第58倭 神も振り向く帰還祝いのホリピ
門より無事にイヅモへと…。
「よくやったわね! お帰り!」
「あ、キクリちゃんありがとうございます! ちょっと驚きの姿でしたが…」
「まっさかエカシさまが…とはボクはぜんっぜん気づかなかったよ!」
「…ふぅ…。久々にフツーの感覚に戻れたよ! わかりすぎて観じすぎるのも大変だね…」
「三人ともお疲れ様でした…。また必要な刻はいつでもご用命下さい…」
「アンナありがと! アナタとアビヒコ、そしてヤチホコとスセリ…皆がいなかったらとても出来なかった事だわ!」
「マニィもよん♡」
「そーね! アナタがいないとアビヒコはまだまだ半人前だもんね♪ そう言えばアナタのそのチカラ…ワッカのチカラ持つモノなら誰でも使えるの?」
「アタイと仲良く…契約してくれるか、アビヒコちゃんみたいに仮契約してくれればワッカのトゥムの持ち主ならだれでもできるわん♡」
「え、と言うことは…マニィによらずともぼくの中にもワッカのトゥムがあるってこと?」
「そうよ♡ まだホントの意味でアビヒコちゃんのモノになり切れていないけど、いつかきっとちゃぁんとワッカとオトモダチになれるわん♡」
(ぼくのとうさんかあさんはフツーのウタラ…なのにそんなこともあるんだなぁ…)
「ねぇ~、おはなしおわった? きぃちゃん?」
しびれを切らした様にミヅチがそばにすり寄ってきて言う。
「まー大体ね。じゃぁ無事帰ってきたお祝いの宴をはじめましょうか!」
「わ~♪ まっていたよ~♪」
「あ、それは嬉しいです! ありがとうございます♪」
「ボクそー言えばオナカペコペコだった!」
「ぼくも実体に戻ったらひさびさにすっごく!」
「イイわ♪ 行きましょ♪」
「ですわん♡」
一行はすでに宴の準備が成されている広場へと向かった。クシナダの指示の元様々な料理が用意されていた。
「みなさまお帰りなさいませ♪ 無事で何よりですわ♡」
キクリよりもあどけない佇まいの幼女が安堵の表情で話しかけてきた。
「…母様、お兄ちゃん、見つけたわ!」
キクリの言の葉を聞いた瞬間幼女姿のクシナダの表情が固まったがそのまま次の句を続ける。
「…でもまずそのお話よりも発見の立役者の労いの方が…先だわ♪」
確かにその通りとばかりにキクリの言を聞いてクシナダはゆっくりと頷いた。
「うわ~♪ スゴイです! これ全部頂いてもよろしいのでしょうか?」
「もちろんですわ♪ あなた方の為にご用意させて頂きましたので♪」
「ボクも今日は…ガンバる!」
「これは…かあさんのと同じくらい美味しそうだね♪」
「それでは…ポㇰナ=シリからの無事ご帰還されたことをお祝いさせて頂きます♪ お疲れさまでございました♪ た~んとお召し上がりくださいませ♡」
クシナダのその言の葉を聞くや否や三人はものすごい勢いで食べ始めた。
特にヤチホコは今までにない位の食べっぷりである。
「…なんかさ、ヤチホコ、すっごい食べてない?」
「ふぁい…。…。ぷはぁ♪ 何故でしょうかもの凄くお腹が空いていてですね…」
「…ニスの…メル=ストゥ=マェはどうやらすごくチカラ使うみたいだね…。ぼくらのように他の四属性はかえってオナカ減りにくくなるのにね?」
「あ! んぐっぐ! そ、それででしたか♪ ほかの属性は…こんなに減らないのですね!」
(…ニスは…ラムハプル=モシリ=コロ=クルからのチカラじゃないのかな…?)
アビヒコは相変わらず何も考えていなさそうなヤチホコのことはさておき、空の氣力の他属性との違いを観じて思案していたところ、クシナダが上座の方へと歩いていくのが目に入った。
「さぁ…それではアタクシはじめトゥペス=メノコとのホリピを…♡」
言い終えるや否やクシナダを霧が覆い、眩い光を放ちながらピリカメノコの姿で顕れた。
「アタクシはこのまま舞いましょう♪ ごほうびですわ♡」
一糸纏わぬ姿のまま悠然と舞い始める。
その背後より多種多様な佇まいの八乙女が後に続く。
(ヤィ=モ=トーヤさまが何らかの目的のため各地より連れてきたと聞きましたが…本当ぼくらと全く違ういでたちですね…髪や、目の色も…。そこもまたステキです♪)
見惚れて料理を落とすヲノコ二人の前に来て更になまめかしく舞う。
二人に呆れながらスセリが言う。
「もぅ…エパタイ! ケドしかたないか…クシナダさまキレーすぎよね…♪」
「お褒め預かり光栄ですわ♪ 昔、トカㇷ゚チュㇷ゚カムイ隠れし刻に舞われたモノですわ♪ この舞に喝采を上げる皆の声につられ還って来られたと聞いておりますわ♡ 本来はイノンノイタクと共になのですが…今宵は舞のみご堪能下さいませ♡」
「うんうん♪ 僕でしたら間違いなくどこからでも還ってきます♡」
「ぼ、ぼくも! これは…とっても観たぃ…」
ヤチホコはヲモヒのままを素直に伝え、意外にも最後の方は小さくなりながらもアビヒコも同様にヲモヒ伝えた。
「正しきヲノコですわ♡ さあ♡」
その言の葉と共にとったクシナダの姿勢に目を奪われ刻が止まりし後…二人そろって鼻粘膜血流急増によって盛大に赤い飛沫を吹き上げた。
スセリは天を仰ぎキクリは深い溜息と共に大きく肩を落とした…。
「アナタはへーきなのミヅチ?」
「へ? かあさまいっつもキレーだなっておもったよ♪」
(…未満だったわ…)
軽く頭を横に振りながら別種の溜息をつく。
(やっぱヲノコと言えば…お兄ちゃんしかいないわ♪)
キクリは軽く握りこぶしをつくり改めてアマムの良さを確信したのであった。
「しっかし…これで還ってくるってコトは刻のトカプチュㇷ゚カムイもヲノコなのね!」
「…左様でございますわ♡ それもとびっきりの♡」
「も、も、もしかして…それってまさか…!」
「うふふふ♪ さすがキクリ正解ですわ♡ その方は貴女の…」
「あ、あの父様をこの二人みたいにさせるなんて…どれだけ恐ろしい舞なのよコレって!」
「…なんでもコヤイラムして彷徨いしスサノヲさまを見初められたパセ=トゥスクルさまが、契り交わさんが為に舞われた刻のお話だと伺っておりますわ…」
(コヤイラムしてちゅーちょしてるカムイを色仕掛けでおびき出すって…どんだけのミリョクよ! ムカツヒメ様…色々とスゴイわ…!)
「…母様…お兄ちゃんのコト…教えてほしいわ…!」
舞を終え祈り捧げ、衣を纏いてキクリの横に座りクシナダは応えはじめた。
「…実はアタクシもスサノヲ様より…エヤィホノッカ=オケレオピㇲタ=シㇼより修行のパイェ=カイに出たと…それしか聞かされていないのです…」
「そーなの? じゃぁポン=イトゥンナㇷ゚=モシリでの修業が終わったら戻ってくるってコト?」
「恐らくはそうであろうと思います。一緒にアタクシも観ていましたが、一定のカリ・ラマトゥ…九千九度と言っておりましたね…で緋徒となりて現世に還れる…そう聞きましたわ」
「じゃぁお兄ちゃんもそれだけカリ・ラマトゥしたら…!」
「そうだと思いますわ。…他に条件がないのでしたら」
「条件…。…。…。あ! あの…シンノ=パセ! あそこではヤチホコ達に“カムイ=ケゥエ”って言われていたけど、実はアスカンネ=ケゥエ…! それでも確かモシリの理から外れるって…」
「そうでしたわ…だとしますと戻って来られる日は思ったより早いのかもしれませんわ…!」
「あと少しで逢える…! 待ってるわ…お兄ちゃん♪」
「ラムケゥエ共に逞しくなられましたし、アタクシも待ち遠しいですわ♪」
「…! 還ってきてもお兄ちゃんはアタシがイチバンに決まってるわ!」
「あらあら~? それでしたらもう少しキンラ=ピリカ=レカなメノコにならないとですわ♪」
「ムッ! 母様ってばそれ言う? 知ってるクセに。あの刻帰ってきてトゥムを練り上げ貯めておく為にいつもの通りポン=シオン=ケゥエになったら戻れなくなったって!」
「そうでしたわ…これは失言。それもいつかきっと無理なく…それこそアマムが解いてくれるかもしれませんわ…♪」
「お兄ちゃんが…。…! そ、それって…!」
「そうですわ♡ もしかしたらその刻にその為に晴れて…かもですわ♡」
「ヤッ! エパタイ! じゃない、間違ってないわ、きっとたぶん…そう…」
「…帰りを待ちましょうキクリ。きっとそう遠くありませんわ」
「そーね! そーするわ!」
会話を終えて辺りを見回すと…二人を除き全員その場で夢路についていた…。
「…もーモコロ=ウンしてるのにヲノコってば…ここはこんな風になったりするの?」
「そーですわ♪ 漲るチカラあれば…ですわ♪ まぁ単にクィワッカ我慢していてなってることもありますわ♪」
クシナダはそう言って…意識によらぬ反射についてキクリに伝えた。
(実際は“夜間勃起(現象、もしくは反射)”と言い、浅い深いを繰り返す睡眠中の、夢を観やすい浅い眠り…“レム睡眠”中に副交感神経を介し陰茎周囲の血管拡張と血流増加により起こりやすいと言われていて5~10分ほど継続する。正常なホルモン分泌と動脈硬化が無い証明にもなる。意識の関与は全くないので本人の趣味嗜好や人格は関係なく単なる生理現象である。)
「ミズチのはぜんぜん、アビヒコのもまだへーきだけど…ヤチホコのは…なんか少しイヤな感じするわ…?」
「…アマムはそれよりもずっと…かもですわよ? これ程にアマムに焦がれていながら、ヲノコの“らしさ”を嫌がる所がキクリにはありますわね?」
キクリはその言の葉に思い当たり納得の面持ちで応える。
「確かに! ホントそー、変だわ…。ヤチホコも緋徒としては全くキライじゃない、むしろこの明るさは好きなくらいだけど…そーゆー面を観ると…イヤなイレンカが少しだけ湧いてくるわ…!」
「それもきっとアマムと共に改善していけると思いますわ」
「そーね! お兄ちゃんにまかせたわ! 考えても今は理由がわからなそーだし」
「さぁ、それでは…母と一緒に寝ますかキクリ?」
「…そーね…。もうそんな歳じゃないけど…今なら誰も観てないし…。母様…一緒に寝てもいい?」
「もちろんですわ♪ ではあちらへ参りましょう」
二人は幸せそうに寝息を立てているモノ達に布をかけクシナダの寝室へと向かって行った。
「お休みなさいませキクリ…。どうか良きタカㇻを…」
クシナダはそう言った後祈祷の神呪を唱え広場と寝室に結界を張った。
「…ラマトゥには刻まれていますものね…」
その夜久々に母と同衾で眠りについたキクリは、誰よりも睡眠を堪能した様である。
地底王国編の外伝読まれた方はキクリの嫌がる理由お分りですね。
前世の記憶などを忘れ現世に生まれてくると言われていますが、
たましい…ラマトゥには今までの全てが記憶されてると言います。
これを乗り越えし刻は…緋徒、超えちゃうかもですね♪
用語説明ですm(__)m
・カムイ=ケゥエ神威色身体:神の+(実在の)身体→「神威色身体」としました。
・アスカンネ=ケゥエ:きれい、清らか+身体→「聖仙色身体」としました。
※「色身」…物質としての現実の存在の事です。実体が存在するのは欲界(六欲天)、色界(天界の最上)までです。
・ポン=シオン=ケゥエ:幼児+身体→「幼生体」としました。




