第42倭 錬成されしシ=イコロ=タㇰ
皆が見つけてきた玉たちは…
「ほうほう~良ぐ見つけできたな~♪ こりゃまたこのおっきさの割になんて純度の高い…!」
純陀は一同が持ち帰った玉に感心していた。
「…チャチャ…ほら…これ…あの子…イリチよ!」
「何だって!? おお! こったら事が…! ミチヒメが形見にしてたのがトゥムさ入るケゥエの元さなる玉…そしてこれは…シセイペレさできるラマトゥ持ち合わせてたんだべか!」
純陀はミチヒメの掌の玉を見て驚きながらその様に応えた。
「うん…! これで…ど、ど~かな…?」
「おお! 任せれ! 大丈夫だべさ! きっと元気に還ってくるっしょ!」
「ありがとー!」
そう言いながらミチヒメは嬉しそうに純陀の首に抱きついた。
(…また…よろしくね…おじい♪)
その場にいた全員にイリチのそのヲモヒが観じ取れた。
「おお、おお!まっかせれ♪ 前よりもっと元気にすっしょや!」
純陀がそう言うとイリチと呼ばれし玉が笑った様に観じ取れた。
「まぁ…塔さ行って帰ってくる頃にゃ多分出来るべ…したっけ寄ってくれると良いべさ! それから…ちょびっと待ってれ…よっと!」
集めてきた羊脂の玉を先の未完成の如意宝珠と思しきモノの周りに配置して氣力を注いでいく…。
ゆっくりと光を放ちながら中央の玉に引き寄せられていき、溶け合う様に混ざり合う様に融合していく。しばらくすると手足がするすると伸びるように生えてきて…ミヅチ~アビヒコ位の少女の姿になっていく。
完全に変化を終えると寝起きの様にひと伸びしてゆっくりと立ち上がった。
「あぁ~♪ やっと動けるわぁ~みんなありがとう♪」
嬉しそうにそう言うと宝玉の少女?は軽くお辞儀をした。
「…ほとんどぼくたちとケゥエは変わらないんだんね…」
そう言いながらアビヒコは観察する様にまじまじと見る。すると…
「やん!アタイすっぽんぽんだからそんなにまじまじと見ないでよぉ!」
宝玉の少女は少し恥ずかしそうにしかしイヤな素振りはまったく見せずにそう言った。
恐らく年の頃はアビヒコと同じか少し上くらいだろう。
だが…何せ手のひらに収まる大きさなので正確な所の判断はしにくい。
「はは、ケゥエ=ポンすぎて良くわからないから大丈夫大丈夫♪」
アビヒコは少しからかい気味にそう言った。
「何よ~! アタイだってトゥム注いでもらえたらおっきくなれるよ~だ!」
「チュ、純陀さんそれ本当?」
アビヒコは宝玉少女の意表をつかれた返しに思わず純陀に尋ねた。
「んだべさ。イリチのやつも子っこくらいだったべ!」
「確かにそう! ポン=シオン位の大きさになっていたわ!」
(…そ、そうなんだ…。…。…。ど、どれどれ…)
アビヒコは神魔並行励起して氣力を注いでみた。
「え? ちょちょっと何コレ~! アタイに注ぐならシロクロはっきりしなさいよぉ!」
一旦彼女? の体内に入ったかと思いきや瞬く間に体外へはじき出されてしまった…。
「お~オマエさんのにゃぁこいつぁ対応出来なかったけど別にいいしょ。ミチヒメ…こいつに入れて欲しいべさ!」
「は~い! う~んと…じゃぁ…ワッカで♪ 青龍!」
小さき水龍が光りはじめ霊力をミチヒメへそそぐ。するとどこからともなく水しぶきが舞い水流となり螺旋状に渦巻きながら立ち昇りミチヒメの掌めがけ降りてきて玉と化した。
それをそっと彼女に近づけると…吸い込まれるように彼女の体内に入り込むと同時に光りを放ち始めた。
「うわ! まぶしくて見えないや…!」
アビヒコは腕越しに見やりながらそう言った。
光は半円状に広がり、中で何やら脈打つような動きが観える。
暫くして輝きが落ち着いていき半円状の光が消失すると…そこには一人の少女が一糸纏わぬ姿で立っていた。
「へへへ~♪ どうかしらん? キレーでしょ♪」
目の前に顕れた少女はアビヒコにそう尋ねた。
「…うん。とっても…キンナ…。」
アビヒコ思わず見惚れて口からこぼれる様に応えた。
「ありがと♪ アタイ素直なの、エラマスよん♪」
彼女? はそう言ってアビヒコの頬に唇をそっと押し当てた。
「あっ…!」
「ふふ♪ よろしくね♪」
そう言って微笑み、ゆっくり目を閉じると彼女の周囲が一瞬うねりを帯びた様に観えたと同時に水の様に透ける衣を纏い、背から透明の瑞々しい羽が生えてきた。
アビヒコはまたもや見惚れてしまい…
「あ…キンナ…」
その様に言の葉を漏らしながら思わず羽衣に手を伸ばした。
水の様な潤いと冷たさ…絹の様な滑らかさを併せ持つ今までにないとても良い手触りであった。
「あん♪ これ…アミプに観えてるケド…アタイのケゥエの一部だからね…! いきなり触れられたらびっくりしちゃうのよん♪」
「え!? あ! ご、ごめん! 思わずつい…。その、とってもキンナだったから…」
「良いわよん♪ アタイアンタのコト気に入ったから許してあげるわん♪ おじい!この子と一緒に行けばいいのね♪」
「おお! 頼んだぞ! しっかり助けるんじゃぞ!」
「わかったわん♪ じゃぁ…アビヒコちゃん? よろしくだわん♡」
「え、あ、ああ…よろしく…!ええとそれで…何て呼んだらいいのかな?」
それこそ本当に少し透き通っている真っ白な自分の肌を観ながら少し考える。
しばらくして笑みを浮かべて言う。
「…そう…アタイ、マニィ! マニィ=シュゥユェよん! マニィって呼んでほしいわん♡」
「…雪のような…珠…たしかに…ピッタリだね!」
「うふ♡ もっとほめても良いのよ♪」
「…アタシのもこーゆー風に…しゃべったりしちゃうの?」
キクリは微妙な表情で純陀に尋ねた。
「うん? これはたぶん…ラムさ持ったとしたって緋徒の形にはなんねぇべな…。」
純陀は少し残念そうにそう伝えたが、それを聞いて安堵した様にキクリは言う。
「ならいいの、なんか…どう接していいか悩みソーだし」
「カンタンだわん♪ フツーにウタㇻイヒになってくれればいーのよん♪」
マニィはにこやかに言った。
「キクリ…何である、ではなく、どの様な方であるか、です…。その存在がどの様なイレンカで何を成さんとされるかが大切だと思います。ウタラか緋徒かカムイか…はたまたエイワンケㇷ゚として造られ生まれしモノか…そのモノの成し得る事に比べればそれはほんの些細な事でしょう」
オオトシは優しく諭す様にキクリに語り掛けた。
「…うーん。確かにオオ兄様の言う通りだわ! マニィ、ゴメンね! アタシとも仲良くしてね…」
「もっちろん♪ 楽しいパイェ=カイにしましょーね♪」
「うん! オオ兄様…ありがと! きっとお兄ちゃんも同じ事言ったと思うわ…!」
「きっとそうでしょう。あの子はとても聡いですからね」
キクリはアマムの事を褒められ、自分の事の様に喜び満足げな表情をした。
(…お兄ちゃん…きっと探してみせるわ…! 修行中だからと叱られても…アタシ…逢いたいから…!)
不意にキクリが見つけてきた玉がメレメルし始めた。
(…ポン…モ…シリ…)
ぼんやりと光った玉からその様にイレンカが伝わってきた。
「ナ、ナニ!? 小さき…世界? それって一体何なの?」
捲くし立てる様にキクリは玉に話しかけた。
(…九千九度生を廻る修業の場…)
そう伝えてきたっきり玉は輝きを失い沈黙してしまった…。
「…修業の場…うぅっ!」
キクリがその言の葉を噛みしめて考えようとすると強い頭痛に見舞われた。
(…な、なに? 考えたから? 考えちゃ…ダメなの…?)
頭を抱え苦しみながらキクリはそうイレンカを廻らせた。
「キクリちゃん? 頭痛いのかい…? なにか修業の場? で辛い事でもあったのかい?」
アビヒコがそう尋ねると苦しそうにキクリは応えた。
「…わ、わからないわ…」
少し思案してオオトシが尋ねた。
「まさかとは思いますが…キクリ…修練と終焉の地に…行った事ありましたか?」
「…? ナニそれ? ゼンゼン聞いたこと…うぅっあ、頭がイタイ…」
キクリは耐えきれず蹲った。そこにゆるりと先ほどの玉が転がってきて静かにキクリの上に乗り、ぼんやりと光り輝きだした。
(…あ、あたたかい…気持ちイイ…イタミが…なくなっていく…)
程無くキクリはその場で眠り込むしてしまった。
「キクリちゃんだいじょ~ぶそうね…ふ~ん…キミはキクリちゃんと仲良くなりたいんだね…♪」
キクリの容体を確認した後納得した様にミチヒメはそう玉に向かって尋ねた。
すると眠っているキクリから玉へ氣力が流れ込んでいく。
すると玉は輝きを増しながら見る見る透き通って完全に半透明な白色…羊脂白色となった。
「すごくきれい…なんか他の羊脂白の玉とも…ゼンゼンちがう…!」
スセリが見惚れてそう言った。
「こりゃぁ…コイツぁ最高の羊脂白の玉! キクリちゃんのトゥムによって錬成されて変化しちまったようだべさ!」
純陀も驚きながらそう言って手に取りまじまじと鑑定しはじめた。
「…ふぅむ…これは…ラムや…レンカクス=ラムをキチンと持ち、マニィやイリチのようでもあり…その上でそれ以上のナニカも持ち合わせていそうだべさ!」
そう感心して純陀は言った。
(…マニィのヤツもなんだか不思議なモノを観じるし…探してきたモノなりの大した玉たちだべさ…)
「…キクリがこの状態故…日を改めての出立で良いであるか?」
ウガヤは皆に向かってそう言った。
「は~い、それが良いと思いま~す♪」
「ボクもそう思う。キクリちゃんもきっと明日は元気になると思うし」
ミチヒメとスセリもそう続けた。
「それでは…今宵までクスターナのモシリを堪能させて頂き、明日以降に出発いたしましょう」
オオトシもそう言い、一旦解散した。
「ヤチ、せっかくだしペㇳで遊ぼ♪」
スセリはそう言ってヤチホコの手を引きながら外へ連れ出した。
「あら♪ 良いわね~♪ わたしも一緒してもいい?」
「もちろん♪」
「え、じゃ、じゃぁぼくも…!」
「ミヅチは?」
「う~ん…でもきぃちゃんしんぱいだし…」
「ミヅチ、我々がここで診ておきますから心配いりません、大丈夫ですよ」
「気にせず安心して遊んでくるが良い」
オオトシとウガヤにそう言われ迷いも吹っ切れ、一転明るい表情となり大きな声で叫ぶ。
「まって~ミヅチもいくー!」
そう言いながら元気に走って行った。
「フッ…あの年の頃はああでないとな…。幼少よりノカン=クルらしからぬ事におわれている故…少々不憫であると思っていたのでな」
「ええ。元気よく遊ぶこと、これもまた生長には不可欠ですからね」
「キクリは…残念であるな」
残念そうに申し訳なさそうにウガヤが言うと…オオトシはキクリに手を翳し霊力で容体を観じ取る様に試みた。
「…程無くして目覚めるかと。そうなれば皆の元へ飛び出してゆく事でしょう」
「違い無き…!」
二人は茶を楽しみながらその様に語らい合っていた。
マニィはアビヒコと、そしてキクリの見つけてきた玉はキクリと仲良くなりたそうですね♪
…外伝ででてきた単語が…♪(やっとここまで…(^-^;)
用語説明ですm(__)m
・マニィ=シュゥユェ:純陀により造られし「如意宝珠(イノトゥありラムとラマトゥ持つ生ける宝玉)」です。
・シ=イコロ=タㇰ:最高の+宝+玉→「如意宝珠」としました。
(本来は霊験を表すとされる宝の珠であり、「意のままに願いをかなえる宝」ですが、この作品ではまずは「生ける宝玉」と言う意味で使いますm(__)m)




