノ=レンカイネより放たれるイタク…私はそうとらえております」
「…さすがはオオトシさま…! ワラワも見習わねばなりませぬ事でございます…!」
「悩みや苦しみに己のラムとイレンカがコスムナタラせず、またしたとしても再び立ち上がり乗り越えてゆく程、自身への確信は増していきそれこそがシンノ=レンカイネを完全に解き放ち悟性へ至る…今は私もそうラム=アサムよりのイレンカ抱いております…!」
「その一面において、ミチヒメはすでにカムイの境涯に至りしと言えるかと存じます…」
「…故に皆エラマスのイレンカ持ちて惹かれるのでしょう…彼女が放つ内なるキンナに…!」
「オオトシさまは…ミチヒメが…アンもキもあまねく照らすヒメにならんとしている最中であると…」
「…かなり近いかと…私は思います…」
「そ~だべさ♪ ミチヒメちゃんは…トカㇷ゚チュㇷ゚=カムイそのモノだべさ♪」
横からの純陀の言の葉にヒメが応える。
「エカンナイ=ストゥのウトゥディンギル・パセトゥスクルは…刻のトカㇷ゚チュㇷ゚=カムイに仕え…奉じ…その全てのチカラを己がモノとして行使できたと聞き及んでおります…。極みに至れし刻…斯様な存在となり得ることと存じ上げます…」
「そうであれば…私は己を…トゥスクルに奉じられしトカㇷ゚チュㇷ゚=カムイにならしめましょう…!」
「…それも…タアン=ラマトゥならばいずれ叶うと思います…!」
ヒメの言の葉に驚きつつも確信を得てオオトシは応える。
「…! そうですか…でしたら是が非でも己を磨き上げてまいりましょう…!」
「オオトシさん…なんまら熱っついべや! いやホントにさ! 少し抑えてけれ!」
純陀にそう言われてオオトシは己が身を確かめる…。
「こ、これは…! 私とした事が…失礼致しました!」
どうやら知らずの内に炎の氣力を放出してしまった様である…。
「…あんがい似てっかもだべさ…ミケヒコと…オオトシさんさ!」
「…実は…幼き頃の自身と重ね…イカオパㇲしている処もあります…!」
「やっぱしそ~っしょ♪ ナンかそんな気がしたべさ♪」
「ミケヒコ…ミケヌイリヒコに対しては…過去の…己を律する事叶わなかった自分…一番近しきアㇰ…その様なイレンカで接しておりました…流石です…!」
「…! ならばワラワは…反対に大いなる希望を持ち得ます…! 努力の果て…オオトシさま…あなた様の如き素晴らしきヲノコにミケヒコがなれるならば…喜びて修行も試練も課してまいりましょう♪」
「…ラムハプルなんだかア=シトマなんだかわがんねぇべさ…」
一同は思わず吹き出してしまった。
同刻…遥か西のローマの神殿より赴く事叶う幽世にて。
「…今だワレは…アルケイデスと呼ばれし頃のチカラぞ?」
矢よりも迅く吹きとばされて行く巨躯…ウガヤは、凄まじい音を立てて岩壁に激突し、その遥か奥までめり込んでいった!
「…カリ・ラマトゥはしておらぬな…? さすれば参れ…!」
微かに瓦礫が動き、螺旋状に龍槍による氣力が吹き上がる!
「…中々に生きが…良い!」
陥没孔からゆっくりとウガヤは歩いて出てきた。
息が上がり肩を大きく上下にさせてはいるものの、大きな外傷は免れていた。
「…アレに耐えるは…己のみで持ち得るトゥムは…極みに至れしと観える…。が、そこまでだけでは…望む先の…次元へはたどり着けぬぞ…!」
「…委細承知…。故に…至る為に手は選ばぬ…イリチ殿!」
「うん! わかった! 全力解放! …。…。完了!」
「…そうである…弱きモノは…何をしてでも…足掻かねばな…!」
イリチがウガヤに絡みついていく…。全身を纏う衣と化し…外なる氣力が入り込みウガヤの権能を底上げしていく…。
「…再び…参る!」
先程は全力の“全貫穿撃槍突”を一振りで跳ね返された勢いで…あれ程までに吹き飛ばされたのであった。
「…我が業は我が為すに非ず…! 我を超えて集束せよ! 世界に遍くチカラよ!」
突如桁違いの氣力がウガヤから吹き上がる!
「…それで良い! 参れ参れ! 楽しみであるぞ♪」
ウガヤは全力で跳躍し落下と同時に氣力を全開放し持ち得るすべてで槍を突き出した!
落雷の如き轟音が鳴り響き、衝突の余波で爆風が吹き荒れる!
「…おお…! おお! ワレが押し返しきれぬとは!」
相手をそこまで感心させた当のウガヤは…ガックリと膝をつき立ち上がれなくなっていた…。
「…上出来であるぞウガヤよ! モシリに遍くトゥム…良くぞそこまで集束させたモノである…! 初めてとしては…合格だ!」
言い終えるとそのモノは逞しい腕を伸ばしウガヤを引き上げて立たせた。
「…ありがたきイタク…今は純粋に喜びとさせて頂きまする…」
(…これで緋徒の頃のチカラ…彼我の差とは…まさにこれであるな…!)
「…ウガヤさん大丈夫? イリチのチカラでケゥエ守ったけど…?」
「…ああ…ストゥとなる我がトゥム…そしてそれを御するイレンカ高めしラムのチカラによりてモシリに遍くチカラ拝借したであるが…先程の…ただの一合で尽きぬ…それ故の事である…没問題である…エラムサラッカさせてすまぬな…」
「そういう訳であるから心配するでない。イリチとやら…また明日…見えようぞ!」
「ご指導の程…有り難き…!」
「うむ…明日の為休息しチカラ蓄えよ!」
「は!」
そこまで応えるとウガヤは両手両膝を地面についてガックリと項垂れた。
「…イリチがもう一度…入れてあげる…ちょっと待って!」
そう言うと再度衣状になりウガヤの全身を覆い直す。
「…う、動ける…精も根も費えし今であろうとも…?」
「…ヘセするように…自然に…中に入って来るんだよ♪」
「…ヘセの如く…? …。…! 然り! 左様であるな…!」
「それがわかったら…明日はもっとムリなくチカラ遣えるよ♪」
「イリチ殿…忝き…ラム=アサムより感謝する!」
「良いよ♪ イリチも…ホントのチカラ遣えたの初めてでうれしいんだ♪」
「…そのイタク賜りしならば…幾分肩の荷も降りしイレンカである」
「ホントだよ? イリチ、ウガヤさんと一緒で…ひとつになれてよかった♪」
「…有り難き…!」
「うん…そう言ってもらえてよかった♪ このままにしてたら…はやく回復できるよ!」
イリチはウガヤと重なり合った状態でそう伝え、優しく微笑んで頷くウガヤと共に宿へと戻っていった。
雰囲気からヒメの錬成は問題ないのでしょうね♪ そしてウガヤはかなりの存在にしごかれている様です…!
用語説明ですm(__)m
・ミケヌイリヒメ&ヒコ :光る、輝、輝く+~を持つ+私たちを、に+高い…より。
※アイヌ語でどうなっているかと調べて観ましたら…こんなぴったりな言の葉になりました♪
・ウトゥディンギル・パセトゥスクル:太陽+神+偉大な+巫女→「太陽之神威ノ大日霊女」
※ウトゥは太陽、ディンギルは神、共にシュメール語です。
・全貫穿撃槍突:ウガヤの必殺技です(25’6/21修正)




