第56倭 エコィカのモシリ達超えハルマヘラへ
一旦イヅモで準備して…
瞬時に旅する門より一旦全員でイヅモへ跳び、アビヒコはスクナヒコナに変化し、身体をキクリ達に預けヤチホコ達と共に黄金の島へと跳んだ。
「…これで…お兄ちゃんを見つけられるわ! 少なくても手掛かりはあるハズだわ!」
その様子を少し離れて観ながらクシナダは心の内で会話していた。
(…あの刻以来になりますわね…さぞ立派になられている事でしょう…スサノヲ様…キクリ、辿り着きましたわ…!)
(已む無しか…刻を戻し記憶喪えど…ラマトゥに刻まれしイレンカは潰えぬ故の…であろうか…)
(伏犠様のおっしゃった通り…)
(うむ…。半身同士惹かれ合うは必定。しかし此度は過去を準えぬ様別たれし筈…)
(縁と…イレンカの強さ…でありましょうか…? チカラの半身に宿りし別のラマトゥの持ち主たるアマムへの…)
(うむ…。特別なイレンカ抱いておる…。致し方なしか。アマムとしてのあのモノは我が子ながら素晴らしきヲノコであるからな)
(ええ…。キクリを慈しみ…今世で過ちを繰り返さぬ為の歯止め役…)
(…此度の事、都合良きとのイレンカ抱いていたが…ただ本筋より目を背けし…であるか…)
(はい…恐らくは…。恐れずにレンカクス=ラムのままに進まんと欲す事こそが…)
(ムカツヒメの予見せしカリ=ラマトゥを超えて征く、であるか)
(はい…。スサノヲ様はすでにその様に歩まれているとアタクシは存じ上げております)
(そうである、な。故の今…であったな。キクリとアマムの今後に幸多き事願う…)
(まことに…)
「母様…終わったかしら?」
そう声をかけてきたキクリに驚きながらクシナダは応える。
「え? あ、えぇ、ちょうど今しがた…ってキクリ、アタクシが何していたかお分りですの?」
「父様との…会話でしょ? 内容はもちろんわからないけど」
「…必要でしたら再生いたします…」
「アンナ、そんなことも出来るのね…。でもいいわ。アンナ、男女の秘め事は聞くモノじゃないわ」
「左様でございましたか。了解です、記憶しておきます」
その会話を見聞きして驚いたクシナダがキクリに尋ねる。
「え、ええ~! そのイコロ=タㇰ…イタク交わす事叶うのですかキクリ?」
「おどろきでしょ♪ そしてなんとこっちのマニィも…」
「はい♡ アタイもイコロ=タㇰですわん♡」
「…!!!」
クシナダは驚きのあまり言の葉を失ってしまった。
「…母様に錬成してもらおうと思っていたら…クスターナでコレ造れちゃう緋徒に出会えたからそのままやってもらったの」
「…これは…カラカラ=クルどころではないですわね…。シ=カラ=クル…ですわねそのお方!」
「純陀というエカシよ?」
「純陀…さま…エカンナイの高名な鍛冶師と同じレヘですわ…」
「そーなのね。まぁ、名乗るダケのことありと言うワケね!」
「ええ…。素晴らしい腕前だと思いますわ…」
「そっか! やっぱり頼んで正解だったわね!」
「そのお方の造られしイコロ=タㇰでしたら…アマムの行方も見つけられる訳ですわ…」
「…うん! あとは…ヤチホコ達がうまくしてくれれば…」
キクリは満足げに頷いてその様に応えた。
…刻おなじくはるか離れた処にて。
「…っくしん!」
「…どーしたの? まさかこのスワンナ・ドゥウィパで寒いワケないと思うケド?」
「そ、そうですね。すごーく暑いです。…埃でも入りましたかね? しかしそのせいでしょうか、このモシリのチクパㇷ゚たちは何てすごく大きいのでしょう! キラゥ三本あるものまでいますね♪」
「二人共準備できたらまずこのモシリ南端のニサㇷ゚=パィエカィ=ソィに行くよ。そこからマナドへ跳んだら…目的のハルマヘラのすぐ横にあるテルナテへ寄るからね」
「ボク大丈夫!」
「あ、はい、良いですよ!」
二人共返事をして帆掛け舟を海岸線沿いに南へ走らせる。
「ここはモシリたちの間の内海だから問題ないと思うけど気をつけて進めてね」
「りょーかいです♪」
「…アレがきっと南端にあるマナドへ行く専用の門…行こう!」
一行は上陸して門をくぐりマナドへと跳んでいった。
「ここからテルナテまではすぐだよ。この方角にまっすぐ進んでね」
「どのくらいでしょうかね?」
「このマナドからなら大したことないよ、すぐにつく」
「…あ、ホント! あの先に観える…あれじゃないかな?」
スセリの指さす方に同じような島が二つ並んでいるのが観えてきた。
「…まちがいない。あのつながって観えるモシリの…左側!」
「あ、左がテルナテですね♪ではそちらへ上陸しますね!」
帆掛け舟はその言の葉を聞くと少しだけ明滅してゆっくりと帆先をテルナテ側へと変えて進み始めた。
「うん。テルナテには小さなコタンがあるからそこで準備してハルマヘラへ向かおう」
「うん。あ! もう着くよ!」
一行はまずハルマヘラ手前双子の島の北側、テルナテへ上陸した。ハルマヘラと違い平地の多い島である。大部分が熱帯雨林に覆われるハルマヘラとは違い作物を育てるのも難しくない。豊富な雨のため水に困る事も無く小さな島ながら居住可能なのである。住民から見れば無限と言える海の幸もある。
小さな市場で魚の塩焼きを手に入れ腹ごしらえを済ませハルマヘラへ向かう準備をする。
「実はハルマヘラへ今のまま上陸したらポン=イトゥンナㇷ゚=モシリに入ることが出来ないんだ。だからここでぼくがキミたちのトゥムをあずかる。ぼくとつながれば…普通にモシリに上陸した後ポン=イトゥンナㇷ゚=モシリに入れる。そのための準備をしていく。用意はいいかい?」
「あ、はい、大丈夫です♪」
「ボクも!」
「じゃぁトゥムを属性のチカラも併せて解放して…」
二人は言われた通りにした。
「…よし。これで基本的なトゥムのみになるから…うまくたちまわってね」
「了解です♪ 強さも…並のウタラよりは…のカンジですね」
「コレはホントケゥエ=エイキがだいじかも!」
「今の状態ですと…スセリちゃんの方がトゥムが上…ですね!」
「潜在しているモノも含んで属性のトゥムを差し引いたらスセリちゃんの方が今は上なんだろうね」
「…じゃぁボクが守ってあげるからラム=シリネして♪」
「あ、は、はい…いえいえ僕も…いつものスセリちゃんみたいに工夫してみます♪」
「うん♪」
「…じゃぁ…ハルマヘラへ…ポン=イトゥンナㇷ゚=モシリへ…行くよ!」
「ハイ!」「うん!」
一行は帆掛け舟を海に浮かべハルマヘラへ向かった。
「…目的のモシリへ向かうようね! これからだわ! しかし…スクナヒコナの観たモノをアンナに投影してもらって見れるのは…モノスゴく便利だわ♪」
「ありがとうございます…。お役に立ててとても嬉しいです…」
「さぁ、どんな世界なのか…観させてもらいましょ!」
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※ここから外伝「地底王国編」をお読みいただくと話がつながります♪
最終話、もしくは連結編外伝前後編までお読みいただければと思います。
地底王国編第一話
https://ncode.syosetu.com/n6262hh/1/
連結編前編
https://ncode.syosetu.com/n6262hh/13/
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このあと、地底王国編でのヤチホコとスセリの冒険もお読みいただいてから次のお話へ進んで頂ければと思います♪
用語説明ですm(__)m
・カリ=ラマトゥ:廻る+たましい→「輪廻」としました
・カラカラ=クル:~を整える+者→「調べ聞き整えしモノ」としました
・シ=カラ=クル:本当に、偉大な+モノをつくる+者→「創造の理修めしモノ」としました
・ポン=イトゥンナㇷ゚=モシリ:小さな+アリの+世界→そのまんま「小さきアリの世界」としました