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第5倭 カムイキリサム=コラムヌカラの章(其の弐)

思いの外長いので流れの区切りで分けていきますm(__)m


今回は其のため少し短めです(^_^;)

「…みなさん宜しいでしょうか…?次は私…オオトシが見定めさせて頂きます…ヌプル(霊力)を用いて答えを導く…もしくはトゥム(氣力)とヌプルを…示されて下さい…!それでは先の逆順で…ヤチホコ、スセリ、いらして下さい…」


 オオトシに呼ばれて比武台へおりていく。


「…それでは答えて頂きます…これは…何でしょうか…?」


 何もないと思われる宙を指し示してオオトシは言った。

 その表情はおだやかながらいたって真剣であった。


「ヤ、ヤチ…?」


「あ、はい…ちょっとお待ちを…。…。…。…!」出来ました…いきます!」


 ヤチホコはもの凄く集中して見極めようとしているようである。


「…!観えました…!コタンコロカムイ(ふくろう)…です!」


 中空を凝視しながらヤチホコはそう伝えた。


「…よろしいでしょう!合格です…!良く観ましたね」


 オオトシは微かに表情をほころばせてそう言った。


「そ、そ~なの…?ボクはそっちさっぱりだからまったく観えなかった!」


 驚きと関心混じりにスセリは言った。


「良いんですよそれで♪…このカムイキリサム(神前)コラムヌカラ(比武)は…二人で力を合わせることも大事ですからね!」


「そっか…!ヤチわかったよ、ありがと!」


 納得がいった表情でスセリはそう言った。


「次は…キクリ、ミズチ…貴方達です」


「うん!オオにいちゃん!」


「…わかったわ!」


 それぞれに返事する二人を見てオオトシは軽く頷き言う。


「それでは…これを…掴んで下さい」


 オオトシは光り輝く玉のようなモノを掌から出した。


「…参ります…」


 玉はゆっくりと揺れながら浮遊したまま近づいてきた。



「?これ…つかむだけ…?カンタンカンタ…!あ、あれれ~?」


 難なく掴んだと思ったミズチの掌をすり抜けて玉は浮遊していた。


「こ、これはもしかして…!ミズチ、掌にトゥムを集めて!」


「うん!…やぁ…!」


「…いいわ…!…ラムハプルヌプル(付与霊呪)…!ミズチの掌に宿れアタシのヌプル…!」


「オオ兄さまもう一度お願いするわ…!」


「…わかりました…。…!…では参ります…!」


 再び光る玉が近づいてきた。


「ミズチ…優しく掴んでみて…?」


「う、うん…。…。…!つ、つかめたよ~!」


「よろしいでしょう…!合格です!…良く気づき、そして付与による力上手に発動させられましたね…!」


「ミズチのトゥムは…八俣さまの加護を受けているから…いけると思ったわ…!」


 オオトシはゆっくり頷いた。


「それでは次…ミチヒメ、アビヒコ、こちらへいらして下さい」


「えっと…ど~しよ…?この子たちの力無いとわたし…」


「…大丈夫。まず…で…こう…。」


「…なぁるほど♪さっすがはアビヒコね♪」


 そう言いながらアビヒコの頭をなでた。


「それじゃはじめるよミチヒメ…!」


「うん…!」


 ミチヒメはアビヒコからヌプルを受け取ると強くトゥムを吹き上げる。


「よし!じゃぁ…行くよ!ラムハプルトゥム(付与生氣呪) 」


 ミチヒメは吹き上げたトゥムをアビヒコに渡す。


「今度はぼくの中でこれを…自分のヌプルと合わせ…!…なんて重く強いトゥム…!…。…。…!で、でき…!」


「…貴方達にはこれを受けていただきます…!」


 オオトシは先の玉を出すとその中に手を入れて、玉の力を拳に纏った。


「アビヒコあれってまさか…!」


「…こっちも出来ていることを祈っていて…!力よぼくの手に集まれ…!」


 オオトシはゆるやかに近づいてきてそっと手を振り下ろしてきた。

 アビヒコも手に集めし力でそれを受け止めようとする。


「と、止まってくれ…!」


 ゆっくり下ろされてきた手刀を両手で受け止めると…地響きのような振動と音が鳴り響く。


「く…くくっ!…もの…すご…重…!ミ、ミチヒメ!」


 アビヒコの背後より自分の手を添えてミチヒメも一緒に受け止めようとする。


「~!い、今残っているトゥムじゃこれが精一杯…!」


 圧力に耐えきれず二人とも膝を着く。


「…ここまでです…。良く受け止めましたね…!そして互いに分け与える力の配分…上手に調整できましたね」


 優しく、ともすれば神々しい表情でオオトシはそう言った。


「…お褒めに(あずか)り…光栄です…♪」


「オオトシさま、ありがとうございます…!うまく行って良かった!」


「うん♪アビヒコよぉっく出来たね♪」


 ミチヒメはアビヒコを優しく抱きしめた。


「…それでは最後…ミケヒコ、ヒメ、こちらへいらして下さい」


 呼ばれて二人は比武台へ降りていく。


「ミケヒコ…あなたには…私と数手剣を交えて頂きます…」


「…望むところだ…!はぁ…!ヒメ!」


 言うやいなや紅に輝くトゥムを吹き上げていく。

 そしてそれを自分の剣にも持ち手より伝わらせていく…。


「…かしこまりました…ラムハプルヌプル(付与霊呪)…剣よカムイとなり給え…!」


 ヒメより輝くヌプルがミケヒコの剣に宿っていく。

 紅く輝く剣は紅蓮の炎の様に揺らめく力を帯びた状態へと変貌した。


「あ、あれはもしかしてウガヤ兄のと一緒の…!」


「わ!すっご~い!…あの子あれできるのね~!」


「あ、ミチヒメ…さん、そ、そうです!ミケヒコは僕と同じ年なのですが…すごいのです…!」


「…あの子…?あのお方であろう!見せてやろう…!カムイにも匹敵する一撃を!」


「…素晴らしいですねミケヒコ…!では私も力を出して応じましょう…!」


 そう言うとオオトシの身体から激しく炎が吹き上がる!

 渦巻くようにオオトシを取り囲みながら凝縮していく…!

 爆風と共に顕れたのは…全身が紅に染まって輝くオオトシであった。


「あ!…あ、あれって…!メ、メル=ストゥ=マゥエ(光り輝く根源の力)!」


「…かんっぜんに纏いきれているわね!さっすがオオトシさま!」


「…やっぱりまったく練の段階が違うんだね…!あれじゃぼくらが全力出せても関係ないや…」


 アビヒコも驚きながらそう続けた。


「…そ~ね~。同じメル=ストゥ=マゥエ(光子力)か…「空」のトゥムの様に上の境涯に届く力じゃ無いと…ね…!」


「フッ…さすがヤマトゥのモシリ=コロクル(クニを統べるモノ)!いざ!参る!イレスカムイ(炎の神の)ペウプンチセ(竜巻)!」


 ミケヒコは叫ぶのと同時に激しく斬りかかっていった。

 切っ先より炎が激しく渦巻いてオオトシめがけて飛んでいく。


「その年で…大したモノですね…!」


 感心の言葉と裏腹にオオトシは難なく炎の渦を剣で薙ぎ祓い瞬く間に霧散させた。

 ミケヒコは驚きと共に悔しさを満面に浮かべていた。


「…おそらく現状の最大の技でしょう。…そしてその炎のトゥム自体に…特別な力が付与されている様ですね…。今度はこちらから参ります…心して受けて下さい…!」


 そう言うとオオトシの身体が力強く輝きはじめ、そのままミケヒコに向かって突進してきた。


「…来い!オレは負けん…!」


「…参ります…!」


 オオトシは上段より無造作に剣を振り下ろしミケヒコに斬りつけた。

 衝突と同時にとてつもない重圧を感じミケヒコは膝を着いた。


(…何という力感…これが…メル ストゥ マゥエを開けしモノの力か…!…だが…オレは…オレは…!)


 趣向をつけた左手と柄を持つ右手で剣を支え必死に受け止めているが徐々に押し負けていく。


「ぐ…がぁ!ま、負けない…!ヒメ!」


 体中からトゥムを振り絞り剣に伝わらせて叫ぶ。


「はい!…ラムハプルヌプル…!」


「…おおおぁあ!」


 総てのトゥムを込めた剣に全力で付与してもらい渾身の力を振り絞り押し返す。

 見事オオトシの剣を押しのけてミケヒコは大きく肩で息をしながらも立ち上がって構えた。


「…見事です…!受け止められた時点で合格ですが…さすがはホアカリの生まれ変わりと称されるだけありますね!文句無しで合格です…!」


 珍しく少し感情的に興奮してオオトシはそう褒めた。


「此の力の彼我の差は悔しいどころではないが…合格は受け取っておくぞ!」


 そう言いながらヒメの手を取りミケヒコは比武台を後にした。


次回がある意味本番…です…!


用語解説ですm(__)m

・境涯:元々は身上、境遇を指しますが、仏教用語では心の段階、レベルを指します。

これに差がある場合、通常の方法では攻撃が届きすらしません。


・メル=ストゥ=マゥエ:光り輝く根源の力=光子力。

心の境涯が神威に至らぬ前にトゥムとヌプルを融合発動させるとこれになります。

カムイが同様のことを行うときの力は、神威之力…「カムイ=マゥエ」となります。


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