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第63倭 ウェントゥムによる窮極技

城下町へ行った二人は…

 少し刻を戻り城下町で情報を集める役割の二人を観てみる。


意図的(いとてき)なのかしら♪ 二手に分かれたらオオトシさまと二人っきりなんて♪ ダメなのに浮かれちゃう♡」


「仕方ありませんね…。浮かれながらでも構いませんので皆様にお話を(うかが)いましょう。…実は(わたくし)も少々浮かれております…♪」


「まぁ♡ オオトシさまったら♪ わたしうれしくってどうにかなっちゃいそうです♪」


「誰かとウ=ウェラマス(好意を寄せ、寄せられ)すると言う事は…これ程幸せな事だったのですね…。これを知った今…ウタラ(一般民)の家族や生活をより一層守ってあげねばならないと思います!」


「うんうん♪ オオトシさまは今後より一層ステキなおーさまになりそうですね♪」


「ありがとうございます…♪ あ、あそこの方に話しかけてみましょう」


「はい♪」


 オオトシが近づいて話しかけようとすると…そのモノはそそくさと逃げ去ってしまった。


「…? おかしいですね、私ナニカいけませんでしたかね?」


「い~え~? ちょっとノコスケ(やきもち焼く)しちゃうほどの穏やかで優しそうな物言いでしたよ♪ あ! じゃこんどわたしが…」


 ミチヒメが話しかけようとすると、近づこうとする前に(あわ)てて逃げ出してしまった。


「ぶ~! オオトシさまよりもひどい(あつか)いされました~! いったい何故?」


「…明るい…」「…楽しい…」「…うれしい…」「笑顔…」


「ソンナキミノワルイモノイラナイ!」


 突然石が飛んできた。もちろんそんなものに当たる二人では…


「あたぁっ! ひっどぉ~い! なんにもしてないのに石ぶつけるなんて!」


(…ミチヒメ…そんな石(つぶて)に当たらないで下さい…)


(本当トラ…オオトシの前だとどこまでも間抜けになるトラ!)


(まさかウタラの投げる石に当たるなんて…あまりに氣が緩み過ぎてますわね…)


(しかし、少々妙であるな)


此石我々(コノイシハワレワレノ)自動防御(ジドウボウギョヲ)透過的中(トウカシテテキチュウ)…!)


「成程ですね…! ただの礫ではありませんね! そこです! 出てきなさい!」


 オオトシが投げ返した礫は民家の壁を(つらぬ)いてナニカに的中した。


「あいったぁ~! 大当たりですねんほんま!」


「何モノでしょうか…?」


「あら~ミチヒメはんお久しゅう♪ 大分メノコっぽく…あんまり変わってへん…ぶほぉ!」


「もぉ! どぉっしてヲノコってばみんな一言多いのよぉ!」


 言い終える前にミチヒメは確認もせず躊躇(ちゅうちょ)なく一撃をお見舞(みま)いし、その後相手を()て表情が激変(げきへん)する。


「あ…あなたは…!」


「もうあれから季節が二(めぐ)り程してまんなぁ! いやなつかしゅう~」


(なつ)かしいワケないでしょ! オオトシさま! こいつ、こいつは…!」


「…貴女の故郷(こきょう)下伽耶(アラカヤ)を…滅ぼせし、もしくは滅ぼさんと扇動(せんどう)せしモノ、ですね!」


 オオトシの表情もいつになく鋭く険しくなった。


「ありゃりゃ~オオトシはんそないなエ~表情(カオ)できるようなりはったん? こりゃイジりがいがありそ~で♪」


「…どういう事でしょうか?」


「そりゃラム()イレンカ(ヲモヒ)も動かん奴イジってもなぁんもおもろない、せやけど今のあんさんやったら…だぁいぶおもろなっとりまんなぁ♪」


「…あなたね! イワン=アン=イウェ(六天の魔)ンテㇷ゚=ルーガル(を統べし王)の手下って!」


「何のコト…っとっと! あっぶなぁ~! ウソ言わされるとこやったで! へぇその通りで♡ イウェンテㇷ゚=ルー(魔を統べし王)ガルの手下…デモニック=ジェスターと呼んだってや♪」


「では…ジェスター、お聞きいたします。カルマ=ルーガル()に対し、緋徒を、ウタラを多く食するほどに得があると…そそのかしましたね?」


「あら~いきなり核心でっか? 遊びが足らんのは変わらんな~!」


「あなたと…遊ぶギリなんて…砂つぶほどもないわ!」


 ミチヒメは言の葉を発すると同時に差し出した手より獣王(キムンペ=ルーガル)達から霊力(ヌプル)を受け取り強烈な氣力(トゥム)を吹き上げ始めた。


「あか~ん…こらぁワイ、いてこまされてまうんで~おいとまするさかい、ほなさいなら~♪」


 そんなジェスターの言の葉に一切耳を傾けずに拳を放とうとしたが、構えた刻に既にジェスターは消え去ってしまっていた。


「~~~!!!」


 チカラを()め振り上げた拳の行き場を失いミチヒメは声にならぬ叫びをあげた。

 その刻遠方より身体に(ひび)く重い衝撃(しょうげき)音が!


「あれは…シ=チャシ()の方です! ミチヒメ…イレンカ(気持ち)は察しますが…急ぎましょう!」


「~わかりました! …ふぅ~。よし…。行きましょう、オオトシさま!」


 ここから城まで離れてはいるが二人が本気で動けば数瞬(すうしゅん)で着くだろう。


「…門が開いたままです。中へ行きましょう!」


「はい!」


 跳ぶ様に階段を駆け上がり城門の前に立ち中を見やると…カニシカ達は目を見張る様な巨人? 三体に囲まれていた。


「わわわ! な、ナニあれ! アチャポ(おじさま)よりもずっと大きい! 奥にいるのはさらに…! アレがカルマ=ルーガルね!」


「カニシカさま! 参戦いたします!」


 ミチヒメとオオトシの思い思いの言の葉にカニシカが応える。


(かたじけな)き! これで何とかなるであろう! 皆! 陣形を!」


「余とウガヤ殿でカルマを! キールティと班勇殿、オオトシ殿とミチヒメ殿はそれぞれ組となりて門番を! 相手の戦闘不能、もしくは戦意喪失をもって終了で良い!」


「よっしゃぁ! 余のチカラ見せてくれるわ! ぬぅん…!」


 氣力と霊力が吹き上がり見事な螺旋(らせん)を描き重なり合っていく。その瞬間水龍が雄叫(おたけ)びを上げて空へ昇りヴィジャーヤ=キールティめがけ(あぎと)を開き急降下してきた。

 そこには深く()き通る(あお)みがかった光を全身に(まと)ったヴィジャーヤが(あらわ)れた。


「あ…! これはオオトシさまのと…!」


 ミチヒメがその(さま)を観て驚きながら言った。


「同様の境涯(きょうがい)の様ですね…強さも…! すばらしいですね!」


「イリチよ、まず班勇(バン・ィヨン)殿のハィヨクペ(武具)を!」


「うん、わかった! いくよ…ラムハプル=ヌプル(付与霊呪)・レラ(・風)!」


「…!? お、おお! 属性の加護有りで付与(ふよ)とは…! コレならば恐るるモノなど無し! まかせよ!」


「アビヒコのそれよりさらに優れたるか…イリチよ、次は我を頼む!」


「うん、わかった! いくよ…! ラムハプル=ヌプル(付与霊呪)・ニス(・空)! そしてラムハプル=ハィヨク(付与霊鎧・)ペ・イネ(四大)…やぁ!」


「な…! ニ、ニスとな!? そしてこれは…!」


 イリチは槍にチカラを付与した後自身を光と化してウガヤを包んでいく…。ちょうどもう一枚半透明の鎧を重ねた様な姿となった。


(…これで四大のどの属性のチカラもウガヤさんには届かないよ! 安心して攻撃に集中して!)


「な、なんと…。これが…其方の真のチカラか…イリチよ…!」


(うん。でも、ウガヤさんみたいにすべての属性を持たない人にしか貸してあげられない…。すべてないから…ニスを…守るチカラとして四大を…貸してあげられたんだ!)


 そのやり取りを観てミチヒメが驚いて言う。


「あ、あれってアチャポ(おじさま)…ムテキじゃないです?」


ニス()で攻め相手の全てをいなす…凄まじいですね…」


(しかしイリチ…ヌプルくれる以外にこんなチカラあったのね♪)


(ミチヒメは…すべてもっているからあんまりチカラ貸せなかったんだ…)


(そ~だったんだね! 良かったねイリチ♪ 思う存分チカラ発揮できて♪ アチャポ…ウガヤさまの事たのんだわよ!)


(うんわかった! ま~かせて♪)


(あら♪ わたしのマネね♪ ふふ、よろしく~♪)


(ふふ♪ うん、わかった!)


「ミチヒメ、まずは通常の全力でお願いいたします! もしやそれだけでも私とチカラ合わせれば勝てるかもしれません」


 見計らったように話しかけてきたオオトシの言に少し驚きながらミチヒメも応える。


「そ~なんですか? わかりました! みんな! 行くよ!」


「まっかせるトラ♪」「おまかせくださいね」「承知いたした」「了解」


 獣王の化身四聖獣より霊力(ヌプル)をもらい輝く根源の力(メル=ストゥ=マェ)を発動させる。横では既に炎を纏い紅蓮(アラフレ)に輝くオオトシが。


「参りましょう!」「はい!」


 オオトシは(イコロ)を構えた。


「あのイノミ(祭祀)以来オオトシさまがイコロ構えるのはじめてみました!」


「…私はイコロの業が一番得手(えて)なのです。では、参ります!」


 言い終えると巨人の門番へ一足飛びに斬りかかった。炎の氣力(トゥム)を纏わせた剣は巨人の盾をいとも簡単に切り裂く!


「すっごぉい! これわたし出番無いかも…!」


「…ヤルデアルナ…。ナラバ我モ力ヲ出ソウ…!」


 言うや否や身体中からどす黒い氣力が吹き上がった。


ウェントゥム(魔闘氣)…。凄まじき気勢ですが…それだけでは今の私には掠り傷一つつけられません!」


「サテドウカナ? ソオラ!」


 通常の氣力であればオオトシの言う通り輝く根源の力(メル=ストゥ=マェ)…光子力を発動した存在にはまったく届かないはずだが…鈍い打撃音が鳴り響いた…。


「…! こ、これは…! メル=ストゥ=マェと同様のチカラ!」


モシリ(クニ)ウェンイレンカ(悪想念)アレバ…我ガトゥムニ宿リテチカラトナラン!」


「ウェンイレンカ! ウタラの…あのラムの状態がすべてチカラとなりて彼らに集まる…そう言う事ですか…!」


「こちらも同様である! 安易に攻撃を受け止めるのは危険なり!」


 ヴィジャーヤも同様の状態であったようだ。


「…ならば…迅疾(じんしつ)(もっ)て撃を(かわ)し…討ちます!」


「でしたら…わたしが行きます!」


 ミチヒメは音も無く巨人の前に歩み出た。


「じゃぁ鬼ごっこ…よ~いはじめっ♪」


 ミチヒメはそう言って巨人に手招きをした。


「笑止! 我等ハ巨大ナレド鈍クハ…!」


 言い終える前に巨人の視界からミチヒメは消えた。


「ナ…! バ、バカナ!」


「ふっふ~ん♪ ケゥエ=エイキ(身体操作)と速さは自信あるわよ♪」


 そう言いながら縦横無尽(じゅうおうむじん)に駆け回る…と言うより跳びまわる!



(…相手の間合いでは絶対止まっちゃダメ…!)


「今です! オオトシさま!」


 巨人がオオトシに完全に背を向けた瞬間、剣に限界までチカラを伝わらせ大上段より全力で振り下ろす!

 紅蓮の光子力(メル=ストゥ=マェ)を纏った剣撃(けんげき)は音の壁を超え空を裂き巨人を強襲(きょうしゅう)し、その巨躯(きょく)を宙に()わせ弾き飛ばした!


「斬撃にせず衝撃として放ちましたので…カリ・ラマトゥ(輪廻)する事は(まぬが)れたと思いますが…」


「…効イタゾ…オマエ…素晴ラシキ…トゥム=コロ=クル(戦士)ナリ…見事!」


 振り向いてそこまで喋り切った所で地響きを立てて膝をつき動かなくなった。


「…こちらはこれで大丈夫でしょう。ヴィジャーヤ殿は…?」


イ=シカリ=ト(極大蜿蜒)コロ=カムイ(水龍破)!」


 (ほとばし)る水が龍と化し、うねりながら巨人めがけ跳んでいく! が、寸での所で躱された。


「…今ノハ危ナカッタゾ…ナカナカヤルデアルナ…!」


「どうやらこちらの方が一枚上手の様ですね…!」


レラ=ペウプンチセ=(旋風穿貫)エポソ()!」


 小型の竜巻と化した氣力の槍が巨人へ襲い掛かるも、間一髪で躱される。


「コチラモナカナカ…。ナラバコチラモ…参ルゾ…!」


 そう言って巨人は大きく身体を捻りヴィジャーヤ達に背を向けたかと思うと、そのまま激しく震脚(しんきゃく)体幹(たいかん)を強烈に回転させ拳にチカラを伝わらせていく…!


「~! ダ、ダメ~! それはゼッタイ避けて~!」


 己と同質の業である事を察したミチヒメが咄嗟(とっさ)に叫ぶ!


「当タラバカリ・ラマトゥ(輪廻)セシム! 魔闘氣窮極(マトウキキュウキョク)発勁(ハッケイ)!」


「~! 横へ!」「は!」


 先程と反対側で更に震脚しながら最大限にチカラ集束せし拳を螺旋状に捻り込んで突き出す!

 拳と共に凄まじい勢いで回転しながら莫大な氣力が放たれた!


「…間違いない…! わたしの発勁とおんなじ…拳の極み!」


 技を放つさまを観ながらミチヒメは確信した。


「間一髪であった! これは受けてはならぬ攻撃!」


 ヴィジャーヤ達の避けた後方に存在したモノ全てが吹き飛ばされ城壁には大穴が開いていた。


「これ程のチカラ…そうは出せぬと思いますが…っ!」


「まさか! 二撃目!?」


「ヌゥン! 喰ラウガ良イ!」


 打ち終えた拳を引き戻す勢いで体幹を反対に(ひね)り激しく震脚音が鳴り響く!


「みんな!」


疾如(トクコト)白虎(ビャッコノゴトク)徐如(シズカナルコト)青龍(セイリュウノゴトク)侵掠如(シンリャクスルコト)朱雀(スザクノゴトク)不動如(ウゴカザルコト)玄武(ゲンブノゴトシ)!」


 四種の異なる力が光となり一つに収束して強い輝きを放つ!


啊啊啊啊啊啊(やぁぁあああ)っ!!!獣王(ジュウオウ)究極発勁(キュウキョクハッケイ)(アラタ)!!!!」


 ミチヒメは巨人の放った拳撃に自らの発勁を斜め横からぶつけた!

 弾道がそれて上方に突き抜けて行った。


「…天井が殆ど吹き飛んでしまっている…! ミチヒメ、感謝する!」


 空の広がる天井だった処を眺めた後ヴィジャーヤはミチヒメに心底感謝の意を込めて伝えた。


没問題(メイウェンティ)♪ 問題は…わたしの勁でもそらすのがアリキキノ(せいいっぱい)な強さとゆ~ことね! このままでは…!」


「…大技故放った後の一瞬の硬直の(すき)を狙い撃を放てば…!」


「…二撃目まで躱した後でしたら当たるでしょう…!」


 ヴィジャーヤの案にオオトシが応える。


「ならば常時メル=ストゥ=マェ纏えし余とそなたが連撃をいなし…」


「わたしと…班勇さんで返しの一撃を放つ…!」


「それで行きましょう! ミチヒメ、班勇殿に合わせレラを前面にお願いいたします!」


「はい!」


「その様な事が出来るのであるか…素晴らしきメノコであるな!」


「ふっふ~ん♪ ま~かせて♪」


 ミチヒメは班勇の驚きと感心に対しご満悦に返事を返し、ビャッコを前面に出して構える。


「じゃぁ…ホンキ、行くよ! はぁああ~! いっけぇ~!」


 瞬時にその場で何かが弾け飛んだかの如く爆風が吹き、旋風を纏った状態で例の姿へと変身した。


「…凄まじきチカラ…! これは…この場の誰よりも…!」


「…百数える間しか持たないの。だからこの一回で…決める!」


「素晴ラシキチカラ! 武人ノラマトゥガ揺サ振ラレルワ!」


 その言の葉を聞いてオオトシが尋ねる。


「…あなたの様な武人がなぜ今のカルマ=ルーガルの振舞いをお許しになられるのでしょうか?」


「我等キョウダイニ…居場所ヲクレタノガカルマサマナノダ…。元々ハ生クル為トハ言エ、己ガ業(おのがごう)ニ悩ミ苦シムオ方ダッタノダ…。故ニ…病ニ倒レシモノ…戦イヲ挑ミシモノノミヲ己ガ生クル(かて)トシテ、ソノラマトゥハキチント供養サレル様ナオ方デアッタノダガ…アノ…ジェスタートヤラノ甘言(かんげん)ヲ受ケ変貌(へんぼう)シテシマッタ…。ソレデモ…我々ノ恩人ニハカワラヌ故…」


「今のカルマ=ルーガルが間違っているのはお解りの上で…義の元に参戦されている訳ですね?」


「左様。コノ義、欠ク訳ニハユカヌ…」


「本当にカルマ=ルーガルに対し恩と義を観じるのでしたら、凶行(きょうこう)を止めて差し上げるのが真の義と言うものでしょう!」


「…! 止メルガ…真ノ…義…?」


「己がイノトゥ紡ぐ為他者から頂くは世の(ことわり)。そしてそこに感謝と共に痛み悩み苦しむイレンカあるならばそれは至極真っ当な事でしょう。ですが今のカルマ殿は…聞き及びし処では、苦しみ怖れるモノを喜んで食すと言う、およそアイヌ=ル(緋徒の道)より()ちた振舞いをされております。このまま行為を重ねる程堕ちてゆき…最後はウェン=ニㇳネィ(邪なる鬼)と成り果ててしまいます…!」


「カルマサマガ…ウェン=ニㇳネィ…ニ…! …。…。…。」


「今ならまだ間に合うかもしれません。我々と共にカルマ殿を止めに参りましょう!」


 オオトシの言の葉を噛みしめ意を決した表情で巨人は応える。


委細相(いさいあい)ワカッタ! ソノ方ノイタク(言の葉)…真ニ正シイノデアロウ! ソレ故ニ…イレンカ正シキ事ヲ…ソノチカラヲ以ッテ我ニ示シテミセヨ!」


「…解りました! そう言う事でしたら喜んでお受けいたしましょう! ナ・ラはヤマトゥㇺ=モシリ(天船降りし山森囲む国)のルーガル、オオトシ、いざ尋常(じんじょう)に勝負!」


クスターナ(王子に授乳せし大地)ドゥム=ルーガル(王子)ヴィジャーヤ=キールティ、同じく尋常に勝負!」


「…(かたじけな)キ…! イザ!」


 水と炎が入り乱れて巨人に斬りかかる!

 巨躯と裏腹に繊細かつ滑らかな動作で弾きもせずに完璧に受け流す。


「ふわぁ~! パセ=トゥスクル(大日霊女)さま並の受けね! すっご~い!」


 その技量をもっとも理解できるであろうミチヒメが真っ先に感心する。


「感心している場合…であるのだな、最早(もはや)


「うん♪ これは…正しきキロル=コィキ(チカラ比べ)だからね♪」


「で、あるな。しかし、そこに持っていったオオトシ殿の話術は大したモノであるな!」


 班勇が感心してそう応えるとミチヒメは優しく首を横に振り応える。


「…あれは…話術じゃないですよ…。相手のイレンカに寄り添って道を示したんです…。かけ引きじゃアノヒトは動かないですもの!」


「成程…。我もまだまだ…己を磨かねばならぬであるな!」


「きっとみんなそ~ですよ班勇さん♪」


 ミチヒメは微笑みながら目配せしてそう応えた。


(しかし…まだ年端もいかぬメノコでありながら…その(まぶ)しさと輝きは…さすがは…アン()()も全てを照らすヒメの名を冠すだけはあるな…! 我のラムも…少し照らされてしまったわ! はは!)


(班勇さんたら♪ えへ♪ 嬉しいな♪)


「…ありがと班勇さん♪」


 そう言いながらミチヒメは班勇(バン・ィヨン)の頬に軽く唇を押し当てた。


「…! な、なんと…口走ってしまったであるか…?」


「ううん。なんとなぁくそんな気が…ね♪」


 その満面の笑みはまさに咲き誇る桜の花の様であった。


「トゥム練リ上ガリシ! 受ケテミヨ! ヌゥン! ウェントゥム=シ=パ(魔闘氣)セ=ケゥエ=チ=コト(窮極発)ゥイエ()!」


「来た! ヴィジャーヤさん!」


「応! はぁっ! イ=シカリ=ト(極大蜿蜒)コロ=カムイ(水龍破)!」


 ヴィジャーヤは全力で練り上げた水龍を放ち受け止めようとする。


「な、何と言うチカラ…! イ、イヤ、これが業の練り上がりの差か! 打ち抜かれる…!」


「ヴィジャーヤさんそれじゃダメ! くるんでいなして!」


 ミチヒメの言の葉にヴィジャーヤは瞬時に気付く。


「くるみ…いなす…! そ、そうか!」


 途端水龍は拳撃の周囲を滑る様に回り始め、回転する程に軌道が()れ、大きく外れた所で叫ぶ。


「いなせ! 水龍!」


 水龍は拳撃の威力に逆らわずに受け流す様に弾いた。

 右後上方の天井が全て吹き飛んだが全員無傷である。


「…ヤルナ! 次ハ更ニ勢イガ増スゾ!」


 今度は一撃目の威力で自身を激しく回転させた勢いで二撃目を放ってきた!


「コレガ真ナル二撃目! 先ノトハ桁ガ違ウデアルゾ!」


イレス=カムイ=(火焔纏う)ナウケㇷ゚サィネ(竜神の爪)!」


 具現化された火焔(かえん)が巨大な竜神の爪と化し襲い掛かる莫大(ばくだい)な勁力を受け止める。


化勁(ファジィン)!」


 素早く滑らかに転がす様に竜神の爪は巨大な勁力を完全にいなした。


「うっ! 余よりもはるかに洗練されておる…!」


「班勇さん!」「応!」


レラ=ペウプンチセ=(旋風穿貫)エポソ()!」


「今!」


 班勇の放った技に後押しされ凄まじい勢いで飛び込んだ!


「獣王究極発勁・改・(レラ)! 吹き飛んじゃえ! 啊啊啊啊啊啊(やぁぁあああ)ー!!!」


 鈀子拳(バァジィクァン)ではなく掌底で、浸透勁(しんとうけい)ではなく打突勁(だとつけい)で放った!


「我ノ巨体ヲ…! 凄マジキ勁力ナリ!」


 そう言の葉を遺し(はる)か前方へ吹き飛んでいった。


「…よし決まったぁ♪ しょーぶあり! ね♪」


 彼方でゆっくりと起き上がる影が。

 一度軽くその場で跳ねたかと思いきや瞬時に眼前に顕れた。


「げげ! その身体で瞬動も…! すっごぉ~い!」


「…凄イノハソナタデアル…! ミチヒメ…今ノ一撃…実ニ素晴ラシキモノデアッタ…! アノ拍子(ひょうし)デ浸透サレシナラバ…我ハカリ・ラマトゥシテイタデアロウ…見事デアル!」


「えへへ♪ ありがとう♪ え~と…?」


「ヴァジュラ=パーニ、ト申ス…コチラハ我ガアㇰ()ノ…」


「ヴァジュラ=ダラ、デアル。素晴ラシキトゥム=コロ=クル達ヨ…!」


「ふたりともよろしくね♪」


 ミチヒメは軽く跳躍して二人の頬に唇を押し当てた。


「フフ…カムイメノコ(女神)ノ祝福デアルナ…!」


「あは♪ いや~それ程でも~♪」


 大層ご満悦そうにミチヒメが浮かれっぷりを披露(ひろう)した瞬間轟音(しゅんかんごうおん)が鳴り響く!


「アチラニ我ガルーガルガ…皆、参ロウ…!」


「応!」「は、はい!」


(すっかりコヤイラム(忘れる)しちゃうとこでした…)


 頭を指一本で掻きながらミチヒメも走って皆についていく。

いざカルマ王の元へ。


用語説明です~m(__)m

・ウェンイレンカ:悪い+ヲモヒ→「悪想念」としました。外伝にもこの単語は出ていますね♪

・イ=シカリ=トコロ=カムイ:大きく曲がりくねる+水の龍神→「極大蜿蜒水龍破」としました。

・レラ=ペウプンチセ=エポソ:風+竜巻、つむじ風+貫く→「旋風穿貫撃」としました。

・ウェン=ニㇳネィ:悪い+悪鬼→「邪なる鬼」としました。

・キロル=コィキ:力比べをする

・ウェントゥム=シ=パセ=ケゥエ=チ=コトゥイエ:悪い+力+とても+最高の+身体に+私の+思いを通す→「魔闘氣窮極発勁」としました。

・イレス=カムイ=ナウケㇷ゚サィネ:火の神+竜神の爪→「焔纏う竜神の爪」としました。

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