第46倭 コノハナサクヤたちのエウコピヌピヌ
出発の朝です…
「…皆クンナノイペを済ませ荷造り終えたであろうか?」
ウガヤが全員見回して言う。その姿は心なしか疲れている様に観えたが、いつも以上に穏やかにも観えた。ミチヒメは不思議がって観ようとしたが、ウガヤは観れなかった。
(…完全に親目線だもんねアチャポ…)
(ミヅチちゃんも…この子はキクリちゃん一筋だもんね~)
(ヤチホコくんは…やっぱりカワイイ、照れくさい…あ、え?うしろめたさ…?あれれ?…!ふぅ~ん…スセリちゃんと何かあったのね♪)
(観えないと思うケドアビヒコは…え、ええ?えええ!!わたしへの…ミチヒメのイレンカだらけ…あ、マニィちゃんも柔らかかった…そ~ですか~そうでしょう~♪
…しっかしアビヒコがねぇ…。エシカルンしてみると…そっか…わたしの為に…頑張ってきたんだね…♪)
そう思うとたまらなく愛おしいヲモヒがこみあげてきて抱きしめた。
そして頬に優しく頬に唇を押し当てた。
「な?ミチヒメいったい何を!?」
「まったまた嬉しい~くせに♪昨日はばっちり修練できた?」
「…ああ…ぼくに一番足りないモノ…ケゥエ=エイキをキクリちゃんから教えてもらって…自分のチカラの使い方…少しだけつかめた気がする…!」
軽く握りこぶしをつくってアビヒコはそう応えた。
「うんうん♪頼りにしているゾ♡」
ミチヒメは再度抱きしめて頭を撫でながらそう伝えた。
「あ、う、うん…!まかせておいて!」
「…うふふ♪上手に使いなさいよ♪それも“コノハナサクヤ”になれるトゥスクルの特権だから♪」
横から近づいて腕を絡めタギリはそうミチヒメに伝えた。
(…ええ!?も、もしかしてバレてる…と言うかおかーさんも…!)
(そぉよぉ♪もてるメノコは辛いわよねぇ~♪)
ミチヒメの母タギリもやはり引く手数多であった様である。
(まぁあたしはあなた程えり好み出来なかったし、しなかったけどね♪)
どうやら父である統一奴国王…オオクニからのほぼ一方的な求愛であったようだ…。
もっともタギリの父であるハヤスサノヲも統一奴国の平和の為、出来る事なら場とは思っていたようである。
(おとうさまの願いだったしね~。もちろんアナタ達が生まれたように今とっても幸せよ♪)
ミチヒメは一瞬表情がに陰りを見せたがすぐさま笑顔で応えた。
(そぉれは良かったね♪わたしも…いつかきっと…)
タギリはミチヒメを優しく抱きすくめ微笑みながら目くばせして言った。
(…オオトシさまは今のあなたに一番ふさわしいお方かもね…♪)
ミチヒメは不意を突かれ驚いてタギリの方に振り向く。
(…あたしはも少し激しく求められたいケド…ね♡)
タギリは軽く舌を出してそのように続けた。
(なっ…その…強く熱いイレンカで…わたしたちは…)
(そうよぉ♪…今世あたしの元へ来てくれてありがとね♪)
そう言うタギリに対し少し沈んだ表情でミチヒメは応える。
(おかーさん…わたしは…まだ全力では…喜べないよ…)
優しい表情で頷いてタギリは応えた。
(わかっているわ…。あなたに課せられた道がどれほど険しく困難で大変か…でもね…)
(…乗り越えられる…乗り越えてゆけるから降りかかる…でしょ?)
(その通りよ…。そしてミチヒメ…あなたなら絶対出来る…!母さんはそう信じているわ!)
(…うん…。きっと…意味があって…これもまた…大きな一つの結果へ紡がれていく…そうだよね?)
(えぇ…そう…。そしてね…訪れる結果は…カムイ=イピㇼマを超えて…自分たちのイレンカで変えてゆけるの。だから…どんな刻も…どんな事であっても…あなたらしい健やかさで乗り超えて!)
(まかせて!わたしは…わたしの内なるチカラと…きっと仲良しになってみせるよ!)
「…母娘の密談、終えられたであるか?」
以外にもそうウガヤが声をかけてきた。
「…うん!ばっちりです♪」
「だ、そ~です♪」
二人はそう元気よく、タギリは心なしか少しだけいたずらっぽい眼差しでウガヤを見つめ微笑みながら応えた。
意外にも少し頬を赤く染め一つ咳払いをしてウガヤは言う。
「ならば…各々準備整いしならば…いざ参ろう!」
一同元気よく返事をして大型万能船に乗り込み王子に授乳せし大地を後にした。
暫く山々の麓沿いに走らせていく…二つほど泉湧きし地を通り過ぎし後にそれは観えてきた。
「…ここが世界の屋根と呼ばれ始めつつある所…」
「そう…現地のイタクで“パミール”ポロ=モシリではツゥォンリィンと呼ばれているわ」
タギリはそう皆に説明した。
以前ミチヒメが年々高さを増していると発言していた場所、それがここパミールである。
「今はまだなんとかヤレパチプでも越えられるけど…いずれは自力で往来しないとならないと思うわ…」
「そ~言えばおかーさん…こんなとこまでついて来て大丈夫なの?」
「今はまだヤレパチプで来れるから平気よ♪だから帰りも心配ないわ♪」
少し嬉しそうな雰囲気で応えるタギリを見てヤチホコは言った。
「あ!もしかして…タギリ姉がここまでついてきたのは…」
「そ~よぉヤチホコくん♪この水清く地熱高いパミールの類稀なカムイワッカをい頂きによぉ♪」
パミール越えの休憩地点として機能している集落の中に温泉が湧いているらしい。
泉質も良く湯治客も多い。往来するモノ達の憩いの場となっている模様である。
「我々でもこの高低差を急に登降すれば問題出る事もあろう。この地にてしばしケゥエを慣らしその後ここを越えし地にあるガンダーラへ参ろう」
温泉が湧き雪どけ水も豊富なパミールの集落にて無理なく環境に適応しながら修練し、全力動作が可能になるまでしばらく滞在することにした。
暫く滞在した後、全員問題なく動ける事を確認出来たので、頂上を越え西側へ降りていく事にした。
「あたしはここで一度お別れね。みんな、元気に戻ってきてね♪ もし…元気じゃなくても…必ず全員戻ってきて!」
タギリは明るくも真剣なヲモヒを籠めて皆にそう伝えた。
「無論!誰一人欠ける事無き様守る所存である!」
「タギリ様大丈夫です。私とウガヤ様が同行しております、必ずや再び相見えましょう」
いつも通りのオオトシと、少し頬がこけ精悍さが増した佇まいながらも穏やかな眼差しのウガヤが応えた。
「…そーですわね♪…念の為…ゆめゆめイレンカ強く…迷わず…必ずや無事のご帰還を!」
「うむ!」「ええ!」
(…もしかして思っている以上に大変なのでしょうか…?)
「なんとかなるなる♪」
ヤチホコの頭の片隅を一瞬過った不安感はミチヒメの一言に打ち消されてしまった…。
(…いつもながらまったく迷いのない真っすぐさですね…♪)
感心と尊敬と…異性への好意を交えヤチホコはそう思った。
「ちょっとだけキンチョーするケド…ボクもガンバる!」
スセリもナニカを微かに観じた様だがすぐ拭い去ってそう言った。
「参る!」
ウガヤの声で一同タギリに挨拶し、パミールの先…天と地の基礎となる叡智の聖塔があると言う…目的地ガンダーラへと進んでいった。
タギリは真摯に神呪を唱え捧げた。
一行が視界から消えると音も無く静かに宙に浮かび上がりそのまま溶け込む様に空に消え去ってしまった…。
…コノハナサクヤたらんモノにはこのチカラ、必須かもですね(^-^;
次はとうとうガンダーラです…!
用語説明ですm(__)m
パミール:タジク語で「世界の屋根」、ポロ=モシリ=漢(今の中国)では葱嶺(日本読みは“そうれい”)、ピンインでは「Cōng lǐng」
※和人が観るとCōng lǐng→コォンリンといいそうですが、何度聞いてもタ行の音的でしたので上記のフリガナとしましたm(__)m
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