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第66倭 もう一つのエラウェ(前編)

オオトシ達の処へ戻ったミチヒメは…

「おっまたせで~す♪ ちょっち予定へんこ~だけど、こっちはわたしがいたら大丈夫ですよね♪」


 ミチヒメはそう言いながら目配(めくば)せして微笑み一同を見回した。


勿論(もちろん)である! そなた以外必要なき!」


「まぁヴィジャーヤさまも…まっすぐでステキですねそのイレンカ(ヲモヒ)♪」


(それがし)も姫様にさえお越し頂ければ他に望む事などありませぬ!」


「ありがと班勇(バン・ィヨン)さん♪」


「…そなたと共にいた精霊達の事であるか?」


「カニシカさま実はそ~なんです! …ちょっち残念でしたか?」


「彼女等も此度(こたび)の立役者(ゆえ)、参加せぬは少々(さび)しいであるが、ビビ・ファティマに向かうには委細(いさい)問題無きである」


(うん。カニシカさまはアノ子たちのアノ姿()ても…きっとこ~言い切ってくれるわね♪)


「…彼女たちの本来の姿が観れませんか…それは残念ですね…」


 その(つぶや)きを耳にしたミチヒメは、よりによってオオトシがまさかその様に言うなんてと衝撃(しょうげき)を受けながら落胆(らくたん)(あら)わに問い返す。


「え~オオトシさまぁ! わたしだけじゃ物足りないんですかぁ~?」


 想定外(そうていがい)のミチヒメの問いかけに一瞬戸惑いながらもまったく違う方向に解釈(かいしゃく)されたのを理解してオオトシが応える。


「誤解です! 私は彼女達が本来の姿に戻りし(トキ)にはどのような技とチカラ(権能)(ふる)われるのかに興味があっただけです」


「我も其処(そこ)に関しては非常に興味深い。カムイと()すれども更にトゥムアスヌ(頑健)ケゥエ(身体)持ちしモノが技を揮いし刻の様相…是が非にでも観たいモノである!」


「オオトシさまもアチャポ(おじさま)も相変わらずブレないですよね~♪」


 感心した様に応えるミチヒメの言の葉に…


「ん? 観たいなら…見せてやっても良いトラ?」


「我も久方ぶりに己のチカラ揮うのも悪くはないである」


「なぁにふたりとも? もしかしてビャッコあのふたりの内の…むぐぐっ!」


「オマエ~少しは気づかいってモノを覚えると良いトラ!」


「それもあるやもしれぬが…彼女達が本来の姿に戻りし刻にラム()動かされしは…事実なり…!」


「そっか…みなさん、この子たちのチカラの一端…観じてみます?」


「オオトシ、オマエなら俺も楽しそうトラ♪」


「我もイリチとの連携、いくら錬積みしと言えども足りぬ故…!」


「やれやれ…ナ・ラのヲノコは己が錬磨せし事、本当にお好きであるな♪ しかし、そなた等がするのであるならば、余も一手ご教授(たまわ)ろうぞ!」


 どうやらヴィジャーヤも興味津々の様である。


「ヲノコはかくあるべき! (しか)らばここは一つ余も手合わせ願おうではないか♪」


「カ、カニシカ様まで…ならば某も挑まぬ訳にはゆかぬまい…!」


「さっすがみなさん♪ ステキです♪ あっでも、ホントに危ない刻はちゃんとまいったしてくださいね!」


 ミチヒメのその言の葉に全員ヲモヒヲモヒに頷く。


「いきます! 青龍! ビャッコ! ラムハプル=トゥム(付与氣勢呪)!」


 ミチヒメは可能な限りの氣力を二神へそそいだ。


「久々で燃えるトラ~!」


「本来ならばこれをするだけで全て叶う処…ミチヒメよ、そなたこそ一番の求道者である!」


「だぁって~みんなにしてもらったら自分でしたことにならないじゃない! あとね、今みたくこのチカラの事…エラマス(好き)のイレンカ持てなかったしね♪ よぉっしゼンブ持ってっちゃって~~はぁあっ!」


 そう言って更に氣力を放出し、瞬間見舞われた脱力感に尻餅つかされたミチヒメの眼前には…あのヴァジュラやカルマ王並の巨躯を誇り圧倒的な氣力を秘めたモノ達が顕れた。


「…こ、これは…! ミチヒメのあの姿を遥かに超える強さを観じます!」


「まさにキムンペ=ルーガル(獣王)! 良き錬となろうぞ!」


「とんでもないであるな! その方等もな! コレを前にしてなお歓喜のイレンカ(いだ)けりとはあっぱれである!」


 絶望的な存在を前に意気揚々たる二人を眼にして半ば呆れながらも感嘆のヲモヒをヴィジャーヤが伝えてきた。その背中に冷たい汗が流れ落ちるのを観じながら。


「…成程…! ミチヒメ…そなたの秘めしチカラの何たる凄まじきモノよ!」


「カニシカ=ルーガルよ、まさにその通りである…! 我等四神全て顕現(けんげん)可能なトゥムの量、緋徒はおろか並のカムイでさえ持ち得ぬ!」


「ま~そんなチカラ秘めたヤツだから鍛えてやるのが楽しいトラ♪」


(…白虎殿は真なるお姿でも口調は変わらぬであるか…)


 カニシカはそう頭に過りしも心の内にしまっておく事にした。


「ミチヒメのトゥム受けて練り上げし今の姿…遠慮なく胸を貸していただく所存である…! よろしく頼み申す!」


「この姿の我等ならば…どなたからでも…一斉にであろうとも構わぬ故…準備出来次第参られよ!」


「全員まとめては大きく出たであるな! オオトシよ、ここは余から挑ませてもらおうぞ! ぬぅん!」


 言うや否やヴィジャーヤ=キールティは水の権能(チカラ)と共に輝く根源の力(メル=ストゥ=マェ)(まと)いし状態へと変貌した。


「同じワッカ()の属性故遠慮はいらぬ、参られよ!」


 その言の葉を受けヴィジャーヤは剣先を青龍に向け例の眼で観る。


(…観る程に途轍(とてつ)もないであるが…かならず(よど)みし(ところ)ある(はず)である! …。…。…! 観えたり!)


「其処だっ! イ=シカリ=ト(極大蜿蜒)コロ=カムイ(水龍破)!」


 放たれし水龍が青龍の左前腕(ぜんわん)めがけ(おそ)い掛かる! しかし音も無くそのまま吸いこまれる様に消失してしまった。


「良く観られたであるな! まずは一本。然らば次手はこちらより参る…。全貫(オピッタ=コトゥイエ)(=トコㇿ=)龍槍(カムイ=イペオプ)…!」


 瞬く間に水が激しく回転しながら全てを穿つ槍と化しヴィジャーヤに襲い掛かる!


「ヴィジャーヤさま! 化勁を!」


「応! トコㇿ=カムイよ受け流せ! 化勁(ファジィン)!」


 ヴィジャーヤは水龍で包み半身に捻り受け流そうと試みた。、


「くっ! か、かなりの衝撃! 故に逆らわず…ぬぅん!」


 予想以上の重圧に一瞬硬直しかけるも辛うじて受け流した。


「はぁっはぁっ…! 同質で与し易き相手でありてこの重さとは…!」


「やっるぅ~♪ さすがねヴィジャーヤさま♪」


 ミチヒメは見事受け流したヴィジャーヤに対し称賛を送った。


「はは…辛うじてではあるがなっ!」


 精一杯で何とか切り抜けた事を包み隠さずヴィジャーヤは応えた。


「次はオレサマだトラ! オオトシ、目一杯くるトラ!」


「かしこまりました! 参ります!」


 そう言うと紅蓮(アラフレ:ぐれん)の炎を纏った姿に変貌したオオトシが剣を構え獣王と化した白虎と相対する。

 頭髪とも(ひげ)ともつかぬたてがみの様な長く伸びた真っ白な毛を棚引(たなび)かせ、身体中に縞模様を帯び、手は緋徒(ヒト)のそれに近いが大きく鋭い爪を持ち、足は虎のそれを長く引き延ばした様な(たたず)まい…それらを長身のオオトシが真上に見上げる程の体躯に(たずさ)えている。

 容貌(ようぼう)だけでも飲まれてしまいそうなその姿を真っすぐに見据(みす)えてオオトシは言った。



「…あなた方がお相手でしたら全力で参ります! イレス=カムイ=(火焔纏う)ナウケㇷ゚サィネ(竜神の爪)!」


 吹き上がる炎の氣力を纏いし剣より出でたる炎爪が白虎に襲い掛かる!


「…イイカンジだトラ♪ が、まだチカラ集束させて練り上げられるトラ! 白虎雷爪斬(ビャッコライソウザン)!」


 白虎の手が揺らめきながら非常に緩やかに動くさまが見え始めたかと思った刹那オオトシが吹き飛ばされた!

 炎の爪は瞬時にかき消されはるか後方まで吹き飛ばされながらもオオトシは剣を構え堪えていた。


「さっすが見込んだだけあるトラ♪ アレによく耐えたトラ!」


「ビャッコのエパタ~イ(お~バカ)! わたしでもあんなの受けられないじゃない! 大丈夫ですかオオトシさま!」


 駆け寄ろうとするミチヒメを優しく差し伸べた手で静止してオオトシは言う。


「ミチヒメ…ありがとうございます。…大丈夫です、お気(づか)い無用です…!」


 先のミチヒメとの錬と違いオオトシは白虎の技を喰らいながらも輝く根源の力(メル=ストゥ=マェ)を維持していた。


「…次が私の今出し得る全てです…参ります…!」


 紅蓮に輝くオオトシから旋風(せんぷう)が巻き起こり炎を纏い激しく渦巻きながら吹き上がる!


「…参ります! アペヌイ=ホロカモィ(火焔旋風)=チ=コトゥィエ(発勁突)! はぁっ!」


「あ! あのケゥエ=エイキ(身体操作)って私の発勁(ハッケイ)とおんなじ…!」


 オオトシは炎の竜巻纏いし剣を持ち左足前に半身に構えた所から顔の真横に引き絞り、剣先を白虎に向けたまま激しく飛び込みやや手前で左前両手持ちで突きを放ち、そのままさらに右前に体幹を剣と共に

 捻りながら激しく震脚し同時に左手を引き戻し更に(ねじ)り込む様に右片手突きを放った!


エムㇲ()の突きと()の引きを発勁のチカラで融合させて放つとは!」


 その原理を見抜いた青龍は驚嘆(きょうたん)のヲモヒ()めてそう言った。


「さっすがだトラ! やっぱりオマエが技は一番だトラ!」


 オオトシの炎の渦を逆回転の風の渦で受け止めながら白虎は言う。今度はそう容易(たやす)く止められない様でその巨躯(きょく)を後方へかなり滑らされてた。


「…これは…オオトシ、オマエの勝ちだトラ…オレサマに傷つけたトラ♪」


 良く観ると渦を形成し受け止めた手から(かす)かに血が(にじ)んでいた。


「…あ、あれでそれだけの損傷ですか…まだまだはるかに及びませんね…! お手合わせ…ありがとう…ございました…」


 其処まで伝え一礼するとオオトシは剣に寄りかかる様になりながら片膝をつき大きく肩で息をした。


「…オオトシさま…(ほこ)って良いですよ! わたしアノ子たちに傷をつけた事…今まで一度もありませんから!」


 心底尊敬の念を以てミチヒメオオトシに伝えた。


「ま~オマエがオレサマたちを宿した刻ならわかんないと思うトラ。しかしそれは試しようも無いトラ!」


 白虎のその言の葉を聞いて真剣な面持ちでオオトシが言う。


「正直な処…今の私の技…あの刻のミチヒメの勁に比べいかがでしたか?」


 もっとも気になる事を率直に尋ねてみた。


「今のミチヒメの全力といい勝負だトラ♪ オマエスゴイトラ!」


「…ありがとうございます…! 更なる精進を誓います」


「…オオトシさま…♪」


 ミチヒメは優しいまなざしを携えてオオトシを見つめてそう言った。

次に挑むのは…


用語説明ですm(__)m

・エラウェ:こよなく楽しみにしている事です。

・オピッタ=コトゥイエ=トコㇿ=カムイ=イペオプ:全て+私の意思を通す+湖沼の神+槍

→「全貫水龍槍」としました。

・アペヌイ=ホロカモィ=チ=コトゥィエ:ほのお+渦+(身体に)私の意思を通す=発勁

→「火焔旋風発勁突」としました。



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