第43倭 カムイ=アリキキノ=スㇲ(カムイたちの全力川遊び)
皆何しに行ったかと思えば…
「良い?今回のスㇲのイレンカはこうよ♪“直接当てるのは水のみ”みんな分かったぁ?」
「は~い!」
一同元気よく返事をした。
「…じゃぁ…いっくよ~!やぁぁ~!」
ミチヒメの鋭い前蹴りにによって水が衝撃波と共に襲い掛かってくる!
スセリは跳躍、アビヒコは…ヤチホコを踏み台にし、ミヅチは水の壁で難なく切り抜けた。
ひとりずぶ濡れのヤチホコは身体を一揺すりして水を払い笑みを浮かべながら皆を観て言う。
「やりましたね~!では僕も…剣撃で…はぁ!」
“空”の氣力を解放し剣を逆手に持ち替えすくい上げる様に一撃を放つ。扇状に広がりながら水が襲い掛かる。
難なく防ぐミヅチ以外全員避け切れず被弾した。
「やったです♪いぇい!」
「ヤチやるね!じゃぁボクも…レラよ…!」
言うや否や風が巻き起こり、瞬く間につむじ風となり強さを増していく…。
「…とっ!これは逃げるに限ります!」
そう言って逃げようとしたヤチホコの前にミチヒメが顕れ胸元を大きく開いてのぞき込んで呟く。
「ありゃりゃ~、こんなとこまで濡れちゃった♡」
ヤチホコは思わずつられて凝視してしまった…。
「ふふ♪お・ま・せ・さん♡」
そう言い終える間に瞬時に消えるが如き速度でミチヒメは跳び退き、代わりに眼前には…水を巻き込んだ竜巻が…!
ヤチホコは上空に巻き上げられ激しくきりもみしながら落下してくる…!
そのまま滝つぼに落ち豪快に水飛沫をあげる。
(な、なんか以前もこんな目に遭ったような氣が…)
一瞬水面が輝いたかと思うと勢いよくヤチホコが跳び出してきた。
「い、今のは…防げません…♪」
照れ笑いしながらヤチホコは応えた。
一同笑っている所に勢いよく滝つぼに飛び込む音が聞こえた。
「なぁに?アタシをおいてみんなこんな楽しいコトしてたの!」
飛び込んできたのはキクリであった。
「キクリちゃ~ん!もぉ大丈夫~?」とミチヒメ。
「キクリちゃん、良かった!」スセリも安堵して言う。
「キクリちゃん遅い遅い♪」察知していたのか嬉しそうにアビヒコは言った。
「あ、心配しましたが良かったです~!」今観て理解したヤチホコはそう言う。
「きぃちゃん…よかったぁ~」直に見て安心した様子でミヅチは言った。
その直後、どこか上の空だったミヅチが一転して攻めてきた。
「よぉっし~ワッカのトゥムのほんき、みせてあげるよ~!やぁぁ!ところ=かむい=そ~!」
一瞬で川の水が干上がり、上空で広がり城壁のような巨大な水塊が落ちてくる…!
「わ!ミヅチのエパタイ!これはやりす…」
氣力を行使えない一般民なら水圧だけでも大変な事になるであろう衝撃が辺りに響き渡る。
(ま、まって!ぼくはこれをふせげる強さですぐにトゥム出すなんて…!)
そう思ってアビヒコは必死で防御姿勢をとったが…不思議と衝撃がまったく来ない…?
「ちょっとちょっとミヅチちゃん?やりすぎよ~ん!アタイがいなかったらアビヒコちゃん大ケガしちゃったわよ~!」
目を開けてみると…上空より降りかかってきた水壁をマニィがひとさし指一本で静止していた。
「えええ?す…すごい…!」
「んふふ♡だぁってマニィ、水の属性のイコロ=タㇰだもん♡」
「…アビヒコちゃんも…できるよ♪だってアタイを選んだんだもん♡」
そう言うとマニィはアビヒコを後ろから抱きすくめて言の葉を続けた。
「さぁ…観じて…念じてみて…今…ワッカはアビヒコちゃんのウタㇻイヒよ♪」
(…ワッカはすべてを溶かし…受け入れる…相反するぼくのチカラも…)
普段の神魔並行励起と違い身体が白黒二色にならず混ざり合い輝きを増して銀色となり…半神半魔ではなく左右共に両方の中間の姿になっていく…。
(…観じる…聴こえる…わかる…。…こう…そして…)
アビヒコが何気なく腕を揮うとそれに合わせ踊る様に川の水が動き水面の至る所からアビヒコそっくりの人形が何体も顕れた。
(…そして…こう…!)
アビヒコのヲモヒのままに…水で出来た分御魂とも言うべき分身体がミヅチへ突進していく。
「うわぁ!わっか=やいきっから=ちゃし~!」
ミヅチの周りを囲う様にに円柱状の水柱がいくつも競り上がる!…だがしかし、同様に水で形成されたアビヒコ達は難なくすり抜けミヅチへ向かい放水する。
瞬く間に溺れさせられたかの如くずぶ濡れのモノが出来上がった…!
「ふえぇ~ま、まいったぁ~」
そう言いながらミヅチは尻餅をつくようにその場に座り込んだ。
「え?…ええっ?どうして?…ぼくは…盟主と契約できなかったのに…?」
チカラを行使した本人であるアビヒコが一番驚いていると、後ろから微笑みながらマニィが言う。
「アタイたちも…似たよ~なモノなのよん♪」
マニィのその言の葉に思考が追い付かずアビヒコは尋ねる。
「一体どういうこと?」
「アタイたちは…ウコテスカㇻ=コシ=クルなのよん♡つまり…盟主との契約って呼ばれてるツナガリを…代わりにしてあげられるのよん♪ それがアタイたちと一緒だと良いってことのひとつよん♡」
話を総合すると誰であっても属性の氣力出せてしまうスグレモノと言う事らしい。
「こ、これが…スマのルーガルと…タㇰと呼ばれる訳ですね!すごいです!ウパスクマ=エ=テメン=アンキの扉は…盟主と契約できていないとですが…能力だけでしたら契約した緋徒の様になるのですね!」
ヤチホコも驚き感心しながらそう言った。
「そうよん♡そして…出来るコト…それが大事になる事もあるわ~♡」
そのモノの持つ氣力なりではあるらしいが画期的である。
「たしかに…この…状態なら…今までと違うコトが出来る氣がする…!」
「ふふ♡頑張ってアタイを使いこなしてね♪」
「…やるわね!アタシだって…やぁ!」
川底が振動したかと思うと次々に水が吹き上がっていく。
それを砂を地属性の氣力で盃状にまとめたモノに集め、なみなみと注がれた所で砂壁で上部を塞ぎ縦にするとその盃の上にまたがって叫ぶ。
「いっけ~!」
後方の地面が半球状に膨らんでめくれ上がる。
キクリは素早く盃の前方に飛び降りながら中心に軽く手刀を入れ小さな穴をあけ飛び去る。
めくれ上がった地面が強烈に杯を叩くと小さく開けた穴部分から凄まじい威力で水と共に砂が噴出、いや射出される…!
「レラ=ヤイキッカラ=チャシ!」
風で水をまき上げ防壁を作ったスセリだがいとも簡単に撃ち抜かれていく。
「っ!あぶない!よけてっ!」
ミチヒメの声に間一髪躱すと…水流はそのまま彼方まで木々を何本も貫通していった。
「あ、あちゃ~やりすぎちゃったみたいだわ…!」
小さな穴から凄まじい圧力をかけて水を通した為…現代で言う超高出力のウォータージェット…しかも意図せず混入した砂…(モース硬度7前後の石英が主成分)が研磨剤の代わりとなり、より強力なアブレシブジェット切断と同様の状態になったのである。
(…モシリのトゥムで打ち出したただのワッカがこんなチカラを出すなんて…)
「万物共通、収斂集束威力増大」
ミチヒメの背後から玄武がそう言った。
「全身をこよりの如く捩り込み先端を尖らせチカラを集めきり放つ」
青龍はその具体的な方法を伝えてきた。
「細く…ねじりこみ…とがらせ…。…!な、なんか…ひらめいたかも!ヤチホコくん!全力で構えてみてもらってもい~かな?」
「へ?あ、は、はい!…では…行きます…はぁ!」
良くわからないままながらに掛け声と共にヤチホコは現状の全力で空の氣力を解放した。
「そう…そのままウレン=アムニン をウタサして…そこに全てのトゥムを集めていて?」
ヤチホコは言われた通りに腰を落とし両腕を交差させ深く構える。
「わたしはこのまんまトゥムだけで打ってみるから…たぶん平気だと思うケド、全力で受け止めてみてね!」
ミチヒメは普通に氣力を解放し獣王達を宿らせていく。
「いくよ…獣王究極発勁!っはあぁー!」
上肢を完全脱力させ全力で震脚し大地からの反作用による勁力を氣力と同時に各関節の螺旋運動にて伝わらせていく。
(ここまでは今までと一緒…!)
そこからさらに前足を滑らせ捻るように踏み込み、その一瞬の加速に合わせて激しく上肢帯から右上肢を限界まで捩り込みながら鈀子拳で撃ち抜く。
(…ほ、ほそ、鋭ど…カタく、は、はや…!)
ヤチホコは耐え切れず激しく渦巻に飲み込まれるが如く回転しながら後方の木まで吹き飛ばされた。
「ー!ヤチホコくん大丈夫?」
我に返りミチヒメは慌てて駆け寄る。
「だ、大丈夫です…ですが…すごい衝撃でした…」
空の氣力を解放したヤチホコには無属性の氣力による攻撃は効き難い。
それを身体操作により極限加速、増幅させ更に鈀子拳(はしけん)の握りで通常の掌底よりも力を集束させた上で両脚と大地より発生されしチカラを体幹に通し、脊椎~胸郭~上肢帯~上肢と連動させ螺旋状に捩り込んで撃ち抜いたそれは…格上の相手であっても明確な効果を発揮するに至っていた。
「ま、まだケゥエの中…特に背中側の方に…モィする衝撃が残っています…。これを…あの状態で放ったなら…僕ではとても受けきれませんね!」
戦慄と感嘆を同時に観じながらヤチホコはそう言った。
「やったトラ!アレこそオマエ…体サバキの極みだトラ!」
ビャッコが喜んでそう言った。
「…ありがとうビャッコ♪あ、ということは…もしかして…」
ミチヒメはビャッコの言の葉に喜んだと同時にひとつ気付いたようである。
「さよう…。今の動きこそ…其処な彼の母君、ムカツヒメ殿のケゥエ=エイキである」
青龍も満足げにそう言った。
「それを私たちがさらに加速して放ちましたからね♪」
嬉しそうにスザクも続ける。
「防御不可能。究極打撃真実!」
玄武にまで褒められてしまった。
「今はまだこの技でしか出来ないケド…それでもやったわ!わたし!」
身体操作の究極とも言えるムカツヒメと同様の事が出来た事を確信しミチヒメは喜びを露わにした。
(…ミチヒメ…本当に…スゴイですね…。…いつかは…僕も…!)
さすがのヤチホコも彼我の差というべき技にあてられたのか、関心と尊敬と共に競争心と向上心も煽られたようである。
「あ、そろそろシㇼクンネしてきましたし、戻りましょうか?」
ヤチホコのその声に皆支度をはじめ帰路についた。
遊びの中から学びや発見があると言うのは僕らも一緒ですよね♪
用語説明ですm(__)m
・カムイ=アリキキノ=スㇲ:神(々の)+一生懸命+川遊び→「神々の全力川遊び」としました(笑)
・イレンカ:想い、思考、意思等の意味の他に、約束、戒律、掟などの意味もありますので「決まり」としました。
・ケゥエ=エイキ:身体+使う、ふるまいをする→「身体操作」としました。
・エスㇺ=カ:溺れさせる
・チペコ=ピチチ=クル:ずぶ濡れになる+人→「ずぶ濡れのモノ」としました。
・ウコテスカㇻ=コシ=クル:連絡を取り合う+任せる、委ねる+人→「感応ヲ委任サレシ者」としました。




