表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/91

第56倭 エコィカのモシリ達超えハルマヘラへ

一旦イヅモで準備して…

 瞬時に(ニサㇷ゚=パィ)旅する門(エカィ=ソィ)より一旦全員でイヅモへ()び、アビヒコはスクナヒコナに変化し、身体をキクリ達に預けヤチホコ達と共に黄金の島(スワンナ・ドゥウィパ)へと跳んだ。


「…これで…お兄ちゃんを見つけられるわ! 少なくても手掛かりはあるハズだわ!」


 その様子を少し離れて()ながらクシナダは心の内で会話していた。


(…あの刻以来になりますわね…さぞ立派になられている事でしょう…スサノヲ様…キクリ、辿(たど)り着きましたわ…!)


()む無しか…(トキ)を戻し記憶(うしな)えど…ラマトゥに(きざ)まれしイレンカは(つい)えぬ故の…であろうか…)


伏犠(フゥシィ)様のおっしゃった通り…)


(うむ…。半身同士()かれ合うは必定(ひつじょう)。しかし此度(こたび)は過去を(なぞら)えぬ様別たれし(はず)…)


(縁と…イレンカ(ヲモヒ)の強さ…でありましょうか…? チカラの半身に宿りし別のラマトゥ(たましい)の持ち主たるアマムへの…)


(うむ…。特別なイレンカ抱いておる…。致し方なしか。アマムとしてのあのモノは我が子ながら素晴らしきヲノコであるからな)


(ええ…。キクリを(いつく)しみ…今世で(あやま)ちを繰り返さぬ為の歯止め役…)


(…此度の事、都合良きとのイレンカ抱いていたが…ただ本筋より目を背けし…であるか…)


(はい…恐らくは…。恐れずにレンカクス=ラム(自由意思)のままに進まんと欲す事こそが…)


(ムカツヒメの予見せしカリ=ラマトゥ(輪廻)を超えて()く、であるか)


(はい…。スサノヲ様はすでにその様に歩まれているとアタクシは存じ上げております)


(そうである、な。故の今…であったな。キクリとアマムの今後に幸多き事願う…)


(まことに…)


「母様…終わったかしら?」


 そう声をかけてきたキクリに(おどろ)きながらクシナダは(こた)える。


「え? あ、えぇ、ちょうど今しがた…ってキクリ、アタクシが何していたかお分りですの?」


「父様との…会話でしょ? 内容はもちろんわからないけど」


「…必要でしたら再生いたします…」


「アンナ、そんなことも出来るのね…。でもいいわ。アンナ、男女の秘め事は聞くモノじゃないわ」


「左様でございましたか。了解です、記憶しておきます」


 その会話を見聞きして驚いたクシナダがキクリに尋ねる。


「え、ええ~! そのイコロ=タㇰ(宝の玉)イタク(言の葉)交わす事叶うのですかキクリ?」


「おどろきでしょ♪ そしてなんとこっちのマニィも…」


「はい♡ アタイもイコロ=タㇰですわん♡」


「…!!!」


 クシナダは驚きのあまり言の葉を失ってしまった。


「…母様に錬成(れんせい)してもらおうと思っていたら…クスターナ(王子に授乳せし大地)でコレ造れちゃう緋徒(ヒト)に出会えたからそのままやってもらったの」


「…これは…カラカラ=クル(調べ聞き整えしモノ)どころではないですわね…。シ=カラ=クル(創造の理修めしモノ)…ですわねそのお方!」


純陀(チュンダ)というエカシ(おじいちゃん)よ?」


「純陀…さま…エカンナイ(いにしえ)高名(こうめい)鍛冶師(かじし)と同じレヘ(名前)ですわ…」


「そーなのね。まぁ、名乗るダケのことありと言うワケね!」


「ええ…。素晴らしい腕前だと思いますわ…」


「そっか! やっぱり頼んで正解だったわね!」


「そのお方の造られしイコロ=タㇰでしたら…アマムの行方も見つけられる訳ですわ…」


「…うん! あとは…ヤチホコ達がうまくしてくれれば…」


 キクリは満足げに頷いてその様に応えた。

 …刻おなじくはるか離れた処にて。


「…っくしん!」


「…どーしたの? まさかこのスワンナ・ドゥウィパ(黄金の島)で寒いワケないと思うケド?」


「そ、そうですね。すごーく暑いです。…(ほこり)でも入りましたかね? しかしそのせいでしょうか、このモシリのチクパㇷ゚(クワガタムシ)たちは何てすごく大きいのでしょう! キラゥ()三本あるものまでいますね♪」


「二人共準備できたらまずこのモシリ南端のニサㇷ゚=パィ(瞬時に)エカィ=ソィ(旅する門)に行くよ。そこからマナドへ跳んだら…目的のハルマヘラのすぐ横にあるテルナテへ寄るからね」


「ボク大丈夫!」


「あ、はい、良いですよ!」


 二人共返事をして帆掛け舟(ロクンテゥ)を海岸線沿いに(エコィカ)へ走らせる。


「ここはモシリ()たちの間の内海だから問題ないと思うけど気をつけて進めてね」


「りょーかいです♪」


「…アレがきっと南端にあるマナドへ行く専用の門…行こう!」


 一行は上陸して門をくぐりマナドへと跳んでいった。


「ここからテルナテまではすぐだよ。この方角にまっすぐ進んでね」


「どのくらいでしょうかね?」


「このマナドからなら大したことないよ、すぐにつく」


「…あ、ホント! あの先に観える…あれじゃないかな?」


 スセリの指さす方に同じような島が二つ並んでいるのが観えてきた。


「…まちがいない。あのつながって観えるモシリの…左側!」


「あ、左がテルナテですね♪ではそちらへ上陸しますね!」


 帆掛け舟(ロクンテゥ)はその言の葉を聞くと少しだけ明滅してゆっくりと帆先(ほさき)をテルナテ側へと変えて進み始めた。


「うん。テルナテには小さなコタン(集落)があるからそこで準備してハルマヘラへ向かおう」


「うん。あ! もう着くよ!」


 一行はまずハルマヘラ手前双子の島の北側、テルナテへ上陸した。ハルマヘラと違い平地の多い島である。大部分が熱帯雨林に覆われるハルマヘラとは違い作物を育てるのも難しくない。豊富な雨のため水に困る事も無く小さな島ながら居住可能なのである。住民から見れば無限と言える海の幸もある。

 小さな市場で魚の塩焼きを手に入れ腹ごしらえを済ませハルマヘラへ向かう準備をする。


「実はハルマヘラへ今のまま上陸したらポン=イトゥ(小さきア)ンナㇷ゚=モシリ(リの世界)に入ることが出来ないんだ。だからここでぼくがキミたちのトゥム(氣力)をあずかる。ぼくとつながれば…普通にモシリに上陸した後ポン=イトゥンナㇷ゚=モシリに入れる。そのための準備をしていく。用意はいいかい?」


「あ、はい、大丈夫です♪」


「ボクも!」


「じゃぁトゥムを属性のチカラも併せて解放して…」


 二人は言われた通りにした。


「…よし。これで基本的なトゥムのみになるから…うまくたちまわってね」


「了解です♪ 強さも…並のウタラよりは…のカンジですね」


「コレはホントケゥエ=エイキ(身体操作)がだいじかも!」


「今の状態ですと…スセリちゃんの方がトゥムが上…ですね!」


「潜在しているモノも含んで属性のトゥムを差し引いたらスセリちゃんの方が今は上なんだろうね」


「…じゃぁボクが守ってあげるからラム=シリネ(安心する)して♪」


「あ、は、はい…いえいえ僕も…いつものスセリちゃんみたいに工夫してみます♪」


「うん♪」


「…じゃぁ…ハルマヘラへ…ポン=イトゥンナㇷ゚=モシリへ…行くよ!」


「ハイ!」「うん!」


 一行は帆掛け舟(ロクンテゥ)を海に浮かべハルマヘラへ向かった。


「…目的のモシリへ向かうようね! これからだわ! しかし…スクナヒコナの観たモノをアンナに投影してもらって見れるのは…モノスゴく便利だわ♪」


「ありがとうございます…。お役に立ててとても嬉しいです…」


「さぁ、どんな世界なのか…観させてもらいましょ!」


 ----------------------------------------------

 ※ここから外伝「地底王国編」をお読みいただくと話がつながります♪

 最終話、もしくは連結編外伝前後編までお読みいただければと思います。


 地底王国編第一話

 https://ncode.syosetu.com/n6262hh/1/


 連結編前編

 https://ncode.syosetu.com/n6262hh/13/

 ------------------------------------------ーーーー


このあと、地底王国編でのヤチホコとスセリの冒険もお読みいただいてから次のお話へ進んで頂ければと思います♪


用語説明ですm(__)m

・カリ=ラマトゥ:廻る+たましい→「輪廻」としました

・カラカラ=クル:~を整える+者→「調べ聞き整えしモノ」としました

・シ=カラ=クル:本当に、偉大な+モノをつくる+者→「創造の理修めしモノ」としました

・ポン=イトゥンナㇷ゚=モシリ:小さな+アリの+世界→そのまんま「小さきアリの世界」としました


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ