第67倭 もう一つのエラウェ(後編)
次はウガヤが挑みます…!
「次は我が一手所望致す!」
その姿を見て触発されたか、すでにイリチの権能纏いし姿でウガヤが前に出た。
「アチャポやる気まんまんね~♪ ガンバってね!」
「うむ…! 然らば…参る!」
掛け声と共に青龍へとウガヤは向かって行った。
まず足元を水平に薙ぎ払い跳躍させた所で連突きを見舞うも、青龍は前腕の回内回外動作で全ていなす。
「然らば…こうである!」
今度は槍全体に氣力を纏わせ同様に突いていく。
青龍が下がりながら躱すも避け切れず一、二撃程被弾すると、その部位が弾ける様な衝撃と共に穿たれる。
「な! あの青龍殿に損傷を与えるとは…! ニスのトゥムは境涯を超えるは真であったか!」
「すばらしい。ならば…!」
青龍の身体が青く輝き出した。
構わず再度連突きを放つも、今度は全ての撃が跳ね返されてしまった。
「…カムイはこの様に高き境涯のチカラをハィヨクペの如く纏いし。これを緋徒の身で貫くには更なるチカラの集束が必要である!」
「心得た! ふうぅ…ぬぅん!」
槍は低く唸る振動音を発し始め、徐々に甲高い音へ変わりその振動を高めていく…音ならぬ振動が響き渡り、先ほどまでの龍の様相から通常の槍の形状に戻ったかの様に観える。
「え? アチャポの龍槍、戻しちゃったの?」
ミチヒメはそれでは到底太刀打ちできないのではとのヲモヒで心配そうにしている。
「心配ありませんよ…そうでしたね、今はお二方にすべてを注ぎ切り何も観じられなかったのでしたね…。あれは…極限まで練り上げたトゥムを限界まで集束させ切った状態なのです。そう…貴女の極みの発勁の如く…!」
「そっかぁ! さすがアチャポね♪」
オオトシの言を受け今は一般民の少女と変わらぬ状態のミチヒメは納得し、感心した。
「…流石はミチヒメの武の師…! その技量恐れ入る。いざ参られよ!」
青龍も感心し、そして心躍らせているかの如く笑みを浮かべていた。
「青龍もなんか楽しそ~ね♪ あんな風に笑みを浮かべているところ初めて見たかも!」
「刮目しましょう、次の一手を…!」
「はい!」
「…イリチよ、我を守護せしチカラも用いて更なる迅さ可能であるか…?」
「できるけど、あの相手にそれは危なすぎるよウガヤさん!」
「当たらねば危うきに非ず。案ずるな」
「…わかった…じゃあちょっとだけ残して…あとはウガヤさんの動きに使うよ!」
「忝き! …これで良き! 然らば再び…参る!」
そう聞こえた瞬間皆の視界からウガヤが消え、金属が弾かれる音だけが鳴り響いた。
「なんたるケゥエ=エイキ! 余も観じきれぬ!」
「ウガヤ殿素晴らしきなり! 観の眼…“カムイ=メㇾコㇳ”!」
感嘆と共に青龍がそう唱えると、ナニカを捉えた様に突進していく。
「あれは…! トゥムやヌプルを観ずる“観の眼”を遥かに超えて捉えている様ですね…! さすがです…!」
オオトシは驚きながらもすぐさまその様に見抜いた。
「オオトシさまもすごいです♪ なんかさっきのビャッコとの錬のアトから…ちょっち今までと違うカンジがします♪」
少しだけ胸の内に高鳴りを感じ頬をほのかに染めながらミチヒメはオオトシにそう伝えた。
その様子を観たオオトシは…己が一段階高みに昇れた事を理解した。
(…この娘は…己を超えしモノにしかウ=ウェラマスのイレンカ抱けません…。このまま更に…練り上げて参ります…!)
「うん…なんかど~やらそ~みたいです…ですからね…チパ=チパしてお待ち申しあげます…♡」
言い終えると素早く首に腕を絡めて口唇を重ね合わせた。
「…! 本当にイレンカのまま…まっすぐですね貴女は…♪」
オオトシはそう言いながらも喜びを隠せずに笑みがこぼれた。
「…こ、この辺りにして二人に注目致しましょう…」
「はぁ~い♪ オオトシさまの言う通りにしま~す♪」
何手…何十手の激しい衝突音の後、二人は元の位置に顕れた。
「…ここまで迅さ上げしも難無くついてくるとは…恐れ入る! 次撃…我の全てを以て…参る! ぬぅん!」
ウガヤはそう言うと己の氣力の全てを練り上げていく…!
そしてそれは観る間に透明な輝きに変わっていく…。
「アチャポの大きなトゥムを…ゼンブ空の属性でまとったら…!」
「ええ…! 如何な青龍殿とは言え無傷とはいかないでしょう…!」
「余のこの眼で辛うじて追える程であってもなおゆとりありか青龍殿は! これは余も純陀のチカラ借りねばならぬな!」
ヴィジャーヤも今までを振り返りそう言った。
「余も有事の際の為純陀殿に目通りしておこうかのう…!」
「大叔父もクスターナまでご同行されるであるか!」
「うむ! 久方ぶりにそなたのモシリも見聞しておこう」
「ならば着きし夜は酒宴であるな♪」
「それには某も大いに賛成いたす♪」
「あら♪ じゃ~わたしがみんなに注いで上げるね♪」
「それはさらに美味となるであろう♪ 楽しみであるな♪」
「カニシカさまはホントうれしそうにしてくれるからわたし張り切っちゃいますね♪」
目配せして笑顔でそう応えた。
「みなさん…どうやら動き出します…!」
動向を見据えていたオオトシがそう言うと、それが合図であったかのように二人とも動き出した。
「ぬぅん! 全貫穿撃突 乱撃!」
掛け声と共に極め技にしている突きを乱れ打ちで放った!
「あれは! 虚が無くすべて実の撃…それであの迅さ…!」
己の眼に全ての権能集め観ていたヴィジャーヤが言う。
「捌き切れません! 何手か被弾しています…!」
オオトシも全身の感覚を広げ観じ取っている様である。
「ウガヤ殿素晴らしきなり! 然らば…オピッタ=コトゥイエ=トコㇿ=カムイ=ニルㇲ!」
青龍の掛け声と共に突き出した腕が龍の咢と化して激しく回転しながらウガヤめがけ襲い掛かる!
「好機! ぬぅん!クィタクペ=ホロカモィ=コトゥィエ=オㇷ゚エカㇻ!」
旋風を纏いながら襲い掛かる水流の廻轉に逆らわず全身で化勁を行い受け流し、さらに自身の勁力を上乗せして槍撃を放った!
両者の激突により激しい衝突音、そして爆風と共に粉塵が舞い上がる!
「…! あ、あれはムカツヒメさまの…!」
「え! 今わたしぜんっぜん観えないケド…さっすがアチャポね!」
「あまりの迅さ故余の眼ですら青龍殿の撃を躱しし処までしか捉えきれぬであったわ!」
「双方共に素晴らしくも凄まじきなり! もはや余にすらウガヤ殿の放ちし最後の撃は観じ得ぬであった!」
「これは…彼のラーマ=ディーヴァ顕れなくば…カニシカ=ルーガルのイタクに偽りなくカルマ=ルーガルを打ち取りしでありましたな!」
班勇もトゥムの激しさと強さを目の当たりにし、背に冷たい汗が流れるのを感じながら応えた。
「あ、みんなみて! 観えて…あぁっ!」
ミチヒメは土煙が晴れ観えてきた姿を目にした瞬間叫び声をあげてしまった。
「…ここまでの深手…片手程も無い凄まじきモノなり…!」
観ると…青龍の左上肢が大きく抉れて千切れかけていた…!
「青龍~!」
ミチヒメが慌てて駆け寄ると青龍はゆっくりと膝をついて目線を合わせ応える。
「ミチヒメよ案ずるな…我の得手をエシカルンするが良い…」
「え? あ…! あぁ♪」
そう言いながら青龍が自神の右の掌を傷にかざすと…見る間に傷が回復していく…!
「…青龍殿、忝き…我も…全力で応じねばイノトゥ…危うきと観じた故…」
片膝をつき槍に寄りかかり肩で息をしながらウガヤは申し訳なさそうに伝えた。
「没問題なり…! 今の技なれば…トゥムに限れば初天を超えレワン=レ=アン住まうモノにさえ届き得るなり! が、我等もカムイ=ケゥエと同質故心配召されるな。この通りである」
青龍は言い終えると完全に修復された左上肢をみせた。
「そぉ~よね~。青龍がケガするトコなんて見た事なかったからおどろいちゃったけど、いちお~カムイだもんね~♪」
「一応じゃなく立派な! だトラ!」
「普段があの様な姿故大きくは出難しであるな…」
白虎の言に苦笑いを浮かべながら青龍は応えた。
「どうかされましたか~? 大きな音と激しいトゥムを観じましたが…?」
「…多分青龍本気武闘、相手上伽耶将軍推定…」
「…何やら激しきモノを観じたので、な…。どうやら先の余達とは全く趣の異なる楽しき事をされていた様であるな…♪」
朱雀と玄武を連れてカルマ王が顕れそう言った。
「ゴッメ~ン! そっちまで…響くよねアノ音じゃ」
ミチヒメは少し申し訳なさそうな表情でそう言った。
「問題ありませんわ♪ あちらは落ち着いていますので♪」
「持金剛陶酔♪ 然…金剛手下戸故…酔潰状態…」
少し残念そうに玄武が応えた。
「…ミチヒメ…まさかとは思いますが…!」
「あ、ちょ~ど良かった♪ そ~で~す♪ これが玄武とスザクの本来の姿で~す♪ ふたりともステキでしょ♪」
ヴァジュラ兄弟並に巨大ではあるが確かにそれぞれに素敵であるとオオトシは納得した。
(ん~?あ、やっぱそか…。スザクさんは女性的すぎるけど…玄武さんは…! もぉ~スナオなのは良いんですけどね~そこまで色んな人にときめくんじゃヤチホコくんといっしょの境涯よ~オオトシさまったら!)
「…あのコたちわたしたちくらいにもなれますよ♪ そしたら玄武のほ~がわたしよりもイ…む、むぐぐ…!」
「ごめんなさいミチヒメ、貴女が…いえ貴女だけが一番です…!」
オオトシは瞬時にしかし優しくミチヒメの口を手でふさぎそう伝えた。
(…そっか…ウタラは…こんなにも反応できないんだ…。これはわたし達の事…尊敬よりもオソロシさの方が先にくるわよね…。そんなわたし相手にあの迅さでこのラムハプルっぷり…ケゥエ=エイキもまた一段練り上げられたみたいねオオトシさま♪)
「ふふ♪ 大丈夫ですよ~オオトシさま♪ アノ子たちはラムハプル=モシリ=コロ=クルのルーガルだけあってラマトゥからメレメルしてますからね♪ だれでも目を奪われちゃいますよ♪ それにね…もぉイイ緋徒? みつかったみたいだしふたりとも♪」
「そぉですわ♪ ダラ様は思いの外陽気で楽しい方ですわ♪」
「金剛手真面目過剰…然其処又好意保有理由也…♡」
「は~いごちそ~さまで~す♪ と、言うワケでこのふたりはここに残ってもらってゆっくりしてもらいま~す♪」
「喜ばしい事ですね…! 今後の生、より一層充実されることでしょう」
オオトシは心底喜んでそう言った。
「ですです♪ ま~でもふたりにはちょっちめ~わくかけたけど、みんなにステキな姿魅せれて良かった♪」
「左様であるな! まさか二神が斯様に素敵なメノコいやカッケマッであったとは…!」
「次の機会は朱雀殿に余達位の大きさになってもらい同行願いたいモノであるな♪」
「ヴィジャーヤさまってメノコにイチバン困らなさそ~なのに真っ先に反応しますよね~♪」
「ミチヒメ、そなたを筆頭にここまでの強さと美しさを兼ね備えしメノコなぞ終ぞ眼にした事ないのでな♪」
(…緋徒並に強さ無いと…実は触れ合うのもタイヘンなのかな…?)
ミチヒメはその様に思考を廻らせていた。彼女の考察は一理あり、普段氣力抑えし刻は大差ないが、本人も意図せずヲモヒの高まりと共に氣力による身体強化が成されてしまう事もあり得る。
今まで解る限りではミケヒコはその様な過去があると思われる。
「そっか~、ま~緋徒である方が色々とラムシリネで触れ合えるよね~♪」
そう言いながらいつもの様にヴィジャーヤの背後をとろうと回り込んだが…とったと思った瞬間に反対に背後に回り込まれてしまった。
「あ! もぉかんっぜんにトゥム尽きていたのでした…♪ ケゥエ=エイキだけだとここまでしか迅さ出せないのね~! この状態でもバッチリ後ろをとれる様に…あのアチャポやムカツヒメ様並みのケゥエ=エイキを目指しま~す♪」
「…生身の踏み込みでこの迅さは素晴らしいと思うぞ! ウタラでここまでのモノも又出会った事は無い…!」
「おほめ頂きありがと~ございます♪ でもですね、ムカツヒメさまなら多分…出来ていたと思いますよ♪」
「なんと! ヤマタイの…パセ=トゥスクル殿…ウタラであったか! 信じ難き!」
「…然らば我が同様の所作、してみせよう。都合良きし事に我も先の青龍殿との比武にてトゥム尽きし故、ウタラに近しき状態である…!」
「成程! 面白き! さすればウガヤ殿、参られよ!」
ヴィジャーヤが楽しそうにそう言って構えると、ウガヤはいつもと違いトゥムを全く観じさせぬ完全に脱力しきった自然体で静かに対する。
「…では…参る…!」
そう言って音も無くゆるりと舞い始めたかと思うとミチヒメはウガヤの姿を見失ってしまった。
「え? アチャポトゥムなしで!」
「…ぬ! 観えしも避け切れぬ…? 」
「はぁっ!」
トゥムを爆発的に解放し大きく距離をとるもウガヤはその背後に立っていた。
「え? あ! すっご~い! でも…ど~やったのイマ?」
「さすがはウガヤさま…。チカラ無きウタラに等しき状態でも、あれならばハィヨクペ次第で勝負になります…! ケゥエ=エイキによる迅さもですが…何よりも次手を読み、その読み通りに仕向ける技がすばらしいです!」
「…オオトシよ、流石であるな! まさにその通りである! 一合目、背をとりし刻マルマを刺激し、ケゥエを固め、ラム乱し大きく退かせる様仕掛け、我はその辿り着きし処へ最短で向かったのである」
「しかしこれは恐ろしきモノであるな。ヴィジャーヤよ、相対したそなたにはまさに何らかの神呪施されしと観じたであろう!」
「大叔父殿まさしく! 何やら観じ…避けんと反対へ跳びしも…それすらウガヤ殿の目論見であったとは…恐れ入った!」
「相手がカムイなれば…このケゥエ=エイキのみでは撃を放てども…トゥム籠められしヒヒイロカネのハィヨクペでもなくば太刀打ちは出来ぬであろう」
「そ~よね~。だからわたしは直接トゥムと技を打ち込むし」
「シキンナカネのハィヨクペですら手に入り難きであるからな!」
「そうでしょうね。私も父スサノヲより賜りしこのトゥペスイノマエムスの他は観た事ございません」
オオトシはそう言って自身の剣を見せた。
「おお! この白き輝きはまさしく…! トゥム徹せしモノとなるとフレカネ以外は中々に手に入れ難きであるよのう…!」
「もっとも我々がフレカネのハィヨクペで足りぬ事はそうは無いと思いまするな」
カニシカに続いて班勇がそう言った。
「故、クンネカネは硬くともトゥム持ち得ぬウタラ達の為のモノであるしのう」
「で、ありまするな。如何に硬きと言えどアレはトゥムを徹せぬ故…某めがトゥム揮いし刻でさえ瞬時に崩れ去る故…」
「故に無手、もしくはフレカネ……手に入れしならばシキンナカネやヒヒイロカネ、そしてオリハルコンのハィヨクペ無くば我等が真のチカラ揮う事は叶わぬ…!」
我々の世界で有用な金属である鉄は、どうやら氣力を伝導させられない様である。
もっとも、彼等の領域ならば通常の銅の武具でさえ氣力徹した上で技を放てば、一般民から見ればまさに神威と呼べる威力であろう。
ウガヤを例に思い返せば、槍の一振りで小さな竜巻が起こり、全力で大地を撃てば数十~数百歩分以上の深さの陥没孔を形成するのである。
この彼我の差もあり、基本的に一般民が争う事は少ない。
万一私欲で他者を傷つけ様モノなら、神威としか言い様の無い存在からのまさに“天罰”を被る事になるからである。
故にクニ間の諍いも権能持ちし緋徒や神威同士の事となるのである。
誰しもが内包せし氣力と霊力を真に発揮出来るのが“緋徒”と呼ばれしモノ達である。
一般民は、そのままでは我々同様内包せし権能をごく僅かしか引き出せない。
ただ、全ての生きとし生けるモノは自身の魂の中に“真理の源泉”を持っているので、己のヲモヒと努力次第で目覚めるモノもいると聞く。
ごく僅か、この“真理の源泉”すら持たずに世に出るモノもいると聞くが…
彼等がここの面々の様になるには…それこそ人智や生死を超えんと欲し求道し研鑽積んではじめて可能性を手に出来るかもしれないとの事である。
「この技…トゥムに見合いしヌプル…それを求め彼の地へ向かう所存である…!」
「そ~なったらホントカムイになっちゃうよね~アチャポ!」
「確かにウガヤ殿ならばラムの境涯も文句無き故…チカラ揃しならば叶うであろう…! 余はまずオオトシよ、そなたに並び立つ処を目指そう!」
それならば境涯に於いて自分以上に神威に近き高みにいるであろうカニシカに対して抱きし疑問を問う。
「カニシカ殿…貴方は何故カムイとならぬでありまするか?」
「…余も…イリチ殿の如き存在と共に求むるならば…あるいは叶うやもしれぬな」
「…御意…! 然らば…我等と共にめざしは致しませぬか…?」
ウガヤの言に強く反応し眼を閉じて一考するも、ゆっくり天を見上げ苦笑しながらカニシカは応える。
「…余がおらねば…周辺のモシリとの均衡も取り難き故…な」
心情としては同行したいがそれを許されぬ立場である事を悔いている様にも観えた。
「…。…! 大叔父殿! しばし刻を下され! 余が…真にクスターナのルーガル継ぎし後ならば…大叔父殿不在の間双方のモシリ治めし事も叶うである故!」
「…クスターナの…シ=パセ=ルーガルへの…アレに挑むであるか?」
「応! 久しく祖神顕れておらぬであるが…必ずやまみえシ=パセ=ルーガルとしてのチカラ受け継いでみせようぞ!」
「…アノ儀叶うならば確かにカムイに等しきチカラ授かる故…双方のモシリ治めるも叶うであるな! 良かろう! 余はそなたの吉報を待つとしよう! カムイたるモノとの差…如何程かしかと観せてもらった! 今の余では未だ叶う事無き事も! 故、この辺りで皆トゥム治め、ゆるりとしようではないか♪」
一同カニシカの言についつい本来の目的そっちのけで練と武に没頭してしまっていた処から我に還った。
「如何なる刻でも常にラム捉われずすべてを観れるは…さすがでございます…!」
オオトシは己も見習うべき振舞いを崩さぬカニシカに心底感心していった。
「オオトシよ、そなたは今まさに緋徒やウタラのラムを理解せん処であろう。存分にラムをあらゆる事に…刻には乱し、囚われ、動かすが良い。その上で尚保てしラムの静寂こそ真の禅定なり!」
「そ~で~す♪ オオトシさまはもっといろんなイレンカ持ってもらわないと…ね♪」
カニシカの言を理解した上でなのか、ミチヒメは微笑みながらそう続けてオオトシに伝えた。
「ミチヒメ…そう…ですね…! 私はまだまだ学ぶべき事、観じるべき事がたくさんあるのでしょう…! 今はこのラムの…イレンカの動き乱される様を…楽しむ事にいたします」
そう応えたオオトシに対し溢れ出てきたヲモヒをミチヒメは素早く首に手を絡め抱きついて口唇を重ねる事で顕した。
「ミ、ミチ…。…♪ い、今の所作は素晴らしい迅さでしたね…まったく動けませんでした…!」
心底そう観じて伝えるオオトシに対し少しやきもちを焼きながらヴィジャーヤが応える。
「当~然であろう~! 己が好いたメノコに迫られ逃げるヲノコはおるまい♪」
オオトシは言われて初めて己の心の動きと身体の反応の変化に気付いた。
「へへ♪ まぁ~ちょっちズルいけど…アチャポのマルマのかわり…ね♪」
目配せして笑顔でミチヒメも応えた。
「成程ですね…げに奥深きは緋徒の…ウタラのラムとイレンカ…ですね…!」
「…で、あるな…! およそすべての事象、強く折れぬイレンカ貫き切るならば…」
「なんとかなるなる♪」
「うむ! まさにその通りである♪」
相通じ合いながらカニシカとミチヒメが応えた。
「さぁ…じゃぁ~みなさん行きましょ♪ カルマさま! 玄武とスザク、よろしくで~す♪」
「あい分かった! ヴァジュラ達も休ませる故寛ぎて滞在してもらうつもりである! ラムシリネせよ!」
「ありがとうございま~す♪ じゃぁふたりとも…あとでね♪」
「ミチヒメちゃんも楽しんできてくださいね♪ 青龍よろしく頼みましたわ♪」
「私幸福、道日女感謝、貴女至幸福願♪ 依頼願、白虎!」
朱雀と玄武はそれぞれミチヒメへの言の葉に続け青龍と白虎に対して願い出た。
「…安心召されよ、我等がこの姿取り得るならば恐るる事など無いである」
「…しゃぁないトラ。オマエも幸せそーだし…コイツのお守りはオマエの分もやっておくから安心するトラ♪」
青龍と白虎はそれぞれにヲモヒ抱きし処ありそうだが快く引き受けた。
「ふたりともありがと~♪ そして青龍とビャッコ、よろしくね♪」
目配せして笑顔で手を振りながらミチヒメは皆と共にビビ・ファティマへ向かって行った。
「…青龍大丈夫? 落胆有哉否哉?」
「…心配ありませんわ…♪ どちらかと言うとビャッコの方が落ち込み方激しいと思いますわよ♪」
「彼奴真恋慕情念抱之道日女故…没問題…♪」
「…そうでしょうけど…アナタの事も…アノ刻からでしたから…ね♪」
少し思案廻らせる様な表情をしてから玄武は応える。
「…私達兄妹又家族近似也…対金剛手正真也初恋愛…」
「…そう…きっと…わたくしめもそうなのでしょうね…♪ アチラの二神にもそういう方との…出逢いの刻、あると良いですわね…♪」
大型万能船へと向かい遠くなる彼等を見つめながら二神は語り合っていた。
本来の目的へ向かって行きました…♪
用語説明ですm(__)m
・カムイ=メㇾコㇳ:神の+眼光鋭い→「鋭意龍神慧眼」としました。
・オピッタ=コトゥイエ=トコㇿ=カムイ=ニルㇲ:すべての+自分の意思を徹す+湖沼の神+牙
→「全貫水龍神牙」としました。
・クィタクペ=ホロカモィ=コトゥィエ=オㇷ゚エカㇻ:十字+渦+自分の意思を徹す+槍で打つ
→「十字螺旋発勁槍撃」としました。
・レワン=レ=アン:三十+三+天→三十三天=「忉利天」としました。
(元のサンスクリット語を直訳すると三十三天、意訳すると忉利天となります)
・ヒヒイロカネ:これは日本語です。「緋緋色金」。
※ただし、「カネ」はアイヌ語由来か日本語由来か微妙ですが「金属」を指します。
・シキンナカネ:真実の+輝く美しい+金属→「真輝銀」としました。
・フレカネ:赤い+金属→「(赤)銅」元々この語です。
・クンネカネ:黒い+金属→「黒鉄」としました。
・オリハルコン:「真輝金」と漢字をあてました。
オリハルコンとヒヒイロカネは諸説では同一と言われている辺りも…今後出していきます♪




